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和楽器バンド WEB LIMITED INTERVIEW

鈴華ゆう子(Vo)、いぶくろ聖志(箏)、神永大輔(尺八)、蜷川べに(津軽三味線)、黒流(和太鼓)、町屋(Gt)、亜沙(Ba)、山葵(Dr)

更なる自由度と幅を用い聴き手を次のステージへと誘う和楽器バンドの新作

認知、知名度共に国民的バンドに近づきつつある和楽器バンド。「和楽器とロックサウンドの折衷を用い、日本の伝統芸能をより世界へと広げたい」と標榜し、活動してきた。しかし、その折衷の使命も昨年末のベストアルバム『軌跡 BEST COLLECTION+』で、ひと段落。次のフェイズに向かうべく、ニューアルバム『オトノエ』がこのたび届けられた。今作は、まさに聴き手を和楽器バンドの次のステージへと誘う一枚。結成以来保持している独創的な持ち味をベースに、そこに更なるフレキシブルさと自由さ、従来のイメージやセオリーに捉われない意外性や実験性も含めた、様々な「新たなる和楽器バンドの表情」も多分に加味されている。これまで以上に間口が広く、門戸が開かれた感もある今作をメンバー全員がそれぞれ紐解いた。

■今回の『オトノエ』からは、かなりフレキシブルで自由な作風印象を受けました。

町屋   その辺りは昨年末にベストアルバムを出したことが大きくて。そこでこれまでの集大成と、「自分たちはこんな音楽性です」というのを改めて提示できたし、新曲3曲の方も自分たちの今後の可能性を示唆できましたからね。それを踏まえてのニューアルバムということもあり、今までの経験値を活かしつつ、リスタート的な意味合いも込めてみました。自分たちとしても、「こんな曲もこんなに曲もこんな曲もあるし、それらを押しなべると<和楽器バンド>になります」的な1枚になったかなと。

■今作にはたくさんの新要素も収まっていますもんね?

町屋   ある意味、コンセプトアルバムでもあります。今回は最初に、「ここにこれが入る」「ここではこの楽器が入る」みたいな設計図を作り、それを基に組み立てていったんです。もちろん、その枠内では各人自由にやってはもらいましたが。

■すごく整理整頓され、各人の棲み分けもしっかりされています。

町屋   あと今回は、先に全体的なテーマを決めて制作に入りました。そのテーマが「ミュージアム」で。いわゆる美術館のように一曲一曲バリエーションがあり、その中を回廊しているような…そんな全体像に向けて作ったんです。

鈴華   美術館って、どこから見始めても自由じゃないですか。それと同じく今作も、どこから聴き始めても良い。どの曲でもそこに立ち、目をつぶると絵画が浮かんでくる。そんなクリエイティヴィティな作品を目指したんです。

■トータル的にもですが、どこからどう聴いても楽しめる、そんな各曲ですもんね。

神永   その辺りはヘッドアレンジャーを町屋さんが担ってくれたのが大きかったです。トータルのディレクションやアレンジを任せたんですが、メンバーならではの主観性とディレクターならではの客観性を作品に与えてくれました。

鈴華   それまでは曲を作った人が最後まで面倒をみていたんです。だけど、やはりトータル的にみられる人を添えた方が良いだろうと。で、マッチー(町屋)が最適だなって。おかげさまで、曲の種類の豊富さもですが、全体のバランス等も非常にいい具合になりました。

山葵   音が多くてもそれらがブツからずにキチンと棲み分けもできていますからね。

蜷川   三味線にしても、これまでで最も調弦の幅が広いんです。とにかく最も低いGマイナーから最も高いGマイナーまでを駆使して各曲挑みました。それもみんなが自由に曲を書いた結果なんだろうなって。

■驚いた曲も幾つかありました。中でも“君がいない街”や“World domination”は、鈴華さんの歌い方やサウンドアプローチ等、想像もつかなかったものが飛び出してきたもので。

鈴華   今回は個性や特徴よりも各曲に合った歌い方を意識しましたからね。今、おっしゃって下さった2曲は、私の得意としているところの詩吟の節調も一切入れていませんし。これまで、あれほどこだわってたのに。(笑)

町屋   “君がいない街”に節調が入ったら、それこそ演歌になってただろうからね。(笑)

鈴華   今作では他にも節調が一切ない曲が4曲もあるんです。今までそこにこだわり抜いてきましたが、今回は楽曲の解釈を最優先し、必要ないと判断したものに関しては一切入れませんでした。結果、かなり表情豊かな歌い方に繋げられたかなって。

■他にも楽曲毎に同じ楽器でもいろいろと使い分けてのレコーディングも特徴的ですね。

黒流   和太鼓にしても、今回は楽曲や場面によって、いろいろなタイプの太鼓を用意し、曲毎にそれを使い分けて挑みました。その分、棲み分けも良くなったし。打つところはより沢山打てましたからね。

山葵   これまで、「全員が出ていく時期」~「各人が、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでのメリハリをつける時期」~現在の段階で。今回はより外的視点が加わったことで、今まで以上に引いたり、足したりを想定したレコーディングが出来たんです。より大きなふり幅で音作りが出来たというか。今回はあえてリズム隊を抜いた曲もあったりしますし。

いぶくろ   その辺りは、町屋さんの中でしっかり設計図が描けていることをすごく実感しながら録っていましたね。結果、いろいろと他の楽器のことを意識せず、自分の思い通り、自由に弾けたんです。そう考えると楽曲もですが、プレイ自体もかなりフレキシブルに演奏できた感はあります。

■自分たち以外の音も積極的に取り入れている箇所も耳を惹きました。

鈴華   オーケストラと一緒にレコーディングしたのも、2曲ですが初めてのことでしたからね。これらの曲も、元々和楽器バンドは色彩豊かな表現がすごく向いているとずっと感じていたので、そのインスピレーションをメンバーに落とし込んで実現したんです。

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