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vivid undress “PROGRESS PRGRAM vol.12-ENDLESS release tour round3 in TOKYO-ライブレポート@下北沢GARDEN 1月25日(木)

vivid undressリリースツアー3周目突入!伝説のデモ音源再録も決定!

1月25日、vivid undress主催による“PROGRESS PROGRAM vol.12 -3rd mini album “
ENDLESS” release tour round3 TOKYO-”が下北沢GARDENにて敢行された。本公演は、昨年7月にリリースされたミニアルバム『ENDLESS』を引っ提げたツアーの3周目初日ということもあり、雪の残る大寒波の夜ながら多くのオーディエンスが詰めかけた。
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先攻を飾る対バン相手は、vivid undressと3年前にスプリットツアーを行ったBAND-MAID。メンバーが登場し音圧バツグンのサウンドが幕開けを告げると、かじかむ指先も一気にほぐれたかのようなクラップが巻き起こる。“DOMINATION”“the non-fiction days”“Choose me”など激しいナンバーを畳みかけ、かわいらしいメイドの様相からは想像もつかないパフォーマンスで会場を魅了した。一方、MCでは「ご主人様、お嬢様、お帰りなさいっぽ」と小鳩ミク(Gt&Vo)が語尾に「ポ」を付ける独特の言い回しで笑いを誘う。マイワールド炸裂の話しぶりにSAIKI(Vo)のSキャラが絡み、そんなやりとりも見ていて実に楽しい。小休憩もそこそこに、2月14日にリリースされるニューアルバム『WORLD DOMINATION』から“Carry on living”を初披露。ラストの“FREEDOM”まで駆け抜け、クールかつエネルギッシュな“お給仕”を貫き通した。

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後攻は本日の主役、vivid undress。すでに十分温まった会場だが、メンバーが登場するとその熱気は趣を異にする。ひと際大きな歓声がメンバー5人を迎えると、さっそく投下されたのは“My Real”。伸びやかで透明感のあるkiila(Vo)の歌声とソリッドなリズム隊、そこにrio(Key)の鍵盤が絶妙な差し色を加える。この奇跡的な融合でヴィヴィアンの世界が構築されると、我々オーディエンスは一瞬にしてその住人となってしまうのだから不思議だ。続いてyu-ya(Gt)のキャッチーなギターリフが残る“Bring me a light”、ネット検索に頼りきる現代を揶揄する“ウィキペディア”と、ダンサブルかつメッセージ性溢れるナンバーで会場を揺らす。時に鋭く、時に振り絞るように、魔法のように、呪文のように、様々に表現されるkiilaの歌声に乗せて色味を変えていく楽曲たち。その変化に翻弄されるのも彼らのライブの醍醐味だろう。MCではrioお馴染みのお姉キャラが会場を沸かせ、彼節で気持ちよくなったところでkiilaが引き締める。「今日、私たちの夢を見せて帰ります」と一言残すと、“適度に”へ。軽快な鍵盤にエモーショナルなギターが絡み、そこにkiilaのハイボイスが脳裏に刻み込まれる。バックのサウンドに埋もれないどころか、自身の声音を新たな楽器として自在に操るのはさすがだ。続いて、楽器隊の見事なアンサンブルが耳を釘付けにする“天上の宴”に心地よく乗った後は、“さよならジレンマ”へ。「いつになったら私はあなたの一番になれますか?」と震えるようにkiilaの言葉がこぼれると、これまでとは一変した空気が会場を包み込んだ。演奏が激しさを増すごとに歌声も力強さに拍車をかけ、容赦なくこちらを揺り動かしてくる。そして息遣いさえ表現の一つに加わる“簡単な言葉”を経て、終盤を迎える。ウツミエリ(Dr)のキレキレのドラムがビリビリと痺れさせてくれる“シーラカンスダンス”や、“パラレルワ”“私メンヘラなんかじゃないもん”と、ライブの人気曲で畳みかけていく。1曲の中にいくつもの展開があり、時に1本の映画を見ているような感覚に陥ってしまう。そしてそのワンシーンにうっかり出てしまったかのように、いつのまにか彼らの世界に引きこまれているのだ。そしてそれほど自然に身を預けてしまうサウンドがここまで確固たるものだと、オーディエンスも安心して我を忘れることができるのだろうと思う。その圧倒的な演奏力もさることながら、rioがステージ前方に出たsyunn(Ba)とyu-yaに絡んだり、その隙にkiilaがピアノで“猫踏んじゃった”を弾くなど、仲睦まじい姿も親しみ深い。あっという間に迎えたラストは“君がくれた未来”。シンガロングで会場との一体感を見せ、優しさと柔らかな明るさに満ちた音に、オーディエンスも浸るような表情を見せていた。
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間髪入れず起こったアンコールに再びメンバーが登場すると、ファンにとっては悲鳴ものの嬉しいニュースが。今となっては伝説となっているヴィヴィアン初のデモ音源“ゼロ”を再録した『Re : 0』が、3月31日の初ワンマンライブ(代官山UNIT)より会場限定で発売されることが決定した。「始まりの歌を最後に置いて帰ります」とkiilaが告げ、その1曲目に収録されている“yours”を披露。一言一言、一音一音を大切に紡ぐように届ける5人の姿からは、これから向かっていく“エンドレス”な未来への決意がうかがえた。

3周目といえども、幾度のステージを経てファンと一緒に育ち様々な表情を覚えた曲たちは、毎度私たちに違う景色を見せてくれる。ラウンド何回目になろうともそれを見届けたいと思わせてくれるのは、彼らの“クインテット”としての誇りと覚悟が込められているからなのかもしれない。

Text:矢作綾加
Photo:垂水佳菜

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