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吉田山田 WEB LIMITED INTERVIEW

■そんな音楽を、お二人で始めたきっかけを教えてください。

山田 僕ら、同じ高校で出会ったんですよ。彼は高校一年のときから文化祭で一人でギター持って弾き語りで歌っていました。それを見て、僕は客席で、一人すごい感動して、<いつかこの人と一緒に歌を歌いたいな>って思ってたんです。かたや相方は、そのとき僕のこと大っ嫌いだったらしいんですよ。

吉田 大体の人がそうだと思うんですけど。

山田 なんでだよ!

吉田 なんかこう、チャラチャラした感じがして、絶対仲良くなれないなって思いこんでただけなんですけど。でも、弾き語りライブやってたときに、客席の真ん中で歌のじゃまになるぐらいの嗚咽で毎回泣いてるヤツがいて。で、ライブ終わると、「最後から何番目の曲はなんて曲なの?」って聞きに来たりして。<山田ってちょっとおもしろい人なのかもしれないな>って思ってきて。そんなこともあって、高校最後の文化祭で、男4人のグループでアカペラのライブがしたいと思ったとき、「ちょっと一緒にやってみない?」って誘ったんです。卒業後、そのグループは自然消滅するんですけど、あるとき山田からひっさびさに電話かかってきて、「やっぱりぃー、よっちゃんとぉー、一緒にぃー、音楽がぁぁー!」って、すごい号泣しながら。

山田 あの…、結成して8年の間にだんだん原型よりも激しくなってますけど、まあ、泣いてたのは事実です。

吉田 まあ、そんなふうに泣きながら電話がかかってきまして、僕もそれまでいろんな人とバンド組んだりしていたけど、山田とだったら、なんか、本気でやってもいいかもしれない、と思って。そのすごく小さな、なんだろう…自分の中でのひらめきというか、直感を信じて、どうなるかわからないけど、二人でやってみようと思ったんです。でも、音楽活動って何をすればいいかわからなくて、1年間ぐらいはただ山田がうちに遊びに来ているだけっていう日々が続いたんですよ。で、このままじゃダメだと思って、1ヶ月間ニューヨークへ武者修行の旅へ行くことにしたんです。

山田 きっかけは『天使にラブ・ソングを2』っていう映画を、金曜ロードーショーで見て感動したこと。その次の日に「よっちゃん、お金貯めてニューヨークへ行こう」って誘いました。主役を演じたウーピー・ゴールドバーグに会いたいって思ったのが大きいですね。本場のゴスペルを見たいっていうのが。

吉田 ニューヨークでは、カーネギーホールやブルーノートなど、いろいろなところのライブを見て、いろんな音楽を吸収しました。でも、普段は節約生活。ホント貧乏なションベン臭い二段ベッドしかないホテルに滞在してました。だから帰ってきたら、<もうなんでもできるぞ、俺らは!>と思うようになっていて。それで、1ヶ月だか2ヶ月だか先のライブハウスを抑えたんですよ、曲もないのに。で、その段階で、ライブハウスの方に名前なんですかと聞かれて、考えてなかったので「じゃ、吉田結威 山田義孝って書いといてください」って、お願いしたんです。で、ずーっとしばらくは、本名で活動していて。そしたらお客さんが少しずつ付くようになって、その方々が「吉田山田」って呼んでくれるようになったので、デビューのタイミングで、吉田山田で行こうって。だから、名前は(仮)ですかね。

■まだ、(仮)なんですか?

山田 いやいや、8年やってるから、デビューして。

吉田 “VANITYMIX”ってカッコいいですね。「“ザ・バニティミックス”です!」って言いたい。ホントはこういう名前つけたかったんですよ。

山田 そうだね、よっちゃん言ってたね。「ザ」付けたいってね。

吉田 横文字系にしたかったんです。だから、今もちょっと迷ってます。

山田 いやいやいや。でも、いろいろ考えたなかで、等身大じゃないなってところに行き着いて、結局この名前になりました。

■ちなみにニューヨークで得たものは?

吉田 二人とも英語も喋れず、ションベン臭い部屋で、テレビつけても英語で何言ってるかわかんない。極限状態になって、初めてケンカしたんですよ。それまで逆にケンカしたことなくて。今思えば、あそこでケンカして、自分たちの心のなかにある醜い部分なんかもさらけ出したことで、二人で曲がつくれるようになりました。それまでは、なんとなくお互い見栄を張ってたり、格好つけてたりしてたんだなって気づいたんです。自分が「こういう曲どう?」って聞かしたときに、「それはちょっとありえないな」「だっさいな」って言われたらやっぱりヤダなって。このケンカが、僕の中では一番得られたことでしたね。

山田 逆に、お互い切羽詰まるところまで一緒にいるって、なかなかないこと。ずっと一緒にいたことがよかったんじゃないかなって。あそこで1ヶ月間一緒にいて、ケンカしてもまだ一緒にいられた。そして日本に帰ってきてからも、<よし、やるぞ!>って思えた。なんかその時間がよかったなって思います。あと、滞在の最後のほうで、地下鉄の駅で、スキヤキソングをアカペラで歌ったんですよ。そうしたら、ボロボロの服を着た人が、1ドルくれたんです。どんな思いでお金をくれたのかわかんないですけど、それがすごく、おっきかったすね。向こうでは、ホームレスの方も関係なく、エンターティナーとしてのプロ意識を持っていて、<俺の歌にお金をください!>っていうスタンス。そこにすごく刺激を受けました。

■そんな出発点から、『変身』へとつながっていくんですね。最後に、アルバムを楽しみにしているファンへのメッセージを。

吉田 今回は、必死で変わりたくて作りました。このアルバムの本当の意味がわかるのは、2年後の10周年のときだと思います。そのとき、<だから、この曲が入っていたんだ>とわかるんじゃないかと。そういう意味で、すごくわがままな作品になってしまいました。でも、自分が変わりたいとか、どこを目指していいかわかんないんだけど、とにかくここじゃないと思っている人は、このアルバム聞いて、1節だけでも自分と重ねてもらえるなら、すごく嬉しいなと思います。

山田 僕は、アルバムを通じて贈る言葉は、特にあるわけじゃありません。ただ、30代になっても、変わらず悩みもあるし、もがいている。でも、必死でもがいている姿を見てほしいなと思います。

Intereview&Text:石川良一

PROFILE
吉田結威(Gt&Vo)と山田義孝(Vo)からなる二人組アーティスト。2009年10月に『ガムシャランナー』でメジャーデビュー。2013年12月に放送を開始したNHKみんなのうた“日々”が泣ける歌と話題になり、一躍その名を拡げ、YouTubeの再生回数は1,100万回を突破。2017年5月に12枚目のシングル『街』で、これまでのイメージとは異なる新たな一面を見せる。11月1日に1年8 ヶ月ぶりとなる5枚目のアルバム『変身』をリリース。

https://yoshidayamada.com/

RELEASE
『変身』
sub
デラックス盤(CD+DVD)初回限定盤
PCCA-04590
¥3,780(tax in)

sub2
ボーナストラック盤(CD)
PCCA-04589
¥2,700(tax in)

ポニーキャニオン
11月1日ON SALE

宝物 / 吉田山田【MUSIC VIDEO】

LIVE
吉田山田ツアー2017 Band Set
11月11日(土)広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
11月12日(日)福岡・ももちパレス
12月8日(金)東京・東京国際フォーラム ホールC
12月9日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
12月17日(日)宮城・仙台Rensa
12月24日(日)大阪・森ノ宮ピロティホール

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