SILENT SIREN『天下一品 presents SILENT SIREN LIVE TOUR 2018 ~“Girls will be Bears”TOUR~』ライブレポート@豊洲PIT 7月14日(土)
「カッコいい上に可愛いさもあるガールズバンド」を確立させたサイサイの最新ツアーファイナル
SILENT SIRENが32箇所にも及ぶ自身最大箇所の全国ツアーを行い、7月14日の豊洲PITにて幕を閉じた。(追加公演として7月28日(土)に沖縄 桜坂セントラル公演を実施。)このツアーは昨年末発売の最新アルバム『GIRLS POWER』と共に全国を回ったもの。同アルバムの楽曲がほぼ全曲プレイされ、この盛夏な季節ならではの選曲も印象的であった。
各所スタンディング・スタイルにて4ヶ月にも渡った今回のツアー。先日の彼女たちへの取材時には、「自身で搬入からセッティングまでを行った」と語ってくれたのも印象深い。それらを経ての、「音に込める気持ち」「ライブ進行上での細心さ」「ライブは自身だけで作れるものではない」等の気づきが、どのようにライブへの愛しさや尊さとして反映されるのか?その辺りも興味深く会場へと赴いた。
まずは影アナが入る。ん?なんとも聞き覚えのある声だ…。そう、今回のツアーリーダーでもあるドラムのひなんちゅ(Dr)が、場内の注意事項を和ませも含め可愛らしく伝えている。おニューのステージ衣装で臨んだこの日。BGMがまだ鳴ったままの場内に、まずはひなんちゅがステージに登場。ダイナミズム溢れるドラミングを披露する。そこにあいにゃん(Ba)がベースにて躍動を加え、その上をゆかるん(Key)のキーボードによるオルガンの音色が泳ぎ、現われたすぅ(Vo, Gt)のギターが加わり、1曲目の“ピッピ”が形作られていく。バックの高い光量の白色ライトがステージをホワイトアウト化させる中、完成を魅せていく同曲。ラストは、すぅによるスクリームがライブの開始を告げる。続いて“merry-go-round”に入るとライブが転がっていく。特効のCO2も炸裂し場内も驚喜。会場はまさに急回転のメリーゴーランドだ。それに同乗するようにオーディエンスも雄々しい呼応でリアクションし、一体感が育まれていく。
レーザー飛び交う中で歌われた“KNiFE”では、切なさと三声のコーラスが疾走感と共に場内に広がり、“八月の夜”では、楽曲の持つ上昇感に合わせてクラップが培われる。すぅもフロントにてギターソロをキメ。後半はお客さんの歌声も交え楽曲を完成へと導いていく。「今日は自由にみんな好き放題楽しくやっていきましょう!!」と、すう。続いてゆかるんが「日頃のモヤモヤ、イライラを全部今日はポジティブなパワーに変えちゃうから!!」と宣言。タオル大旋回の夏ソング「パパヤパヤパ」に入る。常夏な気分にさせてくれた同曲。ゆかるんもフロントに出てレクチャー&煽り。レゲトンのリズムが会場を躍らせ、バウンスさせていく。そしてチャルメラの音色が流れ出すと、「待ってました!!」と場内に更なる大歓声が。“天下一品のテーマ”が飛び出すと、作品以上にストイックに突き進んだ感のある同曲が、より一体感を育んでいく。また、中間部ではゆかるんが「ラッシャイパネル」なるうちわを持ち会場とのレスポンス合戦を。会場の一体感を更に強固なものにしていく。
そして、中盤に差し掛かると毎度おなじみの“サイサイコーナー”に突入。今回のゲームでは見事にひなんちゅのみが正解!残りの3人は恐怖の罰ゲームとあいなった。(この模様は後日のお楽しみ)
ライブに戻ると、再び一体感を育んだ“milk boy”では間に三拍子を交え、後半は更にライブを加速させ、“さくら咲く青い春”では、タイトなリズムとドライヴ感の中、季節を春にグイッと一度引き戻した。また、サビの開放感と共に会場中にワイパーを生んだ“Love Balloon”では、キュンとした気持ちが場内いっぱいに広がっていった。
