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NakamuraEmi WEB LIMITED INTERVIEW

どれだけ時代が進化しても
人間にしかできないことがある

メジャー3枚目のアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU VOL.5』をリリースするNakamuraEmi。自分と向き合い、戦い続ける彼女が今作で歌うのは“コミュニケーション”。いくら便利な時代になっても人の心は操れない。どれだけ時代が進化しても人間にしかできないことがある。いまという時代を自分らしくどう生きていくか――日本、社会、環境といった問題もからめながら自身の経験、感情を人間臭く綴った全8曲。ここから自分だけのきっかけを見つけてほしい。

■アルバムのテーマは何かあったんですか?

N   特にテーマはなく、この1年でできた曲をまとめてみたら、わたしってこんなこと考えてたんだなって曲が詰まった感じです。音楽業界にもまだ慣れきれてなくて、でもいままでのように会社員でもなくて、まだ何でもない自分なんだけど、いろんな人に見てもらう立場にいるということを客観視したとき、わたしを見ている人や環境や社会、日本という大きなところに目がいって、そういうことをSNSとかから感じたりして、その感じたことを書いた曲が多いですね。

■少し大きなテーマというか、社会との関わりや人との関わりが書かれた曲が多いですね。

N   いままではそこまで頭がいってなかったんですけどね。いまは何でも機械でできるような時代で、自分も携帯を欠かせなかったりするんですけど、昔を振り返ると、例えば運動会って昔は運動場にシートを広げてお弁当を食べてたじゃないですか。

■はいはい。

N   でもいまは親御さんが運動会にずっといられなかったり、来れなかったりっていう子どもがいるから教室で普通にお昼ごはんを食べるところも多いそうなんですね。

■そうなんですか。

N   あと、徒競走で順位を着けるといろいろあって、順位を着けずにみんなで手をつないでゴールするとか。

■それはよく聞きますね。

N   競争って子どもにとって大事なことでもあると思うし、お弁当の話で言えば、お父さん、お母さんが来られなかったら「一緒に食べようよ」って誰かが声をかけるとか、先生が声をかけるとか、そうすることでいろんなことをクラスメートが理解したり、あたりまえに気遣ったりできるようになると思うんですよ。

■はい。

N   すごくちっちゃなことだけどそういう大切なことがいまの若い人たちに大人が教えられなくなっちゃったというか、人間でしか助け合えない大事なところを、進化していくいまの時代の中で伝えることができるのはわたしの世代がギリギリなのかなと思って。

■なるほど。

N   別に一緒にお弁当を食べなくちゃいけないわけではないんですけど(笑)、例えば、家族が来れなくてさびしい想いをしてる子の心があたたかくなることって、誰かが「一緒に食べようよ」って言ってくれたことはもちろん、自分のことをわかってくれる気持ちとか、そういう言葉にできないものだったりすると思うんですね。そういう言葉にできない、カタチにできないものを残すためにはこうやって伝えていくことが大事だと思うし、かといって、どうやって若い人たちに伝えるかっていうのは自分の中でもまだテーマではあるんですけどね。

■自分が大人からあたりまえに教えてもらったことをあたりまえに伝えていきたい。

N   そうですね。例えば、いまの若い子は固定電話を知らない子が多いんですよ。新入社員として新しく会社に入って「これ何?どうやって取るの?」って。それってこっちからすると常識ないなって思っちゃうけど、大人があたりまえに作ってしまった環境というか、家に固定電話がないのは大人がそうしてたからってこともあるじゃないですか。じゃあそこで、電話の取り方がわからないことは若い子にとっては常識外れなのではなくてあたりまえということを大人がちゃんと理解したうえで、その子たちに何を伝えたら一緒に楽しく仕事ができるだろうかとか、お酒でも飲みに行ってみるかとか、そういうコミュニケーションをわたしたち大人から若い人たちに取ることが大事なのかなって。なのでこのアルバムは一言で言ったらコミュニケーションというのがいちばん大きなテーマですね。

■なるほど、コミュニケーション。1曲ずつお話訊いていきたいのですが、1曲目の“Don’t”はTVアニメ「笑ゥせぇるすまんNEW」のオープニングテーマにもなりましたが、昔のアニメは観てました?

N   観てましたよ~。学校から帰って、4時くらいから再放送でやってるのを観てて、喪黒さん怖いーーーって。(笑)なので最初お話をいただいたときはわたしにできるのかなって思ったんですけど、脚本を読ませてもらって、自分が大人になって欲張りになったり、ずる賢くなってるところを喪黒さんに痛く突かれてるなと、お仕置きされる側の気持ちがわかったのでこれは書けるなと思いました。けっこう自分に通ずるところがあって、素直に書けましたね。

■タイアップだからと意識することもなく。

N   それを意識しちゃいけないとは思ってたんですけど、実は最初に出来上がった詞は、「笑ゥせぇるすまん」ぽくなっちゃってた箇所が結構あって、そこをメンバーに「Emiっぽくなくない?」と指摘され、気づかされ、もう一度「笑ゥせぇるすまん」というフィルターも通しつつ、NakamuraEmiとしてもちゃんと成り立つ曲ということを考えながら、試行錯誤して作ったんです。

■NakamuraEmiの曲としてもしっかり存在できてますよね。

N   結局自分らしい曲になったな、と。「笑ゥせぇるすまん」に頼っちゃいけないというか、タイアップというものに頼らず、ひとつの曲としてお客さんが聴いてくれるかを考えるということをメンバーたちに教えてもらった曲ですね。

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