■ほんとにそうだと思います。“ANSWER LANCER”、これはすごくシンプルでぎゅっとした感じに仕上がってますね。
茂木 この曲は楽曲からできてきたもので、リリックは最後に手をつけたんです。レコーディングの最後の最後。曲は完全に原田(Gt)に任せようって。だからあいつ、俺の歌聴かないでレコーディングしたんですよ。
■そういうことよくあるんですか?
茂木 効率という逃げ道ではあるんですけど、俺らは他のバンドとは違う角度でやる必要もあるし、最終的に鳴らしたら俺たちの音であるか、俺たちの音とズレてるかって、そのジャッジをすればいいだけなので、こういうやり方も去年くらいからやってますね。リリックは曲を聴いたときからあんまり複雑にしないほうがいいと思って、1時間くらいで書きました。
■“奮い立て 合い燃えろ”はいちばんGっぽい曲かなと思いました。
茂木 これはね、逆に時間かかったんですよ。
■何が大変でした?
茂木 言葉の響きと意味合いのはめ込みですね。ジャムセッションで作った曲なんですけど、そのときに♪ラララ♪とか♪ホニャララ♪で歌ってたときのほうが圧倒的にリズム感がいい。だけどそこに意味のある言葉をのせる、はめ込むとなるともうめちゃくちゃ大変で、全然決まんねぇーって。(笑)
■英詞だったらもっとラクだったんですかね。
茂木 そうなんですけどね、やっぱり日本語で歌うバンドとして立っていたい気持ちがあるんですよね。ラップの仲間が群馬にたくさんいるんですけど、ラッパーというのは日本語で韻を踏みながら、さらに意味合いを持ったもので人を奮起立たせたり感動させたりってすげぇことをやってるわけですよ。ある意味職人芸みたいな。しかもそいつらはそれを瞬時でやってるんです。とても俺なんか応戦できない。そういうのをくらって、よし俺も日本語でやったろうって、で、そいつらに聴かせに行きたいなって。ヒップホップもそうだしレゲエもそうだけど、リズムをいちばんに立たせながら、半分遊びくらいの感じでけっこうなことを言うって、そのスタイルはやっぱりかっこいいし、ある意味道みたいなものだから、これから先うまくなっていけたらなって思ってます。
■なるほど。ではでは“山人音楽祭”についてもお話聞かせてください。昨年の中止はいつ頃決定されたんですか?
茂木 去年の1月の終わりか2月の初めくらいですね。実際そこから準備を始めても到底間に合うものでもないし。でも結果オーライになりました。こういう時間がないともっととんでもない膿みみたいなものが出てきてしまう可能性があって、だから止まるべくして止まったんだなって。座組みは変われど1年というスパンで帰ってこれたというのは、すごいことだと思います。
■2016年には必ず復活すると決めてました?
茂木 あてもないままね(笑)、必ずやるんだ、やりてぇなって。やるにはどうしたらいいのかって、そればっかり考えてましたね。
■苦労も多かったと思いますが、それでも最初に始めたときと気持ちは変わらずでしょうか。
茂木 いまのほうが強いです。始めたときは、できるわけがないものをひっくり返すことが第一の目的だったんですよ。単発で終わる可能性のほうが圧倒的に大きかったから。いまはそうじゃなくて、これは負けちゃダメなんだって、どうしたら負けないんだろうって、いや、どうしたら勝つんだろうって。(笑)
■勝つというのは?
茂木 勝ち負けではないんですけどね、やっぱり負けっぱなしじゃダメ、勝たなきゃダメなんです。音楽やイベントには勝ち負けがあるわけじゃないからむずかしいんですけど。例えば、動員があるバンドが勝ちなのかって言ったら、動員の少ないバンドに負けることもある。動員だけがすべてではないから、正直俺らは言い訳もできるんですよ。「あいつら動員あるけど、ライブはしょぼいよね」って、それは完全に言い訳なんですよ。動員が多いってことはライブがいい、そうなの、きっと。(笑)
■人が集まるってことは何かしらの理由があるわけですからね。
茂木 だからいいはずなんだっていうちゃんとした目で見ないと、俺らはずっと言い訳していってしまう。
■なるほど。
茂木 その「なるほど」を来た人に言ってもらえるところまでこのフェスを持っていかなくちゃいけない。何年かけてでもそこを目指してやっていかないとダメだし、今年またやれるってことは勝たなきゃダメだなって。まぁ正直、そんなことばっかり考えてると頭おかしくなりますけどね。(笑)
■課題はまだまだあるということですね。
茂木 ありますね。いまのチームでなければ群馬という土地では一生できないと思うんですよ。群馬っていう何にもないあの土地でこれをやるというのはどういう意味合いがあるかと言ったら、いろんな地方のバンドを奮起立たせたい、そういう気持ちもあるんですよね。だからローカルでがんばってるヤツらに今年は観てほしいし、そういうヤツらにもなるほどって言わせられたらいいなって。そうしたら俺の勝ち、俺たちの勝ちだなって思ってます。
Interview & Text:藤坂綾
G-FREAK FACTORY:Too oLD To KNoW