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SAM SMITH VANITYMIX 2017 WINTER COVER INTERVIEW

■今作はパーソナルな内容だと言っていましたが、自分が経験したこと以外のトピックも扱っているという記事を読みましたが、そうなんですか?

S そうだよ、だからこそパーソナルな作品になっているんだ。前作は交際や恋愛を歌っていたけど、人間は多様な面を備えていて、様々な感覚を持っているし、いろいろなことを考える。このアルバムでは、失恋をした個人としてだけではなく、25歳のゲイの青年として語っているし、ゲイの男性としての世界観が反映されているんだ。世の中のことを歌っているし、家族や友人たちのこと、また、彼らの恋愛のことを僕の意見として語っているんだ。悲嘆にくれているだけではない、それ以上の僕が収録されているんだよ。以前よりももっと言いたいことはあるし、実際この作品ではそうしているよ。

■今回は、ゴスペル的なコーラスを楽曲の所々に取り入れているということですが、どういうきっかけで?

S いつもはバッキング・ヴォーカルは自分でやっているんだ。前作ではゴスペル聖歌隊は参加していなくて、自分だけで全てのバッキング・ヴォーカルをレコーディングしたんだよ。でも今作ではそうするのがピッタリだと感じたし、ロンドンの素晴らしい聖歌隊と知り合って、彼らが最高のパフォーマンスを披露してくれたんだ。僕は音楽自体にそういった選択を任せていて、その音楽によく耳を傾けると、誰と一緒に作業するかということや、どういった質感にすべきかということを音楽が叫んでいるんだよ。

■また、サウンド全体も60~70年代のR&Bや、ジャズ、ブルースのような懐かしい耳障りのものが多い気がしましたが、そのあたりはこだわりは?

S このアルバムでは、僕の音楽に対するテイストもかなり違ったものになっていて、アレサ・フランクリンをよく聴いていたし、アルバム制作中はずっとジョージ・マイケルを聴いていたよ。彼の音楽はあらゆる意味でソウルフルだし、僕もああいったフィーリングを捉えたかったんだ。素晴らしいドキュメンタリー・フィルムの『マッスル・ショールズ』のようなね。今作の音楽には苦悩が存在していて、でも僕はそこが気に入っているよ。それに比べて前作の『イン・ザ・ロンリー・アワー』は流暢で悲しくて、もっときれいな感じだね。

■ヴォーカリストとして、今回気をつけたことは?声帯手術をしたことで、ヴォーカルスタイルに変化があった気がします。特に“プレイ”で響かせる低音は、今までにはない芯の強さを感じさせるもので印象的でしたけど。

S ありがとう。確かに今作では僕のヴォーカルスタイルも前作とは違っているんだ。正直に言うと、偶然そうなったんだよ。オフを取っている間、僕はビールをよく飲んでいて、外出して、パーティして、遊び過ぎていたくらいだったからね。だからスタジオに入っても僕の声はしわがれていたんだよ。それはよくないことだけど、音楽的にはよかったんだ。その影響で僕は声を損傷したくはなかったから、高い音程では歌いたくなくて、低い音程で歌ったんだ。今では僕も自分の声を大切にしていて、レコーディング中と同じように歌えるようにしているから満足しているよ。それに僕も今は25歳で、前作をレコーディングしたのは19歳、20歳だったから、声も年をとるよね。どんなアーティストでも年をとると声が豊かになると思うよ。

■ヴォーカリストとして最も大切なことは?

S 今の時点での自分の声を維持することだね。これからこの作品のためにパフォーマンスしたり、ツアーに出るからね。曲作りやレコーディングに関して言えばもちろんのこと、自分の声は大切にしているし、これからもそうなんだけど、声に対してはあんまり神経質にならずにリラックスした気持ちでいるんだ。アルバムを聴いてくれる人たちに、その音楽のエモーションを聴き取ってもらいたいからね。パーフェクトにはしたくないし、クリーンなサウンドにはしたくないと思っているよ。僕はそういった音楽には惹かれないからね。エタ・ジェイムスや(エイミー・)ワインハウスが好きだし、アレサのヴォーカルにでさえ、不完全さが存在している。だからこそ、人間味があるし、リアルだし、生々しいんだ。僕もそういうものを求めているよ。

■日本でも、サムの歌声を待っているファンがたくさんいます。彼らにメッセージをください。

S 嬉しいよ。ハロー!日本のみんな。この一年半、僕のことを待っていてくれて、僕がアルバムを作れるようにしてくれたことに心から感謝したい。僕も言いたいことがたくさんあるんだ。今はこうしてリリースできることを嬉しく思っているよ。今度は一緒に歌う番だね。日本に行くのが待ち遠しいよ!

PROFILE
現在25歳のイギリス出身のシンガーソングライター。「BBC Sound of 2014」で1位を獲得し、2014年にデビューアルバムをリリース。同アルバムは2015年に行われた第57回グラミー賞にて主要3部門を含む4部門を受賞し、世界売り上げ枚数1,200万枚を突破。誰もが涙し、心を動かされる天使の歌声を持ったアーティスト。

samsmith.jp

RELEASE
『スリル・オブ・イット・オール』
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UICC-10034
¥2,700(tax in)
UNIVERSAL INTERNATIONAL
11月13日ON SALE

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