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G-FREAK FACTORY WEB LIMITED INTERVIEW

■わかります。自分もそういうところあるけど、いまはまずは知ったほうがいいことが多いというか、知らないではすまないことが多い気がするんですよね。

茂木 隠せば知りたがるし、調べるしね。例えば敗戦国のかけらもないこの裕福な国に生まれて、大きな天災も震災も知らずに亡くなった方がいたとしたら、それはすげぇしあわせだろうなと思ってしまう。きっと国家発表の新聞を信じて、よけいなことを一切考えずに自分の家庭とか、好きな盆栽のことだけを考えたりしてたら、すげぇしあわせじゃん、その人。

■あー、それは最高の人生ですね。

茂木 ね、そうなんですよ。結局、知らないでいたことを知っていった結果、人間なんて何も信じられなくなるじゃないですか。それはすごくさみしいことですよ。

■はい。

茂木 田舎はみんなまず信じるんですよ、すごくピュアだから。信じ合って成り立ってるところもあるんで、疑いから入るのはあんまないんです。例えば、町の病院の先生にこういう病気で、余命は何カ月です、って言われたらそれを信じる。都会の人は、いや、ちょっと違う病院行ってみようよってなりますよね。田舎はならないんですよ。あの先生が言うんだからしょうがないよって。(笑)

■あー、そういうところありますよね。

茂木 いまどき高校野球くらいじゃないですか、ガチなのは。絶対アウトだとわかってるのにファーストにヘッドスライディングするとか。

■ピュア過ぎます。(笑)でも、だから感動するんですよね。

茂木 そうなんですよ。結局本物の人っていうのは、何かのパイオニアでもそうなんですけど、苦労して時間かかるじゃないですか。だけどマラソンの2番手にいるヤツが1番のヤツをパッと抜いて終わるっていう、そういう場面をよく見かけたりして、それを偽物とは言わないけど、本当のことだけが人を救うとは限らなくて、自分の知ってることだけをすべてとして生きてるほうがよっぽどラクだと思うし、そういう人が苦労もせずに本物を超えることができる社会だったりすると思うんですよね。

■なるほど。

茂木 本音だけで全員が生きてしまったらいけないっていうのはわかるんですけど、結局建前だけで生きてるヤツのほうがよっぽどラクに勝ってるじゃねぇかって、そこの葛藤ですよね。

■はい。

茂木   でも信じていたいですよね。建前だろうが何だろうが本音だと思って俺は信じたいし、信じることから始めてないと疲れると思うんです。全部に対して疑ってたら、すごくさみしいことになっちゃうから。

■疑ったらそこで終わりですもんね。信じれば、例え信じたことが嘘だったとしてもそこから次につながることはきっとあるんじゃないかって。

茂木   そうそう。だからニュースとかも1回騙されてみてもいいんじゃないのって。その後で、おいおい、ちょっと待てよってなればいい。最初から疑ってたらそんなさみしいことはないですよ。体力いると思うんですよ、信じることも、疑うことも。じゃあ信じることのほうが全然いいかなって。疑うと自分のことどんどんイヤになるし。でも結局そういうことをふと忘れて人間は愚かなことを繰り返すんですよね。でも俺は信じる、こういう時代だからこそ、なおさらね。

■いまという時代にこの曲を聴けたこと、すごく感謝してます。

茂木   発売日の2日前が、生きてたら俺のじいちゃんの100歳の誕生日なんですけど、戦争のことを教えてくれたのはじいちゃんなんですよ。俺、じいちゃんっ子だったんで、寝る前にいつも戦争の話をしてくれて、それでいつもじいちゃん先に寝ちゃうんです。それでうわ、どうしよう、戦争が起こったら怖いよーって思いながら寝て。だから意識してなかったんですけどたぶんそこにあるんですよね、こういう想いは。だからこの曲もできたと。

■なるほど、そうだったんですね。いまはもうそういう話を聞く機会すら減ってきて、これからはますます減る一方ですよね。

茂木   聞く機会なんてもうないよね。だって当時10歳だった子は80歳を超えて、リアルな声なんてもう聞けなくなっていくし。

■ね。それもすごく怖いなって。

茂木 怖い反面、忘れましょうっていう風潮の中、みんなが忘れてリセットされて、何もなかったかのように子どもは笑いながら遊んでる。それは絶対、このこと忘れんなよ、って教えられた人たちの笑い声じゃないじゃないですか。って思うと、どっちがしあわせなんだろうなって、やっぱり思ってしまうんですよね。

■うーん、なるほど。

茂木 俺たちの祖先はな、って事細かく教えられたら、どこまで背負っていけばいいんだよってきっと思うだろうし、実際俺らも背負わされてないし、戦争責任とかね。わかんないですよね、ほんと。だからそこは自分で決めていくしかないじゃないかな。俺は全部話そうと思いますけどね、自分の子どもに。学校では教えないと思うけど、だけどおまえが決めろって。父ちゃんのことを信じなくてもいいから、あとは自分で決めろって。

■結局はやっぱりそこなんですよね。

茂木 そう、自分で決める。もうそれしかないですよね。そのための橋渡しはちゃんとしなくちゃいけないし、ここで各々がそういう姿を見せていかないと彼ら、彼女らにはもっとどう振るまっていいかわからない時代がきちゃうと思う、このままだと。だから俺らはこの姿を見せていかないといけないんですよ、これからもね。

Interview & Text:藤坂綾

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