■各楽曲に話を移すと、個人的に今回はフルーツソングの復活も嬉しかったです。(笑)
松川 (笑)。“桜桃(さくらんぼ)”ですね。2作ぶりのフルーツソングですが、やはり今回も哀しい歌になってしまいました。(笑)
■この曲の乙女心はたまらないです。あと、その哀しさとダイナミズムの同居も耳を惹きます。
松川 今回全6曲収録なんですが、勢いのある曲とミディアムな曲の割合がだいたい半々なんです。言い換えるとテンポを落とした曲が増えたってことで。それだけキチンと伝えたいところがあったんでしょうね。実はテンポを落とすのって、速い音楽性をやってきたバンドにとって怖いところもあって。ごまかし切れないし、デリケートさや緻密さが大事だったりしますからね。
■今回そんなミディアム曲が増えたのには何か理由でも?
松川 自分たちは両方とも出来るし、行き来できることを表したかったんです。もちろんライブハウスの至近距離や密接感、そこでの一体感は今でも大好きで楽しいんですけど、逆に自分たちは大きなフィールドやステージでもキチンと映えるし、表せるバンドだと信じているところもあって。見ている先も何年か前とは変わってきているんですよね。それもあって今作は、どんなところで演ってもちゃんと響き渡る楽曲を揃えたくて。それに辿り着けたのも過去に狭いところも大きなところも、それぞれでやってきて、それぞれにそんなに相違がなく表現できたり、映える楽曲を作り出せるようになったからこそなんでしょう。
■1曲目“怪人一面相”も、かなり猟奇や奇譚な雰囲気を有していて興味深かったです。
塩崎 曲が出揃った時点でこの曲を1曲目にしようというのはありました。勢い的にも面白み的にも。
松川 アルバムタイトルやこの曲にも出てくる『薔薇色ノ怪人』は、丸尾末広さんの「薔薇色の怪物」からモチベートされたんです。絵の世界観が好きで。あの危なっかしい感じや怖いモノ見たさ、その奥に秘めた哀しさや、絵の持つ独特の雰囲気を自分たち流に表現したい部分もあって。哀しい感情や人の琴線の触れって、けっこうスリリングさと表裏一体だったりするじゃないですか。その辺りを表したかったんです。
■で、今作のリリース前後で大阪と東京で2マンライブが控えています。
塩崎 正直、ワンマンでも良かったんですが、あえて2マンでやります。東京(3/17 W / My Hair is Bad)も大阪(3/10 W / GOOD ON THE REEL)と、タイトル通りそれぞれ怪人の呼び名がピッタリなバンドたちと一緒にやります。(笑)
■自身主催のフェス『I ROCKS』が今年も4月に2Daysありますね。
塩崎 今回はこれまでの「故郷編」という地元を中心に活動しているバンドと共に作り上げる大舞台を一旦とっぱらって、2Daysとも出身地は関係なく盟友と呼べるバンドと作り上げていくスタイルにしました。これまでのカテゴリを取っ払って、地元バンドも出るし、県外バンドも出るそんな2日間にしちゃおうと。ただし地元のバンドたちにもやっぱり頑張って欲しいし、フックアップしたいんで、「新故郷編」と題して3月に先鞭付的に地元のライブハウスで行います。計3日。なので今年はより大変です。(笑)
Interview&Text:池田スカオ和宏(LUCK’A Inc)
PROFILE
叙情的なリリック、パワフルなドラミング、空を切り裂く轟音ギター、縦横無尽にグルーヴするベース、幻想と狂奏が入り交じるピアノライン、どこか懐かしい印象のメロディがフロアを大きく揺り動かす。また、その世界とは裏腹な激情的ライブパフォーマンスで、自ら“狂想演奏家”と名乗り活動。現在までにアルバムをインディーズで4枚、メジャーで2 枚をリリース。
RELEASE
『薔薇色ノ怪人』
COCP-39899
¥2,160(tax in)
日本コロムビア/TRIAD
3月15日 ON SALE
LIVE
LACCO TOWER「薔薇色ノ怪人」発売記念「悪髪ノ怪人」
3月17日(金)渋谷CLUB QUATTRO
I ROCKS 2017 stand by LACCO TOWER
4月22日(土)群馬音楽センター
4月23日(日)群馬音楽センター