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MOROHA WEB LIMITED INTERVIEW

圧倒的な言葉で一瞬を切り取る音楽

1本のマイクと1本のアコースティック・ギター。この最小限の編成でその日の感情を歌うMOROHA。その圧倒的な言葉の力に正直耳をふさぎたくなるときがある――「おまえはそれでいいのか?」。それでもこのドキュメンタリーを観たとき、自分からは決して逃げることができないことにあらためて気づかされ、MOROHAに出会えたことにあらためて感謝した。6月14日にリリースされたドキュメンタリーDVD+CD『其ノ灯、暮ラシ』の話をはじめMOROHAについて、アフロとUKに訊いた。

■ライブ映像ではなく、ドキュメンタリー映像を撮ることになったのは何か理由があるんでしょうか。

アフロ 映像作品を出したいなとは思っていたんですけど、ライブはライブで観てもらってナンボだなっていう想いがあったので、ライブ映像っていう選択技は優先順位的にはけっこう下の方にあったんですね。じゃあそれ以外はなんだろうってなったとき、3rdアルバム(『MOROHAⅢ』)のツアーがけっこう長いツアーだったので、その記録を残しておきたいなって。もともとエリザベス宮地さんについてきてもらって、裏側を撮ってもらったりしていたので作品にできればいいねって、そこまでは宮地さんと共有してたんですけど、そこから先は完全に宮地さんが考えたもので、ほぼ宮地さんが筋を書いてって感じですね。

■内容もほぼというか、完全に宮地さんの作品でしたね。

アフロ もうちょっと僕らをかっこよく撮ろうっていう気持ちがあるのかなと思っていたんですけど、全然ないというね。でもなんかそれがすごくよかったんですね、結果的にですけど。普通というか、よくあるものを作ってもっていう精神性が俺たちもあるし、宮地さんもあるので、そこがうまく共鳴してできあがったような気がします。

■じゃ、ほんとに宮地さんにおまかせで2人はただ撮ってもらったわけですね。

UK 全然なりふりかまわず、のびのびやっていましたね。

アフロ 最初に一応ミーティングしようってなったとき、「お客さんのところに泊まりに行こうと思うんだよね」って聞いて、「それ絶対おもしろいよ」って。俺たちのことをわかってもらうとしたら、ライブを観てもらうのがいちばんだから、それ以外で俺らのことをわかってもらうとなると、きっとそういう角度で撮っていくのがいいよねって、そういう話はしたんですけど、そこから先は完全に宮地独創。俺らは映像がほぼできあがってから初めて観たので、「え?何してくれてんの?」って。

■そういうシーンもありましたね。(笑)

アフロ 宮地さんの号泣シーンとかね。あきらかにMOROHA関係ないじゃん、みたいな気持ちになりつつも、でも最後まで観たら俺たちの作品としてどうかってことではなく、ひとつの作品として素晴らしいものだったので、それに対してどうこう言うことはないなって。

UK 期待どおりというか、それ以上のものができていたんで、これは何も言う余地はないなっていう感じでしたね。MV(『バラ色の日々』)を撮ってもらったのが最初で、それから要所要所で絡むだけでそんなに仲良くはなかったんですけど、ここ1~2年くらいでけっこうがっつり絡むようになって、映像作品を撮るときやライブの映像を撮るときは宮地さんにっていう関係になりましたね。

■ちなみにアフロという名前はどこからきたんですか?

アフロ 俺、もともとアフロヘアーだったんですよ。野球部でずっと坊主だったんで、その反動で伸ばしてパンチある髪型にして、そんときにラップを始めて。で、こんなに長く音楽やるとは思ってなかったので「アフロでいいんじゃない?」って感じでつけたんですけど、変えるタイミングを見失っちゃってね。ひとりでもアフロくんって呼んでくれる人がいると、変えようとするときにそいつのこと思っちゃったりして。

■なるほど。

アフロ そいつは愛着を持って呼んでくれてるわけだし、俺をラッパーとして認識して呼んでくれてるわけだから、すごく貴重な存在っていう想いもあって変えられなくて。いまも変えたいんですけどね、歌詞にも入れちゃったりしてるから、もう変えられないですけどね。

■UKさんは?

UK これほんとはユーケーって読むんじゃなかったんですよ。下の名前がゆうきなんですけど、X(Japan)が好きだったから、もともとビジュアル系みたいなバンドをやってて、ああいう人たちってアーティスト名みたいなものにすごく凝るじゃないですか。

■はいはい。わかります。

UK だから僕はそういうX精神みたいなもので、UKって書いてゆうきって読んでたんですけど、それを普通に呼んだらユーケーになるじゃないですか。周りもみんなそう呼んでたし、アフロももちろんユーケーって勘違いしてた。それでもうあとに引けなくなって、いちいち訂正するのもめんどくさいからいいや、ユーケーでって。(笑)

アフロ これはね、実はちょっと違うエピソードもあって、こいつはくそ人見知りなんですよね。いまはそうでもないんですけど。初期はもっと人見知りで、もともとクラブで演奏してたから、クラブの関係者に紹介するときに、UKくんは基本俺の横に立ってるだけだから俺が紹介するハメになるんですよね。そこで俺が最初にユーケーって勘違いしてたから、全員にユーケーって紹介したんです。

■そこで違うって言わなかったんですか?

アフロ 違うとか一切突っ込みも入れずでしたね。

UK いや、人見知りとはちょっと違くて、シャイはシャイなんですけど、クラブでやってたときは、俺はクラブの人間を全然信用してなくて。

アフロ 名乗ってたまるかって思っていたんだよね!

UK そうそう。俺は基本的に嫌いな人とは話したくないし、それプラスなぜか敵から入るっていう若さもあって、そういう人とは全然話したくもないし、もともとヒップホップはやりたい音楽でもなかったから、こんなとこすぐいなくなるから、そこで自分を表現してもしょうがないだろう、みたいなスタンスでいたのが内向的になってしまった原因なんですよ。

■そこから内向的になってっいったってことですか?

UK 内向的というか、普段は普通にしゃべるんですけど、俺はこんなところで終わってたまるか、みたいな精神があって。でもこの人たちはたぶんずっとここでやってるから、この人たちに今の自分を表現したところで何も生まれないなと思ってたのが当時の俺で。

アフロ いまのエピソードをまとめると、「ヤなヤツ」ってことですよね。もう簡単でしょ、UKくんはヤなヤツ。

UK 同世代の仲いい人以外は名前も知らない人もいるし、連絡先も誰ひとり知らないし、どんなにレギュラーイベントをやってても僕と話す人はいないし、そういう状況でしたね。でもいまもそれは変わんないと思いますよ。自分のフィルターみたいなものがあって、俺のこと全然好きじゃないし興味も持ってないけど、とりあえずその場しのぎで話してみようかなみたいな人は、もう不毛だなと思っていて。だったらお互い何も触れずにその日を終えるほうが俺は平和だと思ってしまうタイプなので、そういう感じのときがいまでもたまにありますね。そのかわり心が開けている人とか、話が合うなって人とはすぐ仲良くなりますね。

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