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MACHINA WEB LIMITED INTERVIEW

MACHINA

YouTubeで500万再生を記録したApple Girlが、苦難の音楽人生を乗り越え新プロジェクトを始動
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「MACHINA」(マキーナ)は韓国出身のシンガーソングライター、Yeo Hee(ヨヒ)によるソロプロジェクト。彼女は2010年、複数のiPhoneを駆使してレディー・ガガやビヨンセの楽曲をカバーし、Apple Girlとして世界中から脚光を浴びたものの、その後はひたすら運命に振り回された。ラテン語の「デウス・エクス・マキナ」に由来するプロジェクト名は、「どんでん返し」という意味を持つ。苦難の連続を乗り越え、ミニアルバム『Hear Me』を完成させた彼女に、波乱万丈な音楽人生を語ってもらった。

■音楽に興味を持ったのは、いつ頃からなんですか?

M お母さんに聞いたのは、5歳とか6歳とかのときに、流行っていた歌謡曲を全部覚えていて、カラオケに行くとマイクを離さない子だったらしいです。小さい頃はいろんな習い事をしていて、テコンドーもしたし、水泳もしたし、ピアノもやったし、絵も習ったし、人前でしゃべる練習とかもありましたね。全部お母さんにやらされたんですけど、本当に忙しい小学生でした。でも、音楽は好きでした。

■プロになりたいと思ったのは?

M 私は光州という街の出身なんですけど、小学校5年生から2年間、地元のテレビ局の合唱団に入っていて、海外で歌ったこともあったんです。それでソウルに行きたいと思うようになって、中学生の頃にはプロになりたいと思っていた気がします。

■実際にソウルに行ったのは大学で?

M そうですね。でも、お母さんは音楽をやることに対して、すごく反対したんです。安定した仕事をしてほしかったらしくて。私は諦めたくなかったのでケンカして、音楽の勉強をして大学に合格したらソウルに行かせてもらう約束をしたんです。それが高校1年生のとき。それからアカデミー(塾)にも行って、大学に合格して、ソウルに行くんです。

■高校生のときは、どんな音楽を聴いていたんですか?

M 最初の頃は普通にポップスとかを聴いていたんですけど、高校3年生くらいからは、ほとんどジャズしか聴いてませんでした。マイルス・デイヴィスとか、セロニアス・モンクとか、オスカー・ピーターソンとか。それとソウルフルな歌手が好きで、チャカ・カーンとか、エラ・フィッツジェラルドとか、アレサ・フランクリンとかをよく聴いていました。コピーもいっぱいしてましたね。

■渋いですね。そういう音楽を聴いている高校生は、珍しかったんじゃないですか?

M そうなんですかね。もともと音楽はブルースから始まってるから、そこから勉強しなきゃいけないんだという気持ちがあって。(笑)

■Apple Girlの活動をするようになったのは、大学生の頃でしたよね。iPhoneのアプリを駆使してカバー曲を歌う動画が500万回以上再生されて、日本でもソフトバンクの孫正義社長が絶賛して話題になりました。

M CNNとか、海外からも連絡が来て、ビックリしましたね。もともとYouTubeはよく見ていたし、やっぱり自分PRの時代だから、私もやってみようと思っただけで、プランがあったわけではないんです。

■その年に韓国でデビューしましたけど、この動画がきっかけで?

M そうですね。せっかく話題になったので、作曲家チームのお兄さんたちと会社を作って、アルバムを作ってみようということになったんです。

■でも、それはうまくいかなかった?

M はい。完璧な準備ができていたわけではなかったし、自分の足りなさも絶対にあったと思うし。会社も始まったばかりで、どうしていいのかわからない場面もあって。

■日本で活動するようになったきっかけは?

M 韓国でデビューした後に、日本の音楽関係の方からTwitterでメンションが来たんです。そのとき私は全然わからなかったから、会社を通して話してもらったんですけど、韓国まで私を観に来てくれて、そこから始まりました。その後、最初の事務所の社長さんの家にホームステイして、日本で暮らし始めたんです。

■日本ではYeo Heeの名前で、2012年に配信アルバム『Green or Red?』をリリースしましたよね。あれはどういう経緯だったんですか?

M 実は私が日本に来た直後に、がんばってやりたいと言ってくれたレコード会社の人が、会社を辞めてしまったんです。私も日本語を覚えなきゃいけなかったので、3〜4カ月は待っていたんですけど、なかなか動きがないし、曲もないし、自分でやらなきゃいけないのかなと思って、DTM(PCやシンセサイザーでの音楽制作)の勉強を始めたんです。

■そうなんですね。あんなにアプリを操っていたから、もともとできる人なんだと思ってました。

M アプリは簡単だから。ピアノやギターを弾くことは多少できたんですけど、それまでは自分でアレンジするという発想がなくて。いくつか曲ももらったんですけど、あんまり好きになれなかったし、自分でやるしかないと思って。それで社長の家に住んでいたから、「今日はこれを作りました、どうですか?」って毎晩プレゼンするようになって、それを集めたのが『Green or Red?』だったんです。

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