■めまぐるしかった毎日から休みをとると、自分自身を見つめ直すきっかけにもなりますよね?
A フル装備だった状態からいきなり休息状態になるのも簡単なことじゃないよ。良い面も悪い面もある。周りをシャットダウンして自分を見つめる余裕ができると、ずっと突き進んでいたから感じられなかったストレスに気づいたりもする。考える時間がたくさんあるからね。(笑)この休みが終わって活動にもどったら、これもやらなきゃ、あれもやらなきゃっていうプレッシャーも出てくる。思考回路がいろいろな方向に広がっていくんだよ。
■他のアーティストたちからもアドバイスをもらったそうですね?具体的にどのようなアドバイスをもらったのでしょうか?
A 特別にこれっていうのはないね。でも自分で気付いたのは、僕のようにずっとゲームの中にいるアーティストたちは、みんなそれぞれに自分なりのストレスへの対処法を持っているということ。それができなければ(そのゲーム内で)命を落としてしまうか、壁にぶち当たるんだ。みんな自分なりの解決法をもっていて、ストレスや悪魔の声に打ち勝っている。すごくスピリチュアルになる人もいれば、それとは真逆に科学的になる人もいるしね。みんないろいろなことを試しているんだ。瞑想だったり運動だったり、抱えているものに対処するためにみんな自分のやり方を持っているんだということに気付いたんだよ。
■休止期間は、あなたの創造性に何らかの影響を与えましたか?
A 活動を休止したことによって、マインドをクリアにすることができたね。アルバム『ストーリーズ』は、制作に2年を費やしているけど、やっぱりそのクリアなマインドで作業できるようになったのは良いことだったと思うよ。その状態のマインドでたくさんの曲を加えたり除けたりしたから、50%は新しい作品になったね。アルバムに関して考え直す時間ができたんだ。音楽からしばらく離れて頭を休ませたことで、創造力が増したのは確かだね。
■みんな、休止期間はあなたに良い影響を与えたと言っています。『ストーリーズ』からは生まれ変わったあなたの創造力を感じ取れるという人もいますが、あなた自身は“生まれ変わった”という表現をどう思いますか?
A イエスでありノーだね。僕自身は、自分が生まれ変わったとは思わない。ここ数年はすべてが本当に早くすぎていったから。外から僕を見ている人たちにとってはそういう感じがするのかもしれない。でも僕自身は、常に次のショー、次の曲、次のこれ、次のあれ、と、マネージャーがびっしりと詰め込んだスケジュールに追われていたんだ。だから、家族や友達、そういった外から僕を見ていた人にとっては僕が最悪の状態にいたように見えていたかもしれないね。でも僕自身は、それをこなすのでいっぱいいっぱいだった。良い気分ではなかったけど、同時に自分がどれだけストレスやプレッシャーを抱えているか実感できていなかった。すべてが進むスピードが速すぎたから、実際に休みをとって自分を見つめ直すまで、それに気づけなかったんだよ。だからある意味、みんなが生まれ変わったというのは理解できるんだ。でも自分にとっては、あまりそういう感覚がないんだよね。
■『ストーリーズ』にはそういった経験や自分自身のことについて書かれた曲が収録されているとか?
A 自分の考えや不安な気持ちをベースに曲を書いたり、ここ6年を振り返って書いたりもしたよ。アルバム全体がそうというわけではないけど、いくつかの曲はそうだよ。それは、自分にとっては新しいことなんだ。自分に関しての曲は、今までに書いたことがなかったからね。
■他にはどんなテーマがありますか?
A ダニエル・アダムズ・レイとの曲なんかは、自分やストックホルムについて、ストックホルムや家が自分にとってどんな存在かについて歌っているよ。あとは、ツアーの裏側というか、人はあまり見ないような魅力的でないツアーの側面についての曲とか。そんな感じだよ!(笑)