HARUNA（Vo&Gt）、MAMI（Gt&Vo）、TOMOMI（Ba&Vo）、RINA（Dr&Vo）
SCANDALの強味とは――
自身とバンドと向き合うことで見つけた答え
前作のアルバム『YELLOW』から約2年、メジャーデビュー10周年を迎えるSCANDALがアルバム『HONEY』をリリースした。前作からの変化に驚かされながらも、彼女たちらしい潔いロックナンバーに、初めてロックを聴いたときの衝動を思い出す。女性として、ガールズバンドとしての確かな歩みがそのままパッケージされた今作。SCANDALにしかできないこの1枚について4人に話してもらった。
■ロックな1枚になりましたね。
MAMI そうですね。去年1年はライブばっかりやっていて、その中であらためてガールズバンドとは？というところも見えてきていたので、そういうところもそのままつめ込むことができて、かつ衝動的で瞬発力のある1枚になったと思います。
RINA いま一度、ロックナンバーのたくさん入った勢いのあるアルバムを作りたいっていう気持ちの中で、女性がやるロックがちゃんとできたかなと思いますね。メジャーで10年やってきたけど、「SCANDALは先が読めないな」って、これから先もずっと楽しんでもらいたいなと思ったし、前作『YELLOW』の反動もあったと思うんですよね。
■なるほど。そうなんですね。
RINA あのアルバムは海外でツアーをしながら制作したのでリラックスしたムードになったけど、そういうモードの満足感はもう得られたので、今回はギアチェンジして勢いのあるもので攻めていきたいなって。そういう気分に変わったんですよね。
■たしかに、前作は洋楽的な1枚でしたね。
RINA そうですよね。でもやっぱり日本での活動が中心だし、いま日本で活躍しているバンドと対バンさせてもらうことでめちゃくちゃ影響を受けまくって、あらためて日本のロックってカッコいいよなって思ったんです。そこから邦楽ロックが好きな人に刺さるようなアルバムを作りたいなって。それが大きいですね。
HARUNA 去年はガールズバンドというものにも向き合った年でもあるし、ガールズバンドだからこそ書ける歌詞や曲があるんじゃないかっていうことを、対バンツアーの前からずっと考えていたんですよね。いろんなバンドがいる中で、対バンするバンドと同じことをしていても意味がないし、勝てないし。だったら自分たちの強味みたいなものを、もう一度見直す必要があるなと思って。
RINA そこですごくシンプルな答えにたどり着いたんですよ、素のままでいいんだって。女性であることを削らなくてもいいし、4人の独特な雰囲気のあるバンドだと思うので、そういう個性をちゃんと強味として表に出そうって。
MAMI そのバンドにはそのバンドの得意不得意があって、ほかのバンドが得意なところを自分たちがやろうと思ってもうまくいかないことのほうが多いし、だったら自分たちの得意なこと、やれることをちゃんとやろうって素直に思えて。そう思えたら「すごく自由じゃん！」って気持ちになったんですよね。うちは4人とも作詞・作曲をするので、好きなように表現して自分たちの得意なことを楽曲やビジュアルに落とし込もうよって。
RINA もっと深いところにいっても、もっとさらけ出してもいいんだってね。例えば、SCANDALはネガティブなことを歌っちゃいけないとか、悲しい気持ちから何かを生み出すことはできないと思ってたところがあったんですけど、今回は落ち込んでいることすら材料にできたし、いいことや悪いことといった心の波も全部受け入れて音楽にできたし。「人間って普通そうじゃん！」って。だからこれからもっと長くバンドができるなって思いました。
■あー、なるほど。
RINA いいところだけ、強いところだけじゃどっかで限界がくるけど、プライベートな部分やそれぞれの心の中を出して音楽にできたら、長く歌えるような曲に仕上がるんですよね。この10年間でそういう作り方ができるようになってきて、このタイミングでこのアルバムができて本当によかったですよ。いままでの10年がなかったら絶対にできなかっただろうし、なんかもう何でも音楽のかけらなんだなって。
■それはすごい。そう思えたらもう無敵な気がします。HARUNAさんのヴォーカルもまたさらに表現が豊かになりましたね。
HARUNA 今回そこはすごく意識しました。デビュー10周年を迎えることもあるし、自分のヴォーカルスタイルというものをいま一度確立したいなと思って。「自分はこういうヴォーカリストです」って決めるのではなく、歌詞や曲に合わせて変化していけるヴォーカリストでありたいと思ってるし、それぞれの曲がすごくおもしろいので、自分もちゃんとそれに合わせて変化しながら表現したいなって。
