最新作『JOANNE』に込めた想い。
“ありのままの、等身大のガガ”を描く、自伝的アルバムが誕生。
9月9日に3年振りの新曲“パーフェクト・イリュージョン”を世界同時解禁。そして10月21日にその新曲を含むアルバム『ジョアン』が世界同時発売されるやいなや世界73の国と地域のiTunesアルバム・ランキングで1位を獲得、全米アルバムチャートでも初登場1位を獲得するなど全世界で大きな話題を呼ぶ。今回そのプロモーションのため満を持して、2年2ヶ月振りの来日となったレディー・ガガに話を訊いた。
■最新作の『ジョアン』は、ご自身初の自伝的アルバムになっていますが、ありのままを描き出した内容を、なぜこのタイミングで作ろうと思ったのですか?
L はじめての自伝的アルバムという訳ではなくて、これまで私がリリースしたすべてのアルバムは、ある意味自伝的な部分をすごく持っているの。“ボーン・ディス・ウェイ”にしても、私が学生時代に、まわりからいじめを受けていた経験であったり、そのころの感情や気持ちなどを作品にしたり、歌に込めたりしてきたの。ただ、これまでの作品に比べると最新作の『ジョアン』は、自分のこれまでの歴史について、より深く掘り下げた、非常に私的な作品になっているのは確かだわ。そして、これは私の家族の核心をついた作品にもなっているの。私の父親の姉、ジョアンが19歳の時に自己免疫疾患の一種の難病を患って、19歳という若さで他界しているんだけど、それが私たち家族にとって、特に父親にとっては、非常に大きな影響を与えた出来事だったの。今作品を作るにあたって、マーク・ロンソンが、「ガガ、君がポップソングを書けるのはわかっているよ。でも君がどうしても、今、人に伝えなければいけない、どうしても書かなければいけない歌というのはどういう歌なんだ?」と聞かれたときに、私は家族について自分の想いというものをまだ歌にしていないということもあって、亡くなってしまった叔母についての作品を書こうと思ったのよ。
■ガガさんのパフォーマンスはいつもパワフルで私たちはとても元気をもらうことができます。そのパワーの一番の源はなんですか?
L 一番の力の源になっているのは私の家族だわ。特に女性ね。自分の母親であり、祖母、また祖母の母親、私たちの家系には、非常に強い女性がたくさんいたの。私たち家族は、労働者階級で、何もないところからみんなで一生懸命働くことによって家族を支えてきたの。私と妹がしっかり教育を受けることができたのも、そういった家族の一生懸命働いた結果がもたらしてくれたものだと思うわ。だから私に力を与えてくれているのは、アメリカに移民としてイタリアからイギリスを経由してニューヨークに移住してきて、何もないところから家族をしっかりと築き上げていった先祖の力を感じるからこそ、すごく力強いパフォーマンスができるんじゃないかと思うわ。あとは叔母のジョアン。私は実際に彼女には会っていないんだけど。でも、どんな人でも自分の家族の中で、実際には会っていなくても、他界してしまったかもしれないけど家族を見守ってくれている、みんなが困ったときにすごくその人に向かってお祈りをする、そんな存在がいると思うわ。私にとって、まさにジョアンがそんな存在なの。彼女は私に、苦労や辛さなどを強さに変えるということを教えてくれたわ。だから今回のアルバムを『ジョアン』という作品にしたの。
■アルバム『ジョアン』から日本のファンに1曲捧げるとしたらどの曲でしょうか?
L そうね……悩むけど、“ミリオン・リーズンズ”を選ぶわ。この曲は、ヒラリー・リンゼと一緒に書いた曲なんだけど、強い女性であってもピンクを着ても大丈夫なんだと、ハイヒールを履いたり、ヒラヒラな衣装を纏っても、それはそれでいいのだということを主張しているの。この曲は特にサビの部分が女性らしい曲なんだけど、その中で、ここを立ち去るための100万個の理由があるのはわかるけれど、この理由からここを諦めようと思う気持ちはあるけれど、でも私に今必要なのは、ここを頑張り抜くための理由ひとつ、それだけを私は求めているというメッセージ曲なの。本当に信じることの素晴らしさや、信じることでどれだけ人が力を持てるのかということであり、それはまさにジョアン、私の叔母がそういう人間だったということでもあるわ。大事なこの曲は日本のファンの人たちが辛い時に、「大丈夫だよ!」と言ってあげられる、信じることの素晴らしさをみんなに知ってもらいたい、「みんなもひとりじゃないんだよ」ということを知ってもらいたい、そういった曲なの。
■力強いメッセージをありがとうございます。今年ガガさんは30歳になられましたが心境の変化などありますか?
L これはひょっとしたらアメリカだけの話かもしれないですが30を超えると、ポップスターとしては、ちょっと歳がいってしまったんではないかと思われがちなところがあるけど、私自身は決してそんなことはないと思っているわ。歳を重ねることを本当に美しく、素晴らしいことだと思っているし、30歳を迎えて、私は自分が本当にすごく女性らしくなったと思うし、人間としても成長したと思っているわ。また自分らしくいるということにすごく自信が持てるようになったの。当然、アーティストとしても自分の考え、あるいは能力といったものにも、しっかり自信が持てるようになったわ。特に男性がどうしても多い音楽シーンの中で、女性アーティストとして認められなければならないと、今まで肩に力を入れすぎて頑張っていたところもあるけど、今はすっかりここに自分の居場所があると思えるようになったわ。歳を重ねるということはそれだけ賢くなるということでもあると思うし、より成長していることをすごく実感しているわ。