■なるほど。島で活動を続ける理由というのは?
タツヒロ もともと仕事をしながら音楽も楽しむというところからスタートしてるんですよ。普通の生活の中に音楽があるだけというか。そういう生活の中から生まれてくる曲がすごくたくさんあって、それがまた素敵なことだなと思って。島での生活があるから音楽ができるっていうことが僕らにとってはすごく大きいんですよね。
コウスケ あと、やっぱり奄美大島から発信したい気持ちが強いんですよね。自分たちがいろいろやってるからこそ島の人たちが活気づいてきてくれてるのもあるし、こういう人たちもいるんだなって思ってもらえたらうれしいし、いいことやらせてもらってるのかなっちゅう気持ちはありますよね。いろんな人たちとの出会いを通じて、誇らしいことをやらせてもらってるんだなって。
タツヒロ 先ほどお話したライブハウスのオーナーさんは大先輩なんですけど、僕らと同じように一度島を離れて、いろんな想いを抱えて島に帰った方なんですよ。島に帰ってあらためて島にないものがわかったからライブハウスを立ち上げて、島で生まれた僕たちみたいなヤツらの音楽をもっと島の人に知ってもらおうってラジオ局を始めて。そういう先輩がいて、そういう方たちとのご縁があって僕たちはこうやって音楽で表現させてもらえてるので、地元を大事にしていきたい気持ちはやっぱり強いんですよね。
■東京で人気が出たから応援しようというのとは違って、奄美という拠点があってこそということですよね。
タツヒロ そうなんですよ。東京で売れたからじゃあ応援しようっていうのはおかしいんじゃないかって、それはオーナーさんもよく言っていて。そういう方たちに背中を押してもらって、「島からいってこい!」っていう状況を与えてもらって、ほんとありがたい限りです。
■現在『宇宙兄弟』の27巻のデモ曲が公開されてますけど、またこれが素敵な話ですよね。
タツヒロ そうなんです。こんな素敵な話がまだ世の中にあるんですよね。
■ね。(笑)あらためて経緯を教えてもらっていいですか。
タツヒロ 僕ら、『宇宙兄弟』のアニメのエンディングを担当したんですけど、作者の小山宙哉さんが昨年ファンクラブのイベントをやるということで、ゲストに呼んでいただいたんですよ。そこで「また何かやりたいです!」って伝えたんです。そこでは「また一緒になにかできたらいいですね。」って話しで終わったんですけど。そのあと『宇宙兄弟』の27巻が発売されて、その感想をブログに書いたら、小山さんから「あの時の曲を作ってくれるって話、どうですか?」ってお返事もらって。そこからまたご一緒することになりました。制作を進めてる中で、小山さんと対談することになって。その対談で宙哉さんが、マンガは作品が出来上がったときの感動と、お客さんからのリアクションの時間差みたいなものを感じるけどミュージシャンはライブがあっていいよね、という話になったんですけど、曲が出来上がったときの感動は僕たちだけしかわからないし、ライブはまたその先だから音楽も時間差があるんですよね。そういうところから出来上がる瞬間をみんなでリアルタイムに喜びたいということで、デモをアップさせていただいたんです。
■曲が完成していく過程を知れることってなかなかないので、作る側も聴く側もそれを共有できるのはうれしいですね。
タツヒロ 感想も募ってますし、そこからまた曲のヒントとか出てくるのかもしれないですし、みんなも一緒に作ってるっていう気持ちになっていただけたらいちばんうれしいですよね。曲が完成していく模様をみなさんと共有しながら出来上がっていく過程も楽しんだり、またそこから何か感じていただけたらうれしいので、楽しみにしていてほしいです。
■はい。楽しみにしてます。では最後に読者にメッセージをいただけますか。
タツヒロ ヒューマンビートボックスとアコギ、ボーカルというちょっとおもしろいスタイルでやってるので、そのおもしろさをぜひライブで感じていただきたいですね。機会がありましたらぜひライブに遊びに来てください。
コウスケ あとは自分たちの育った奄美大島にもぜひとも遊びに来てほしいですね。みなさんが知らない何かがそこには絶対ありますので、音楽ともども奄美大島をよろしくお願いします。
Interview & Text:藤坂綾