■その映画の主題歌である“ブラザー”も発売されます。これはいわゆる共に一緒に並走して走る、友達であり、親友であり、ライバルであり、憧れの存在について歌った歌の印象を受けました。
加藤 今はこの形に落ち着いてこそいますが、書き始めた時は純粋に兄弟についての歌だったんです。映画でいう春雄と権助の関係性のイメージもありましたが、これまで自分は兄弟愛について歌ったことがなかったし、あまりこういったテーマの歌ってなかったなって。僕、3人兄弟の真ん中で。兄や弟も優秀な中、自分だけ出来が悪く、「加藤家の汚点」と言われてたんです。(笑)で、その実体験をあんなことあったな、こんなこともあったなって最初は箇条書きしていきました。
■この曲も非常にライブ映えしそうな曲ですね。
加藤 そうなんです。既にライブで演っているんですが、発売前なのにすごく反応がいいし、盛り上がるんです。歌っていてもギアがシフトアップして、ガーッと走り抜けていく感じがして。
■実際ご兄弟はお聴きに?
加藤 まだですけど、今からこっ恥ずかしいです。(笑)ホント、リアルな歌なんで、歌っていても兄弟でのいろいろな場面がオーバーラップします。
■実際にお兄さんには未だ勝てない?
加藤 勝てないですね。永遠に勝てないでしょうね。未だ親父にも腕相撲で勝てたこともないし。
■続いて、2曲目の“勇者のうた”。こちらは?
加藤 ここまで野球に寄り沿った歌は“あとひとつ”以来かな。この歌は好プレーの場面集を見ながら、それに合う曲をイメージして作りました。
■歌はガムシャラで一生懸命な印象ですが、好プレーだと華麗なイメージが……。
加藤 ところが違うんです。いわゆるむちゃくちゃガムシャラじゃないと好プレーって出てこないんですよ。すごい練習を重ねてようやくあの一瞬が訪れるわけで。なので、そこに辿り着く背景までもが見えるような、そんな歌を目指しました。
■この歌は韻を踏んでますね。
加藤 そうなんです。おかげさまでリズミカルにテンポ良く歌えました。基本、Bメロが大好きなんですけど、そんな中でもこの曲のBメロが過去最高に好きかも。
■3曲目の“あの夏のカクテル”はいわゆるサーフミュージックですね。
加藤 こういったタイプの歌は初挑戦だったんですけど、前の2曲が暑苦しい曲たちだったんで、ここらあたりで涼しい風でもと。
■ゆったりと聴けます。
加藤 爽やかな風を吹かせたく挑戦しましたが、これはこれですごく難しかったです。
■すんなり歌えているように聴こえましたが?
加藤 ほら、僕って基本、熱唱タイプじゃないですか。バラードでもコブシを握りしめて熱唱しちゃうタイプなんで。(笑)そんな中、こういったリラックスする雰囲気の曲を歌うのは、案の定すごく苦戦しましたね。肩の力を抜いて、コブシを握りしめず、汗をかかずに歌って、よくよく考えたら、自分の中では過去一回もなくて。レコーディング中もプロデューサーさんから何度も、「加藤君、いつもみたいな歌い方になっちゃってるよ!もうちょっとなめらかに歌おうか」って促がされてましたから。(笑)とは言え、また新しい色が出せたんで、みなさんの反応も楽しみです。
■先ほど、憧れの存在という言葉が出てきましたが、加藤さんにとっての憧れの存在って?
加藤 新日本プロレスの棚橋選手ですね。あの方の新しいプロレスの提示や、それに対するアンチも多い中、その批判もきっちり受けとめ、キチンと自分の技で返して敵を見返す。あの姿勢は学ぶべきところは多いし、尊敬しています。あの確固さやブレない信念はまさに見習うべきところが多いですね。ホント、憧れの存在です。
Interview & Text:池田スカオ和宏(LUCK’A Inc)