紆余曲折を経て成長を遂げた9年目の自信と決意
ここ数年はメンバーの脱退や路線変更により、不本意にもパフォーマンス以外の面がクローズアップされてしまいがちだった東京女子流だが、結成9年目にしてメンバー全員が成人となる2018年は、“攻めの1年”を決意。2月28日にリリースされた最新シングル『ラストロマンス』は、気鋭のポエトリーラッパーとして注目を浴びる春ねむりを作詞・作曲に迎え、これまで築き上げてきた音楽性を土台にしつつも新たな表現に挑戦した作品だ。紆余曲折あった近年を振り返ってもらいながら、最新作の聴きどころ、今後への意気込みを語ってもらった。
■年初に「新しい路線へ進むのではなく、デビュー当時から解き放っていた“東京女子流”の持ち味を見つめ直し〜」という「ご報告」を発表されていましたが、どう受け止めたらいいでしょう?
庄司 自分たち的には、もう一度(2012・2013年以来となる)日本武道館のステージに立つことを目指しているので、今年は攻めの1年にしていきたい、しなきゃいけないと思っているんです。今回のシングルも、新しいクリエイティブに挑戦しつつ、これまで築き上げてきた女子流も大切にしつつ、武道館に向けての1年にするぞっていう想いがあるので、余計な考えは持ち込まず、純粋に女子流の音楽を好きでいてもらえたらと思っているんです。
■去年、アーティスト宣言(アイドルイベントの出演や一部楽曲の封印など)の撤回がありましたが、改めてどういう立ち位置を目指しているんですか?
山邊 もともとダンス&ボーカルグループとしてデビューして、2015年にアーティスト宣言をしたわけですけど、その間に意味がなかったわけではなくて。自分たちにとってはすごく成長できた期間だったんです。制作面に関わらせてもらったり、自分たちの意見を言えるようになったり。それがあったからこそ、いまいいライブが作れていると思うんです。
■アイドル的な活動をしないという部分ばかりが注目されてしまいましたもんね。
山邊 それで活動の幅を狭めてしまっていたことも事実だったので、去年それを撤回して、TIF(Tokyo Idol Festival)でアイドルの現場に戻ったんです。やっぱり自分たちで「アーティストです」「アイドルです」っていうのは違うかなと思うので、そこは見た人に決めてもらえたらなって。
庄司 その期間があったことで、「女子流は女子流でいいんだ」って思いました。ここだけってこだわらず、自分たちのできることはいろいろやっていきたいし、女子流らしさを追求していきたいし。女子流と言ったら、これが魅力だよねっていうところをもっと確立していきたいです。
■その「女子流と言ったら」は、自分たちではどう考えているんですか?
庄司 やっぱり楽曲ですかね。いま20歳とかになって、やっと。
■やっと歌詞に年齢が追いついてきた感じはしますよね。
庄司 歌詞も、アレンジも、小さかったときは「ここのベースがかっこいいよね」とか言われても、正直わかんなかったんですよ。でも、いまになって昔の曲を聴くと、「こんなかっこよかったんだ!」みたいな発見がたくさんあって。それはここまで続けてこられてよかったな、気づけてよかったなと思います。
■2年以上アイドルのイベントから離れていましたけど、戻ってきて変化はありました?
新井 みなさん想像していた以上に温かくて。最初に出たTIFで、ものすごく久しぶりに“おんなじキモチ”(2010年発表の2ndシングル)をやったんですけど、後ろの人たちまで一緒に踊ってくれて。本当に幸せであふれていましたし、最後は感極まって、涙が出て。
山邊 そのときに2016年にリリースした“深海”もやったんですけど、みんな知らないだろうなと思っていたら、曲振りをしたときに「おお〜!」と歓声があがって。意外と見てくれていたんだなと思って、うれしかったんです。でも、出るイベントによっては、やっぱり知らない人もたくさんいるので、その人たちにどう伝えるか、これからもっと研究していきたいです。
■TIFで“おんなじキモチ”を聴いた人のなかには、泣いていた人もいると思うんですよ。もう二度と聴けないと思っていましたから。
中江 自分たちの曲を封印するって、よくわかんないことをしていましたよね…。でも、大きく言えば、歌って踊って音楽の楽しさを伝えるということは、いまも昔も変わりなくて。自分たちの曲を自分たちの表現でパフォーマンスして、それをTIFの場で受け入れてもらえたことがうれしかったんです。ステージに立つ前は、怖くて震えていたんですよ。どう受け取られるのかなって。
■一回離れたからこそ、わかったことですよね。
中江 そうですね。だから“おんなじキモチ”は、よりいっそう大事な曲になりました。
山邊 でも、女子流の代表曲が“おんなじキモチ”、“鼓動の秘密”、“Limited addiction”とかで止まっている人が多いことも事実なので、最新の“ラストロマンス”をそれに並ぶ曲にしたい気持ちは強いです。いまの女子流だってすごいんだぞ、むしろ前よりもすごいんだぞっていうのを見てほしい。