後半に向けてはニューアルバムからの曲たちが目立った。アルバムの最後を飾り、結成してすぐに作った曲という“さよなら日比谷”では、幻想的なサウンドの向こう、すぅの上京したてで会いたかった人に会えず、結局胸の内を伝えることが出来なかった、その現場に居合わせた気分を共有し、“AKANE”ではミディアムなテンポの中、切なさを広い場内に広げていった。またアーバンで洗練された“Pandora”では、4つ打ちながらクールなダンサブルさと共にラストに向かうにつれの躍動感が会場を支配していった。
ラストに向かう前の各人のMCには感動的なものがあった。まずは、ひなんちゅ。「自分たちはやっぱりライブバンドだなぁと改めて実感できたこの4か月のツアーだった。青春のバンド、チャットモンチーさんが解散し、憧れのバンドだったELLEGARDENさんがまさかの復活ライブを行い、いつなにが起こるか分からないなぁ…との気持ちがあって。私たちもいつ終わるか分からない。これはずっと思っていることで。これからも楽しいバンドライフを可能な限りみなさんと一緒に続けていきたいです」と感謝の言葉を満場に向けて贈れば、すぅも「時々もう青春が終わってしまったんじゃないかな…と感じたり。だけど、そんな一時の青春じゃなくて、みんなにとっての永遠の青春になれるようにもっともっと頑張っていきたい。みんな自分の進みたい方向に、生きていたい場所で生きていこう!!」と、ラストスパートへ。キメの多い“Kaleidoscope”では、めまぐるしいリズムチェンジと運指の多いベース、そこを抜けての満天の開放感を味あわせてくれ、“ODOREmotion”に入ると、あいにゃんのスラップベースも手伝い、ライブがスリリングに転がり始める。同曲ではCO2も噴射。会場をパーティーでハッピーに踊らさせていく。
ラスト3曲は鉄板の盛り上がり3連単だった。“チェリボム”では、男女交えてのチェリーボムがフロアステージにて交歓されれば、“ジャストミート”では、会場中のタオルが回り、上に放り投げられる。ラストはすぅのギターカッティングに、「待ってました!!」の驚喜が。スラップも冴える“フジヤマディスコ”では、その一体感も半端なく、どんどん高みに引き上げられ、まさに望みは高くあのフジヤマのようにてっぺんを目指す自分が居た。
アンコールではサマーソングが連射された。「自分が好きなことを夢中で楽しんでいるうちは一生青春です。青春は自分で作るものだよ!!」と、すぅの言葉の後に放たれた“19 summer note.”では、今なら何でも出来るようなワンダーな気持ちにさせてくれ、幻想的なサウンドの中、忘れちゃいけないことを思い起こさせてくれるかのように響いた“KAKUMEI”、そしてラストはサイサイ夏の定番曲。夏の本格到来を告げるかのように“ビーサン”が。会場も雄々しいコーラスで応戦し、真夏度を上げていく。同曲を終え、やり切った感と表情を残し4人はステージを去った。
彼女たちはこの日、見事にその臨まれている可愛さを内包しつつも、それを凌駕するぐらいのカッコいいバンド然とした佇まいを見せてくれ、結果、それらは彼女たちをさらなる高みへと導き、同時に更にこれからもこのスタイルについていくファンとの手強いアライアンスを育ませるに至った。「カッコいいけど、可愛さもあるガールズバンド」として、今後も彼女たちは、更にその輪を大きくしていくことだろう。気が早いが何十年後かも雄々しくカッコ良く、そして可愛らしく、彼女たちらしい歌やプレイの数々がステージから頼もしく放たれている光景を想像している自分が居た。
Text:池田スカオ和宏
photo:Hajime Kamiiisaka
天下一品 presents SILENT SIREN LIVE TOUR 2018 ~“Girls will be Bears”TOUR~ セットリスト
1.ピッピ
2.merry-go-round
3.KNiFE
4.八月の夜
5.パパヤパヤパ
6.天下一品のテーマ
7.女子校戦争
8.DanceMusiQ
9.mMilk boy
10.さくら咲く青い春
11.Love Balloon
12.さよなら日比谷
13.AKANE
14.Pandora
15.Kaleidoscope
16.ODOREmotion
17.チェリボム
18.ジャストミート
19.フジヤマディスコ
Encore
En-1.19 summer note.
En-2.KAKUMEI
En-3.ビーサン