<日本の音楽シーンで一番驚いたことはONE OK ROCK>
■久しぶりに日本に帰ってきて、音楽シーンに驚かされたことはありますか?
SHOGO ONE OK ROCKの人気ぶりかな。彼らがインディーズの頃から2マンやったり、仲が良かったので可愛がっていたのもあるし。僕は前から彼らに言っていたんです、「世界行ってみなよ」って。新しい世代ってどんどん出てくるじゃないですか。僕らが休止するタイミングでも、RADWIMPSとかも人気を上げていて、「すげーバンドが出てきたな」みたいな。日本人が好きな染み渡るメロディとか、いいとこ取りを全部ごったにして、最高のものを出していく。かつ、洋楽要素も入れていて「うわー最高だな」と。ワンオクはもう少しストレートな感じ。洋楽要素も含めて、いいメロディを創り出すなと。それが日本帰ってくると海外のバンドみたいになってるから。(笑)嬉しかったですね。
■今の音楽シーンで言うと?
SHOGO WANIMAかな。僕らがやりたかったことで、やっていたことでもある“日本語パンクロック”の波がまた来てくれたなって、彼らを見て思いました。英語ではなく、日本語でメロコアの要素を伝えるバンド。僕らは青春パンクと言われていましたけど、WANIMAを筆頭に日本語詞のパンクロックがまた盛り上がっていたので、それはすごく嬉しかったですね。
■今の10代って175R世代から少し離れていますが、WANIMAを聴いている子は多いんですよ。そこに負けず劣らず175Rが入っていくような気がしています。
SHOGO それは嬉しいですね。活動再開してWANIMAやBLUE ENCOUNT、04 Limited Sazabysとか若手バンドと会いましたけど、「昔から聴いてました」「コピーバンドしてました」「ライブ行きました」と言ってくれるんです。それって一度、175Rを考えたくなくなった自分からすると、<やってきたことは間違えではなかったんだな>と思う。嬉しいじゃないですか、単純に。そういったバンドといろんなフェスで共演できてすごく楽しいし、彼らを聴いているリスナーが175Rをまた新たなバンドとして聴いてもらえる環境にあるのは、とても幸せなことですね。
■私が175Rを初めて聴いたのは小学生のときで、CDを買って聴くようになったのは中学生の頃。ロックバンドの入り口となったのはまぎれもなく175Rだったので、再活動が始まった今、世代を超えてそういう方が増えていくと思います。
SHOGO よく言われるんですよ、175Rはバンドサウンドを聴いた入り口だったって。当時小学生だった子たちからすると、ロックバンドを聴き始めた入り口で、そこからELLEGARDENやMONGOL800を聴いたり。もう少し上の世代になってくると、ライブハウスに初めて行ったり、バンドを初めて組んだり……いろんなきっかけに175Rが関わっている話を聞くことが多いので。僕が作る音楽って日本語で聴きやすいメロディだったりするので、そこに取っ掛かりやすいこともあるのかな。音楽的に複雑ではない楽曲でも、誰かのきっかけになることが、僕はものすごく素敵だと思うので、久しぶりに175Rサウンドを追及した今回の『SUMMER VACATION』で、また新たな入り口でありたいなと思いますね。
<ニューシングル『SUMMER VACATION』とKAZYAの脱退>
■今回ニューシングル『SUMMER VACATION』はいつ頃制作されたんですか?
SHOGO これは前回のアルバム『GET UP YOUTH!』のタイミングと同じですね。アルバムで作った楽曲を全部並べたときに、そのなかから夏感のある曲を選び、『SUMMER VACATION』に収録しました。ただ、“サマバケ!”だけは今回のシングルとして書き下ろした曲になります。
■175R史上、最高に“夏”を感じるシングルになっていますよね。
SHOGO 今回夏のシングル出して改めて<TUBEってすげぇな>と思いました。僕の学生時代、夏といえばTUBEだったんです。TUBEが出てくることで季節を感じる。TUBEの楽曲聴くと夏の風が吹いたり、海行きたいなと思えるってすごいことじゃないですか。175Rもそんな風になりたいなと思って。例えば、夏フェスしか出ないバンドなんて、最高におもしろいなと。(笑)夏しかライブに出ない175R。そういう存在になれたらいいなと、今回のシングルを作っていたときに考えていましたね。
■4曲とも夏感満載のアッパーチューンなんですが、特にラストの“サマバケ!”で盛り上がって終わるじゃないですか。そのまま175Rのライブに走って行きたくなりますもん。それぐらい勢いのある4曲であり、曲順になっているなと。
SHOGO そうですね。夏のイメージは175Rにもどこかあったと思うんですが、今回のシングルでは、今まで175Rになかった自分のなかでの<夏ってこうでしょ!>という感じを全面に出したかったんです。新曲でもある“サマバケ!”に、それが一番反映された形になったんじゃないかな。
■“サマバケ!”は175Rとしても新しいタイプの楽曲だなと。
SHOGO この曲は、CDの帯にも書かれている<踊れ 歌え 騒げ 疲れたら休め>がテーマ。夏って勢い余ることあるじゃないですか。大事なのは疲れたら休めだということ。なので、シングルタイトルもSUMMER VACATION(夏休み)。みんな働きすぎなので、ちょっと休んだ方がいいと思うんですよ。僕は6年休んで考えられたことや得るものがあったので、<もう少しのんびりいこうよ>という意味も込めて。“サマバケ!”の歌詞にも「人生に浮かんでみろ」と書いているんです。
■人生に浮かんでみるとは?
SHOGO 人生を海に例えて、一回浮いてみるんですよ。あんまり泳ぐと疲れるし、もがくと沈んでいくので、何もしないで浮いてみる。浮いてみて流れ着いた先で<こんなことやってみよう>と思ったりすると、意外と自分の目標までの見えなかったことが見えてきたりするので、一回休むことが大事だということを伝えたいですね。実は“サマバケ!”はKAZYAが脱退してから、唯一3人で作った新曲で。なんかこう……、僕らもネガティブな感じになりたくなくて。メンバーが脱退したことも含めて、とにかく明るく前向いて行こうという意味も込めています。
■そうだったんですね。“夏のマボロシ”の歌詞で「お前との出会い忘れたくない」という別れのフレーズがありますが、正直KAZYAさんのことかと思いました。
SHOGO これ録っているときKAZYAはまだいたので、彼に向けたわけじゃなくて、僕のスタッフに歌った曲なんです。休止期間中、僕のスタッフが3回も変わっているんですよ。僕のせいじゃないですよ、いろんな事情があって。そんななか、175R世代のスタッフがいて、活動再開を楽しみにしてたのに辞めてしまったので、あれは幻だったのかな、と。そういう想いでスタッフにに対して書きました。ただ、タイミングが被っちゃっているから、KAZYAに対してだと思われるのも仕方ないのかな。(笑)
■KAZYAさんの脱退が、再結成後すぐだったので驚きました。活動休止が関係していたんでしょうか。
SHOGO そうですね。活動休止と同時に彼だけは九州に引っ越して、他の3人と住んでいる場所も離れて活動をしていたので、そこのバランスが難しくなったと思うんです。ただ、メンバーの兄弟でもあって身内だし、あまり僕はネガティブには捉えてないです。またいつかやれる時も来るだろうし。小さいことを気にしなくなりました。(笑)1人辞めてもイナゴだし、2人辞めてもイナゴだし……最悪一人でもイナゴでしょ! と言うかもしれない。誰がやっているというよりも、175Rとして出す音や歌詞の方が大事だと思うんです。