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LACCO TOWER WEB LIMITED INTERVIEW

フルボリュームで様々な自身のアイデンティティを魅せたLACCO TOWERの新作

哀しみ、美しさ、寂しさ、雅(みやび)、歌謡性、奇譚性、乙女心、エモーショナルさ…。このようにLACCO TOWERの音楽性は様々な表情を持ち、楽曲毎にこれらの側面を漂わせてきた。そして、その彼らならではアイデンティティをあえて今一度全開に標榜したのが、このニューミニアルバム『薔薇色ノ怪人』と言える。彼ららしさの様々な側面が次々と我々に鋭角に放たれたり、包み込んだりしてくれる今作。ややもすると各曲で好みが別れる懸念はあるが、逆に多くの人に響き、自分の為に歌われている歌が見つかる間口の広さを擁した楽曲群も魅力的だ。そんな今作についてをボーカルでソングライターの松川ケイスケとベースの塩崎啓示が語ってくれた。

■前作から9カ月という短いタームでの新作発表ですが、LACCO TOWERらしさが各曲でギュッと詰まった作品印象を持ちました。

松川  自分たちでもLACCO TOWERらしさを散漫にならず、且つバラエティさや幅を持って表せた1枚になったと思ってます。今作を通じて、改めて<自分たちのアイデンティティはここだ!!>というのを、いま一度ふちどれたかなって。

■それは?

松川  僕らメジャーデビューして2年目になるんですが、ここまでほぼ制約も無い中とても自由にやらせてもらった感があって。だからこそ常に、<自分たちが今後どのような方向に行くべきか>を考えているところもあるんです。そんな中、今回は<自分たちの良い面をもっと出すべきだ!!>という考えに行き着いて。おかげさまで、いい具合に各所で自分たちらしさが表せたんじゃないかな。

塩崎  その<自分たちらしさを各曲で全面に出してみよう!!>というコンセプトや、<行けるところまで行ってやろう!!>といった気概は、実は今作の制作当初からあって。おかげさまで自分たちらしさは極端なまでに全開に出来たかなと。

松川  そうそう。もう一段階上に行くためや更に良いものにしていく為にも、もう一度自分たちが尖った方がいいんじゃないかというのがありましたからね。

■様々なタイプのLACCO TOWERらしさが展開されている反面、逆に間口も広く、これまで以上に幅広い人がファンになるポテンシャルを感じました。

塩崎  これが今回のようなミニアルバムの良さなんでしょうね。曲が多いと散漫になるし、少ないと側面を伝え切れない。僕らのいろいろな引き出しがバランス良く出せたと自分たちでも思ってますから。

松川  タイトルの『薔薇色ノ怪人』からして自分たちっぽいですから。薔薇と一口に言ってもいろいろなタイプがあるじゃないですか。赤でも真紅もあれば淡い赤もあったり、青や黄色があったりする。それを各曲で出せたからこそのこのタイトルでもあるので。

■確かに各々の曲からみなさんならではのアイデンティティが伝わってきます。

松川  それは作品と作っている人間がより近くなってきた証拠でもあるんでしょう。ちょうど今は、この年齢で、今の体制で、バンドとして落ち着いていきつつも、どう上を向いて進んでいくかに対して、ある答えが見つけられつつあり、それに向かって5人の方向性が合ってきている時期でもありますから。緊迫感や切迫感も含め、それらが良い意味で今作には表れたかなって。

塩崎  サウンド面でも自分たちらしさを表すのは大前提に、今回も新しい試みをいろいろと入れてますから。やはり長くやっているとどうしても自分たちのセオリーに捉われがちになるじゃないですか。ややもすると近いパターンばかりになってしまう。そこは毎度避けたくて。自分たちらしいんだけど、キチンと新しい要素もある。今回もそんな作品内容を目指しました。

■確かにこれまでのみなさんらしい楽曲ながらも斬新性を擁していたり、新要素が耳を惹く箇所も多々見受けられます。

塩崎  あえて苦手なものでも、楽曲にアクセントを持たすために臆せず入れてみようという気概がみんなの中にありましたからね。元々ギターの細川は毎度そこにチャレンジしていて。今回は苦手なライトハンド奏法を入れたり。僕にしてもこれまでは不得手であまり使わなかったビブラートやスライドを多めに交えたりしてみました。おかげさまで、それらをむっちゃ練習したし、習得するいい機会になりました。(笑)

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