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SKY-HI WEB LIMITED INTERVIEW

sabu2■切迫感や緊張感あふれる曲がある反面。それらをそれほどダークに感じさせないように、あえて明るい曲やポップな曲、耳障りや聴きやすい曲といった対極な曲が並んでいるのにも耳が惹かれました。

S   内容を、あえてそう響かせないように例えたり、歌ったりしている曲も多いですからね。ネガティブさにも真摯に向き合う曲もあるし。結果、全体的にポジティブで前向きな作品になったと思います。

■で、そのパイロット的な曲とも言えるのが、その前週リリースの新曲“アイリスライト”と、感じました。

S   まさに、この曲が無かったら、絶対に『カタルシス』は、まとまってなかったでしょうから。この曲ですごく考えたのは、これだけ答えの無い時代だからこそ、答えを押しつけたり提起するだけで終わらせたくないってところで。続くアルバムで、それらを受け入れる度量を得るためにも、こういった曲が必要だったんです。最初と最後に結論を、バシッと、あえて伝えやすい方法論で伝えて、2番3番で、どうしてそこに導いたのかを歌うといった手法を用いました。いわば、この曲が出来たことで、ようやくこのアルバムでのカタルシスを俺は感じることができたと。(笑)アルバムの中でも、この曲に入った瞬間、妙な安心感が湧いてくるんじゃないかな。

■分かります。アルバムで、ここまで来て、逆にその安堵感や温もりや暖かさが、なおさら愛おしいものに感じます。

S   この前、家族連れが集まりそうな場所でこの曲を歌ったんですけど、自分で自分の歌に染みましたから。(笑)なんか自分でもこの歌を歌えて、つきものが落ちたようにツルンとしたんです。実はこの曲、最初はもっと荒々しくエモーショナルでもあったんです。正直、歌の内容的には、そっちの方が、より感情も込もっていて合ってはいるんだろうけど、自分的にはすごくトゥーマッチに響いて。

■押しつけがましく響いちゃうと。

S   そう。逆に本当に伝えたい部分が、けっしてそうは聞こえなくなっちゃいそうで。なので、今のこの歌表現だからこそ、すっと聴けたり、入ってきたり出来たんじゃないかなって。これは正直、周りから言われて気づいたところでもあったし。やっぱり作品は最終的には、聴いた人のものにならなくちゃならないですからね。

■今回のアルバムもシングルも、すごく「こんな時代だからこそ……」が詰め込まれている印象を持ちました。

S   それは非常に嬉しい感想ですね。いまだから歌うべきことや、いま歌にすべきことを歌にしなくちゃしょうがないですからね。この時代だから歌う必要のある歌を歌おうと。それじゃないと自分の作品としては意味がない。いわゆる「何々を歌ってみた」じゃないんだから。(笑)さっきの“アイリスライト”なんて、まさにそれで。この曲が出来た時に、このアルバムの足りなかったピースがピタッとハマった感じがすごくしたんです。“ああ、俺はこの1年、このピースを見つける為にやってきたんだな……”とさえ思えましたから。

■歌い方も、あえてヒップホップのマナーに沿っているのにも、すごくこだわりを感じます。

S   結果論でしたけどね。最初はもっと普通に楽(らく)しようと思ってました。(笑)だけど、やはり一語一句言葉を聞き逃させたくなくて。その一語一句を聞き逃させないフローを模索した結果、これらの伝達方法に至りました。この曲に限らず、今回はライブでやる形をゴールに作られているのもポイントかなと。

■あとは、より広い甲斐性みたいなものも感じました。

S   自分が思っていない伝わり方がされることも含め、全部受けとめられるように、ようやくなりました。(笑)そういうものに揺るがない自信を持てたが故に、ありとあらゆる誤解をも引き受ける覚悟が出来たとでも言うか……。各曲を聴いて、各人がどんなことを思い、感じようが、最終的には惹き込んでみせるとの強い自信がありましたからね、今作に於いては。だからこそ、ある意味いろいろなことが出来たのかなって。そういった意味ではアルバム2枚を作って、ここでようやく、<これが今の俺だ!!>というものを表せた気がしています。

Interview&Text:池田スカオ和宏(LUCK’A Inc)

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