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SAM SMITH VANITYMIX 2017 WINTER COVER INTERVIEW

生で歌うこと、ファンの前に立つことこそが僕の生きがい
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デビューアルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』によって世界的に大ブレイクを果たし、全世界で大成功を収めたサム・スミスが、3年振りとなるニューアルバムをリリースした。サムの卓越した唯一無二のヴォーカル・レンジと心揺さぶるソングライティングの才能が再び実証された、今作に込めた思いや制作過程など話を訊いた。

■アルバムタイトルと今作に込めた思いやテーマは?

S アルバムタイトルは『スリル・オブ・イット・オール』で、このアルバムは『イン・ザ・ロンリー・アワー』をリリースしてからの過去2年間における僕の日記なんだ。一人の人間の一つの感情を収録していた前作とは違って、このアルバムの収録曲全曲がそれぞれ違ったストーリーとなっていて、多くの異なった感情を表現しているんだ。僕が書いた最もパーソナルな内容になった。これまで本当に胸の踊るような数年間だったからね。

■ファーストシングル“トゥー・グッド・アット・グッバイズ〜さよならに慣れすぎて”は、前作同様ジミー・ネイプスと制作したそうですが、この曲はどういう曲ですか?また、彼とはどういう話し合いをしながら制作していったのですか?

S “トゥー・グッド・アット・グッバイズ〜さよならに慣れすぎて”は、ジミー・ネイプスと素晴らしいデュオのスターゲイトと一緒にロンドンで書いたんだ。この曲を書いている時の僕は、辛い恋愛をしていた時期だったんだよ。この曲は相手のことを歌っているのではなく、自分のことを歌っているんだ。当時、僕は失恋に対して自分の感覚が麻痺していて、それは良くないことだとすぐに気がついたんだけど、とにかく、その時の僕はそういう感覚でいて、この曲は僕にとってのセラピーセッションのようなものだったんだよ。

■前作は「好きな人とそばにいられるだけでいい」という感情を綴った曲が多かったけど、この曲では「優しくされるほど辛くなる」という心情を描いていて、きっとサムは、濃密な恋愛をしたのではないかと想像したのですが…。

S 僕はこれまで恋愛にはそれほど恵まれてはいなくて、ファーストアルバムの時は19歳で、一度も恋愛をしたことがなかったんだ。当時はロンドンに住み始めたばかりで、誰とも付き合ったことがなかったから、ファーストアルバムは純粋に報われない恋を歌っているんだ。でも、このアルバムでは僕も幾つかの恋愛を経験してきて、以前よりも少し歳を取ったような気持ちでいるし、もっと経験を積んだと感じているよ。それでも、まだまだ理解していないことはたくさんあるけどね。多くの恋愛というか、出来れば明日にでも恋人を見つけたいくらいだけど、まだ経験すべきことはたくさんあると思うよ。

■“トゥー・グッド・アット・グッバイズ〜さよならに慣れすぎて”のミュージック・ビデオは、曲の歌詞とダイレクトにリンクした内容になっていますが、どのようなメッセージを込めて作ったんですか?

S いろいろな形での別れに伴う感覚を表現したビデオにしたかったんだ。あのミュージック・ビデオでは、幾つものストーリーやあらゆる形の別れが表現されているよ。それと、イングランドを捉えた内容にすることも重要だったんだ。イングランドはアルバムのほとんどを作った場所でもあるし、僕が一年半の休みを過ごした場所でもある。前作がアメリカで成功したことで、みんなは僕がロサンゼルスに飛んでいってあそこに住むものだと思ったようだけど、そうではないよ。僕は今でもロンドンに住んでいて、自分の家としている場所を象徴するビデオにすることが重要だったんだ。

■前作『イン・ザ・ロンリー・アワー』の発売から、人生を大きく変える様々な出来事があったと思いますが、一番心に残っていることは?

S そうだな、『イン・ザ・ロンリー・アワー』で経験した一番心に残っている出来事といえば、グラミー賞だね。あの夜はそれまで経験したことのない感覚だったよ。本当に素晴らしい刺激的な夜だった。そうは言いながらも、やっぱりショウ、パフォーマンスすることかな。100名の会場から2万人がいるアリーナでパフォーマンスするようになったから、僕は大勢の観客の前で歌うことにすぐに慣れなければいけなかったしね。パフォーマンスすることの短期集中コースのようで、今は再びステージに立つのが待ち遠しいんだ。以前よりも自分は準備ができているように実感しているし、待ちきれないよ。生で歌うこと、ファンの前に立つことこそが僕の生きがいなんだ。

■前作と本作との違いは?

S それほど違いはないと思うよ。僕の作るアルバムは、どれもそれほど違うものにはならないと思う。というのも、僕の音楽はミニマルでパーソナルだからね。今作で違ったところと言えば、僕が年齢を重ねていくうえで、取り上げた内容が違っているということかな。それと、ゴスペル聖歌隊がよりフィーチャーされているし、ブラスやストリングスも多く収録されていて、前作よりも曲が音で溢れているんだ。ファースト・アルバムよりも悲しみは少ないけど、僕が表現しようとしていることに変わりはなくて、リアルではないことは取り上げないようにしているんだよ。できる限りオーガニックな音楽にしようとしているし、アーティストとして、それが自分の一番得意にしていることだと信じているからね。

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