矢作 よかった。（笑）それでは、今作のリード曲でもある“＃フィルター越しに見る世界”の歌詞を共作したコヤマくんに登場していただきましょう！
コヤマ よろしくお願いします。
矢作 “＃フィルター～”は、当初友達がテーマの曲だったんだよね。
松本 そう、“ベストフレンド”。
矢作 コヤマくんといざコラボするっていう時に、どういう思いからこのテーマを持ってきたの？
松本 友達の概念まで考えたことのある人ってあまりいないと思うんだけど、コヤマくんはそうかなと思ったんですよ。それで、スタジオで話したんだよね。いわゆる友達というものに対して、どうやって入っていくかって。僕は、まず自分のことを存分に解き放って、相手がちょっと引いたら自分も引くみたいな。でもコヤマくんは真逆だった。まず自分の中で線引きをして、そこから仲良くなった人にはいろいろ見せていくっていう。
コヤマ そう、この人は大丈夫かな、みたいな。（笑）
松本 真逆だけどベクトルが同じっていうのも面白いなって。それで、冒頭の歌詞はコヤマくんが書いてくれたものだったから、これがいわば答えになったんですよ。僕が書いてきていたものは答えもなかったし、自分の中で悶々と考えて外に救いを求めているような感じだったから、強さと弱さが合わさって、「やみこ」になっていくんじゃないかなと。
矢作 なるほど。元歌詞をもらった時に、私は今回のアルバムのコンセプトを聞いていたから、この友達っていうテーマが今作に合っているのかどうかってちょっと疑問に思ったんだよね。なおかつ、その時揃っていた曲には明確に恋愛の歌だと分かるものがなかった。女性目線がコンセプトのアルバムなのに、恋愛の曲がないのはどうなんだろうって思って、明人くんに相談したんだよね。これを恋愛の曲にするのはいかがだろうかと。快諾してくれて、それで思い切って書き換えていったわけで。
松本 ここまでコヤマくんと詰めてきたのに、書き換え終わった後になって大丈夫かしらって心配になって。（笑）これはお伺いを立てましょうと。
コヤマ それで連絡が来た。（笑）普段は自分一人で歌詞を書いて、一人きりでメロディーを付けて歌を完成させるばかりだったから、人と書き合ってっていうのが初めてで。だから今回のコラボの話を受けた時点で、最終的にどういうところに着地したとしても、歌がどういう方向に変わっていったとしても、それでいいなって最初から思ってて。だから、真空チームで話し合って決めたことなら、僕もその方向に合うようにもう一度考えようって。全然OKって感じでした。
矢作 それなら安心しました。（笑）そういえば明人くん、あの答え合わせをしたほうがいいんじゃない？コヤマくんの語尾の女性的な部分。
松本 あ、そうだ！“ベストフレンド”の時にスタジオで仮歌を録ったじゃないですか。あの時、コヤマくんは「笑ったその顔が焼き付いて離れないな」って歌ってたんですよ。でも歌詞自体は「離れない」で終わってて。で、恋愛の歌詞にする際に、改めて僕が「離れないな」って書いてこういうふうに歌ってほしいって送ったんだけど。あれは譜割的に嵌まっただけなのか、気持ち的にそうなっていたのか、どっちなんだろうって。
コヤマ あー！あれね。自分の中でのメロの嵌まりやすさとか、歌いやすさがあったのが半分。あとは、そこに出てくる主人公の想いというか、その誰かのことが頭に浮かんで。で、けっこう微妙な違いなんだけど、「な」が付くことによって諦めきれない感が増すというか……。「あー、私だめだな」の「な」みたいな。そういうニュアンスが出てていいなと思って。最初はメロディーに合ってたし、ただの偶然だったんだけど。改めてこれは付いていたほうがいいなって思ったかな。
松本 コヤマくん自身の活動でも女性心を歌ったりするじゃないですか。それがいいスパイスになったなって。よかった「な」、って。
一同 笑
コヤマ 思えば二人でスタジオにこもって書いていた時、どんどん難解な歌詞になっていってたよね。（笑）二人は「いいねいいねー」なんて言い合って進めていったけど。
松本 ほんと救いのない歌詞。（笑）高原さんに全然分かんないって言われたもんね。（笑）
矢作 改めて恋愛の歌詞として書いていく時に、主人公の女性と、彼女の好きな男性のイメージっていうのを模造紙に書きながら二人で具体的に固めていったんですよ。コヤマくんは、この曲に出てくる女性についてどんなイメージを持ちました？
コヤマ もしかしたら、相手の男性にとってこの女性って全く関わりがないか、あったとしても、軽く挨拶をしたことがある程度の人かもしれなくて。でも、本人にとっては些細なことでも、誰かの助けになっていたりすることってあるじゃないですか。彼女も彼に救われて、密かに憧れているというか。でも自分には釣り合わないと思っていて、こっそりTwitterをフォローしたりとか、気になってはいるんだけど……。自己評価の低い人だから、心の底では上手くいくわけないって思って、いつも葛藤してる。そういうイメージかな。
矢作 おお……、まさに。
松本 ね。
矢作 そして今日駆けつけてくれたコヤマくんが、なんと真空ホロウのツアーファイナル＠渋谷WWWでも共演してくれるという。やるのはこの曲だけじゃないんだよね？
松本 これだけじゃない！まだちゃんと決まってないけど、セッションとかもね。
コヤマ そうだ、練習しないと。
松本 “＃フィルター～”に関しては、それぞれが書いた歌詞はそれぞれが歌うわけで、いわば片方が歌っている時ってもう片方が休みなわけじゃないですか。自分が歌わない時に、どう気持ちを込めるかっていうね。それが難しいなって。カラオケで練習しますか。（笑）
コヤマ カラオケ！？そうだね、それもいいかも。（笑）
松本 CDに収録されたままの状態で聴いてもらう機会ってなかなかないと思うし。みんなもカラオケで歌ったりして歌詞を自分のものにしてから、ライブに来てくれたら嬉しいな。
Interview＆Text：矢作綾加
