■そこまで考えていただいて、ありがとうございます。(笑)
河西 そう考え始めたら、もう悩んじゃって、すごい大変で。でも、昔から背伸びして書かないようには気をつけていて。ファーストシングルから作詞はさせて頂いていますけど、その頃から秋元先生に勝てるわけないことはわかっていたし、今回も秋元先生の歌詞を見て何度も落ち込んだし。張り合おうとしても、赤ちゃんみたいな出来になるのは目に見えているから、等身大の言葉で伝えたほうがいいんじゃないかなって。
■歌う本人だからこそ書ける歌詞を?
河西 そうですね。かっこいいことを書きたくなることもあるけど、それをやるならプロのほうが全然上手だし、私が書く意味がなくなっちゃう。ただ、自分で書いた昔の歌詞を見返すと、だんだん大人になっているなとは感じるので、今回も25歳なりの恋愛観で書けたかなとは思います。
■この歌詞になるまでに、そんな過程があったんですね。時短のラブソングも聴いてみたいですけど。(笑)
河西 いいですね。(笑)だって、高校3年間片思いしていた話を聞いて、伝えたけど叶わなくてとか、最終的に付き合えたとかならまだしも、気持ちも伝えないまま3年って、アイドルや俳優に恋するようなことだと思うんです。私の知り合いでも、文化祭で同じ学校の男の子と写真を撮ってもらって、部屋に飾っている子がいたんですよ。それで、連絡先を書いた手紙を渡して、「電話来ちゃった、どうしよう!?」「そりゃ教えたんだから来るでしょ!」、「彼女できちゃった…」「そりゃ一般の人なんだからできるでしょ!」って。
■きっと、その過程が楽しいんでしょうけどね。
河西 それが女の子ですよね。でも、その過程は私はいらないんですよ。私は好きかどうか気付くまで時間がかかるけど、好きと思ったら伝えないで一緒にいる時間が嫌で。どう思ってるのか聞いて、私はこう思ってますと伝えてから一緒にいたほうが時短だと思うんです。(笑)
■だいぶ脱線させちゃいましたが(笑)、結果的に5年がかりで作ったアルバムをどう聴いてもらいたいですか?
河西 最初は頭から順番に聴いてほしいですけど、本当に幕の内なので、毎回全曲通して聴いたら波がすごいと思うんです。だから朝はこれ、夜はこれ、運転中はこれとか、プレイリストで分けてもらうといいかなって。ポップな“STAR-T!”や“ぎゅっと!”は朝に聴いて今日もがんばろうと思ってほしいし、“助手席RAIN”や“No Return”は夜のドライブで聴いたら気持ちいいと思うし、ちょっと疲れちゃったときは“最後のナミダ”を聴いて泣き活してもらうとか。どんなときでも何かリンクできる曲があるので、そのときの状態に合わせてチョイスしてもらえたら、いつも私が横にいられるアルバムになると思います。
■個人的には1曲目から聴いたときに、最後に“ぎゅっと!”が流れてくることにグッときました。
河西 うれしいです!これはどこに入れるかすごい考えて、やっぱり最後がいいかなって。
■ラブソングとしても受け止められる曲ですけど、やっぱりファンとの関係性を歌っているんですか?
河西 はい。最初に聴いたときに、アイドルソングではないけど、AKB48時代から応援してくれているファンの方には、すごく聴き慣れた曲調だなと思ったんです。
■あー、わかります。
河西 いまのアイドルというか、特に私もいたAKB48は握手会をとても大事にしていて。賛否両論あるとは思うんですけど、私たちはすごくあったかい場所だと思ってやってきました。いまもそれは信じているし、そこのつながりはずっと続いていくんだよっていう気持ちを伝えたかったんです。それに、恋愛でも彼と彼女が手をつないで幸せな気持ちになったり、辛いときもぎゅっとハグしてもらうとホッとできたり、人と触れ合うと元気をもらえるじゃないですか。だから元気がないときは、私がいるからぎゅっとしに来てねみたいな意味も込めて歌いました。
■いい話ですね。最近でも握手する機会はあるんですか?
河西 リリースイベントで握手会をする予定です(11月25日で終了)。ハイタッチやお見送りはしていたんですけど、ゆっくり握手会をするのは久しぶりですね。お互いの近況報告が全然できてなくて、いっぱいお話を聞けたらなと思うので、ぜひぎゅっとしに来てください!
Interview&Text:タナカヒロシ
PROFILE
2006年2月、AKB48に加入し、AKB48の中心メンバーとして活躍。2013年5月、AKB48を卒業。2012年にリリースしたソロデビューシングル『まさか』を始め、現在までにシングルを4枚リリース。磨きがかかった歌声を武器にファン待望の1stアルバムをリリース。今年でデビュー11年目。ソロ歌手として新たなスタートをきる。
RELEASE
『STAR-T!』
Type-A(CD+DVD)
KIZC-430/1
¥3,780(tax in)
Type-B(CD)
KICS-3540
¥3,240(tax in)
KING RECORDS
11月15日ON SALE
舞台「東京のぺいん-over work-」
12月6日(水)~12月11日(月)
CBGKシブゲキ!!
出演者:SHOGO(175R)、松田大輔(東京ダイナマイト)、河西智美など