main

SOLIDEMO WEB LIMITED INTERVIEW

ドラマチックとロマンチックを描いたふたつの物語

SOLIDEMOが9枚目のシングル『もう会えないけど、平気ですか?~Our days~』をリリースする。「ソリッド」と「エモーショナル」というグループの存在を見事に表したドラマチックな表題曲とロマンチックな“世界で一番甘いキス”。この両極な世界に「表現」という力で命を吹き込み、ふたつの物語を誕生させた。とてもリアルで、とてもみずみずしい物語――この2曲について、シュネル、向山毅、手島章斗の3人にたっぷり話してもらった。

■タイトルがすごくてびっくりしたのですが。

向山 そうですよね。(笑)

■曲をいただいたときはどんな印象でした?

向山 今回は、候補曲が何曲かある中から僕ら3人と佐々木(和也)が選ばせていただいたんです。

手島 デモを出していただいて、それを聴くっていうのを繰り替えして。

シュネル 全部で20曲くらい聴いたんじゃないかな。

手島 ディスカッションしながらね。

シュネル で、最終的にこれがいいんじゃないかって。

■具体的にはどういうところがですか。

手島 僕の中ではイントロかな。

向山 僕もイントロですね。

シュネル イントロはやっぱり強いですね。初めて聴く人って大体イントロから聴くじゃないですか。そのときにつかむかつかまないかだと思うんで。

手島 自分が好きになる曲も大体イントロで決まるんで。

シュネル あとは、最後まで聴いたとき、8人で歌う姿が想像できたっていうのもありましたね。

■それは映像としてはっきり浮かんだ感じですか。

シュネル そうですね。ステージに立っている姿だったりを想像しながら聴いたとき、この曲がいまのSOLIDEMOにはぴったりだなと思って。

■なるほど。しかし歌詞の内容がとても複雑なので、表現されるのは大変だったんじゃないでしょうか?

向山 歌詞の世界観は複雑ですよね。

手島 この曲のシチュエーションに似たマンガをメンバーで回し読みして、世界観というかベクトルみたいなものをみんなで合わせてからレコーディングに臨んだので、解釈はちょっとずつ違うかもしれないけど、大枠は合っているかなって。

■マンガで共有するっておもしろいですね。

向山 そうですね。夢や目標に向かってがんばる男女が意気投合して結ばれて、でもどちらかがいい波に乗って仕事がうまくいったりしたら、価値観のズレやすれ違いが起きてくるじゃないですか。そういう中でやっぱり自分も夢を追いかけたいから別れを選ぶ、という切ないラブストーリーを大きな括りとして全員で共有して、そこからそれぞれがまた深く解釈して、という感じでしたね。

■素敵な曲なのでこんなこと聞くのは何なんですが、このタイトル、特に「平気ですか?」って好きな人やおつきあいしている人に言えます?

手島 いやー、これは言えないでしょ。

向山 言えないですよね~。

シュネル 言えないっす。

手島 聞く時点でもう自分が平気じゃないですからね。(笑)

■ね、そうですよね。

手島 個人的にはこれは逃げだと思うから僕は言わないです。「平気ですか?」って聞くくらいなら、まずは自分に問いかけろよって思うし、平気じゃなかったら引き止めればいいし。

向山 たぶん引き止めてほしいと思うんですよね。

■だからこの言葉にずるさが見えてしまうんですよね。

向山 そうなんですよね~。

シュネル どっちもいけるような感じでね。

向山 そうそう。男性は誰しもが女々しい部分を持っていると思うので、こんなふうに思っているんですよっていうのを女性の方々に知っていただければ、という感じになっているんではないかと。(笑)

■はい。(笑)女々しいという部分ではSOLIDEMOにぴったりだし、男性のそういう部分がすごく繊細に描かれてますよね。

向山 情緒的な歌詞を歌うというのがコンセプトにもありますし、ぴったりですよね。

■表現で気を遣った点はどんなところです?

シュネル 問いかけるようなフレーズが多かったので、特に僕が歌っているBメロのサビは相手のことを思いながら歌わせてもらいましたね。ほんとにもう会えないぞ、っていうくらいの気持ちで。

■歌いながらぐっときちゃいそうですね。向山さんは?

向山 この曲は問いかける、話しかける感じの曲なんですけど、語るようなかぎかっこの歌詞があるので、語りかけるような感じで、でもそこに自分の感情も乗せながら歌うように意識しましたね。自分の熱量を出す部分もあれば、ちょっと引いて冷静な自分を装うという部分も作って。

■その感情のコントロールというのはかなりむずかしそうですが。

向山 かなり苦戦しましたね。メンバーで共有したイメージを前提に置きつつも自分だったらこうだなっていうことをいろいろ考えながら、自分の中で世界観を作っていきました。

■なるほど。手島さんは?

手島 僕も一緒で、タイトルからしてかぎかっこや問いかける部分が多いので、歌うというよりは語るというところにテーマを置きましたね。技術も大事ですけど、より聴く人の心にすっと入れるというところを考えて、歌うというよりは語る、問いかけるというイメージで歌わせていただきました。

■小説や映画のような1曲ですが……

手島 短編小説みたいですよね。

■そうですよね。好きなフレーズや場面はあります?

手島 展開で好きなところがあって、2番の「迷ってないのは嘘だけど 開けるんだ君のいない扉をそっと」って僕が歌わせてもらっているんですけど、ここで自分なりに前に進もうと思っているから「君のいない扉を開けるんだ」って言っているんだけど、次のたけちゃんの「もう会えないけど、平気ですか?」「伝えたいことないですか?」で、またちょっとマイナスに戻るんですよ。

■はい。そうですね。

手島 で、Dメロの「これでよかったんだと強がって強がって背を向けよう」ってところで、なんだ、結局まだ背を向けきれてないんじゃん(笑)、てなって、その後、俊さん(シュネル)のサビでまた語りかけてきて、で、僕が「だけど、進もう」って歌うんですけど……結局最後までずーっと進めてないっていう。(笑)

■あはははは、進めてないですね。

シュネル すっごい女々しいよね。

手島 ね。2番からずっと進めてないからね。でもそういうところが人間的だなと思いますね、身近に感じられるというか。綺麗事ばっかりじゃなくてリアリティがあるところがいいのかなって。「進もう」って言ったあと、「もう振り向いてくれないですか?」「このまま二人終わりですか?」って、おまえ、まだ終わりたくないんだろ?って。(笑)

向山 僕もここ好きですね。あと「ドアの向こうから微かに聞こえた」とか、ここも好きですね。すごく想像がつくじゃないですか。

手島 たしかに。

向山 出ていくとき、玄関で靴を履くコンコンって音とか、鍵を開ける音とか、いろんな音が絶対聞こえるじゃないですか。そういうのがすごく想像できるので、リアリティがあるなって。

1 / 212