■生みの苦しみはなくスムーズに。
MAMI 苦しいと思ったことはないんですけど、例えば“ヘブンな気分”、これはもともとは爽快な疾走感溢れるロックチューンだったんですよ。でも“ヘブン”というワードが初めからあって、その言葉の当てはめ方が難しいねっていうところから紆余曲折あり、最終的にこのカタチになったんです。なので、苦しみというより、生み出したものがどんどん変化していく楽しみのほうが強かったですね。
RINA 制作の後半にできた曲なんですけど、アルバムに欲しかったポップな曲や明るい曲が揃ってきたなという実感がある中、やっぱりロックな1枚にしたかったので、「おもいっきりグランジをやりたいと思うんだけど、どう？」って3人に聞いて。（笑）そのときよくMudhoneyやNIRVANAを聴いていて、これくらい歪ませて作ってみようよってね。
MAMI そうそう。1曲目のインストも、今回初めてインストを作ったんですけど、やりたいフレーズは決まってるのに構成だけが全然決まらなくて、ああでもない、こうでもないって何回もやってたんですけど、最終的にもとのシンプルなカタチに戻るっていう。（笑）
HARUNA ひねってひねって、「これがいいんじゃない？」って言ったら、マネージャーが「わかりにくい」って。（笑）
MAMI 「いや、違うんだよ」って。（笑）やり過ぎてわかんなくなっちゃったし、やっぱり最初のがいちばんいいよねって。
RINA 遠回りの大切さを知りました。（笑）
■（笑）。『YELLOW』というタイトルは初めから決めてたんですか？
HARUNA 制作の後半につけたんですけど、もともとは違うタイトルを仮でつけてたんですよ。でもなんかそれじゃないんじゃないかっていうことになって。今回のアルバムはすごくハッピーで明るくてファンキーなものになったので、そういうサウンドに名前をつけるとしたら『YELLOW』かなって。
■ちなみにもともとのタイトルというのは。
HARUNA 今回サニーサイドな楽曲がたくさんあるので、サニーサイドなんとかっていう言葉をいろいろ考えてたんですね。それで『Sunnyside Motel』っていうタイトルをつけていたので……1曲目がMotelにかけて“Room No.7”なんです。
■あ！なるほど！
TOMOMI だから1曲目の説明がつかないんですよ。（笑）
HARUNA ここまで説明しないとわからないですよね。
RINA 歌詞カードにホテルのキーのイラストを描いて、そこにSunnyside Motelって入っているので、なんとなくつながる人はつながるかなと思います！
TOMOMI マイアミに実際あるんですよ、Sunnyside Motelって。看板とかすごくかわいいんですよ。
■結成10周年の年に素晴らしい1枚ができましたね。
HARUNA 楽器に出会ってからの10年、勉強勉強の1年を10年続けてきた中で、やっとメンバーの作詞作曲でできたアルバムをリリースできるのはすごくうれしいですね。
■ひとつひとつ夢を叶えてきたSCANDALですが…
RINA 全然飛び級できないっていう。（笑）
■いやいや、そこがいいんです。次の夢はなんなんだろうなって。
RINA 結成したときは大阪城ホールの前でストリートライブをずっとやってて、いつか大阪城ホールでワンマンライブができるようなバンドになりたいって、それが初めて4人で持った夢なんですけど、とにかく今はいい曲を作って、聴いてくれた人たちに音楽っていいな、バンドって楽しいなって気持ちになってもらうことだと思うんです。ドームとかアリーナとか、ゴールや夢がそういう目に見えるものじゃなくなったというか、ちゃんと音楽が好きな4人でやっていきたいなって、もっと気持ちいいバンドでいたいなって。
HARUNA 日本だろうが海外だろうが、ライブハウスだろうがアリーナだろうがドームだろうが、いつでもどこにでも対応できる自分たちでいたいですね。
Interview & Text：藤坂綾
