いい意味でわたしのイメージが壊れて、観てる人を裏切れたらいいな
女子高生という特有の存在が持つ異常なまでの自信、無敵感、そして美しさを見事なまでに描いた『暗黒女子』が4月1日公開となる。“罠”“嘘”“だまし合い”――黒い感情だけが、ただただドロドロと絡み合い、ラストでは最高の裏切りを見せてくれる今作で、白石いつみという非常に重要な役に挑んだ飯豊まりえ。そんな飯豊に、今作に対する想いを話してもらった。
■白石いつみ役を演じられていかがでした?
飯豊 いつみはいろんな感情がめまぐるしく回っている女の子で、どうがんばっても共感できなかったんです。だから最初は〈これは無理!〉って思ってたんですけど、耶雲監督に「その自信のない感じはダメだよ」って言っていただいて。
■自信がなかったですか。
飯豊 なかったですね。なかったし、演じてみて自信を持てたというわけでもないんですけど、監督とは『MARS~ただ、君を愛してる~』でご一緒させていただいてたから、また一緒にできるのがすごくうれしかったんです。でも自分の力不足でいろいろと応えられないことが悲しくて。そういう気持ちもあったから現場がツラくて。
■なるほど。
飯豊 でもそのツラかった現場が耶雲監督の作品でよかったなって、そのツラさを監督の現場で経験できたこと、それを10代のうちに経験できてよかったなって思います。
■自信を持って演じるというところで具体的に気を遣った点はどんなところです?
飯豊 わたし猫背なんですけど、そこを直すよう言われたので、撮影に入る3ヵ月前からジムに通って背筋を鍛えました。あとはしゃべり方や態度ですね。この人にとっては太陽のような存在、この人にとってはちょっとセクシーな存在、この人にとっては意地悪な存在……って、いつみはひとりひとりに対して言ってることや態度が違うから、それぞれ違う人物になるくらいに振り切って演じたので、そこの切り替えは難しかったです。ダークサイドに持っていくまでの姿も全部計算しないとできないし。でも、自主練も監督と一緒にさせていただいたんですけど、いろんな練習を重ねて、監督に作っていただいた“いつみ”なんだと思います。
■結果、すごく堂々と、凛としたいつみが演じられましたね。
飯豊 撮影したものを観てやっと堂々とできててよかった~って感じだったんですよ。「よし、だませた!」って。(笑)
■撮影中は手探り状態で、終わってみてちゃんとできてたかなという感じですか。
飯豊 そうですね。
■じゃあそれはきっとまた自信につながったんじゃないですか。
飯豊 うーん、どうだろう。でも、ずっと自信に満ち溢れた状態できたところでこの作品に挑んでたら、きっといろんなものが折れてしまってたと思うんですけど、わたしの場合、そのときそのときいつも課題が見つかって、それを超えられたり超えられなかったりっていう積み重ねの中でこの作品ができたので、いまはまだないんですけど……自信がついたらいいなって思います。
■逆にこういう役だからおもしろかったところとかもあるんじゃないですか。
飯豊 いろいろ妄想しながら演じられたので、そういう点では思いっきり振り切って、楽しんでできたかな~。美礼ちゃん(平祐奈)に「頭いいのね~」とか言っておとしいれる場面とか(笑)、どういうふうにやろうかって考えるのがおもしろかったですね。
■怖かったですね、あの辺りからのいつみは。
飯豊 怖かったですよね。(笑)いつみちゃんのことは理解してあげなくちゃいけないなと思ったけど、やっぱり苦手でした。自分の弱い部分を見せないで、強い部分だけを見せるきれいな女性って憧れたりもするけど、あまりにも自分とかけ離れた役だったので、ちょっと息苦しいなってときもあったんです。
■そうなんですね。
飯豊 でもそこは富美加ちゃんが演じる小百合の存在がとても大きくて、小百合がいたからいつみちゃんを演じることができたっていうのもありますね。共演者も同世代で刺激的だったし、みんなクリーンでクリアなイメージの人ばかりで全然暗黒じゃないのに(笑)、そこがまたすごいなって。
■だから怖さも増すというか。
飯豊 ピュアなイメージの人たちが演じるから、きれいに見えて、怖く見えるんだなって。