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MINMI VANITYMIX 2018 SUMMER PICK UP INTERVIEW

女の子だって自分からアプローチしたい
普段は言えない本当の気持ち

近年は大胆なメッセージを発信し、新たな女性像を提示しているMINMIが、約2年ぶりのアルバム『identity』をリリースした。一時は音楽から離れることも考えたというほどの葛藤を経て、「すごく吹っ切れた」と語る新作に込めた想いとは?

■ここ数年は年に1枚ペースでアルバムを出されていましたが、今作はベストアルバムを挟んで2年ぶりとなりましたね。

MINMI  いつもアルバムを作って、夏フェスして、ツアーして、カウントダウンして、常に稼働していたんですけど、一度しっかりプライベートの時間も充実させて、そのうえで音楽に向き合おうと思ったんです。アウトプットだけじゃなく、インプットもできるように、旅行したり、人のショーを観に行ったり。

■今作はそのインプットから生まれたんですか?

MINMI  そうですね。ただ、これがきっかけというよりは、この2年の経過が最終的に出たというか。大きな意味で言うと、すごく吹っ切れたアルバムになったんですよ。前作『Life is Beautiful』あたりは、いろんな意味で葛藤、模索していて、ミュージシャンとして頭打ちみたいなことを感じていたんです。自分としては、どんどん伸びていきたくて、あの手この手で努力してみるんだけど、音楽ビジネス自体も変化してきて、それが数字として現れない。だから自分はどっちの方向に努力していけばいいんだろう、ひょっとして自分では音楽の才能があると思い込んでいるけど、違う道もありえるのかもしれないと。

■そこまで思うところがあったんですね。

MINMI  惰性で音楽を続けるのではなく、そのくらい真正面から向き合おうと思ったんです。でも、最終的にやっぱり音楽が大好きだし、もっと自分にしか作れないものに純粋にこだわりたいなって。いままで人の評価や世間の評価に対して、いろいろ努力したけど、努力しつくした結果、自分のアイデンティティを全部押し出してやってみたい気持ちになったんです。

■いままではまわりの評価も気にしていたんですか?

MINMI  やっぱりプロとしてやるからには、結果を出す義務があると思っていたので。それに、まわりのスタッフに「ホームラン打ったぞ!」って言いたいというか。(笑)いまもホームランを打ちたい気持ちは変わらないけど、いろんな価値観や流行があるなかで、もっと自分基準でやるべきだと思ったんです。

■タイトル曲の“identity”は、すべての人が唯一の存在で、誰にもアイデンティティは奪えないという歌になっています。どんなことを思い描いて作ったんですか?

MINMI  まずは思いきり自分を出し切ろうと。それを見てもらえれば、ファンの人たちは「私ももっと私を出そう」と思ってくれるだろうなと思ったんです。

■最近の若者は自分を出せていないと感じることも?

MINMI  若者というよりも、いまは世の中全体が発言に厳しかったり、コンプライアンスに縛られたり、遊びの部分みたいなものがなくなっているじゃないですか。時代の変化だと思うんですけど、昔は普通だったことでも思いっきり叩かれる。でも、常識外れな部分や間違っているとされる部分も、もう少し大事にしたいというか。

■ここ数年は“#ヤッチャイタイ”(女性の欲求を大胆に歌った2014年発表のアルバム『BAD』収録曲)とか問題作もありましたけど、叩かれることもあったんですか?

MINMI  あれを作っているときは、マネージャーからパソコンのマウスをバン!と叩かれて、「こんな曲、録れるわけないじゃないですか!」って言われたんですよ。

■リアルに叩かれたんですね。(笑)

MINMI  賛否で言うと、はじめは否ばかりでした。ただ、それが今作にもつながるんですけど、私はそれがいいんやんと思ったんです。みんなからは、こんなことを歌ったら女の子やお母さんのファンが減るって言われたけど、実際は「言ってくれてよかった」と女の子からも言われて。

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