■むちゃくちゃかっこいいですよ。このアコースティックのアレンジは全部かっこいい。
K-zoo これはやっててほんと楽しくて、いいもん録れたなーって。いわゆるアコースティックっぽいというか弾き語りみたいなものではなく、アコースティックだからこそできるかっこよさみたいなことがバンドでもっとできるようになったらすごくいいなって。
tommy ちゃんと別物になったというかね、いわゆるアコースティックってものにはならなくてよかったって。
■そう、それがまたかっこいい。
tommy “咲く花”は地味に歌詞を変えてて。レコーディングするのに一応歌詞を印刷し直して、それを見ながらどうやって歌おうかなって考えてたんだけど、もう10年近く前の曲だから、その歌詞を見ていま何を思うかってことを書いてみようと思って。だからあれもいまの自分にしか書けない歌詞。それをここにも残したいって思ってちょっとつけ足して、でもそれは歌詞で読むんじゃなくて耳で聴いてもらいたいと思ったから、歌詞カードはつけなかった。自分らにとってはすごく意味深いものなんですよ、このアコースティックも。
■ほんと、そうですね。この3曲を選んだ理由というのは？
tommy インストアでやったときに、おぼろげながらアレンジが見えて、あ、これいいねって反応したものかな。あとはアレンジでギャップを出せそうな曲を選んだというのかな。例えば“Present changes past”なんてもっと聴かせる感じで作ったらっていうのもあるだろうけど、カントリー調のあったかい感じに仕上がってて、その落差をまた楽しめるだろうな、とか。
■この落差はすごいです。まさにいまだからこそできたんだろうし。
tommy たしかに、ちょうどいいタイミングだったというかね。シングルの新曲3曲では全部を表現しきれなかったかなって気もするから、ここで完結したというか、アコースティックが入って完結したみたいなところはあるから、初回盤のみとはいえ、絶対こっちを聴いてほしいんですよね。
■ね、ほんとに。3曲とも思い入れがあるけど、わたしは特に“Present changes past”に思い入れがあって、それが時を経てこういうカタチで聴けるっていうのはすごくうれしいし、ありがたいなって思いました。きっとそういう人多いんじゃないかな。
tommy そういう気持ちを持ってくれる人が少しでもいてくれるとしたら、なおさら意味があるかもしれないな。例えば家族を持ってる人やライブに来れなくなっちゃった人、そういう人たちのいまの生活に染み込むようなものになってくれたら、“ありふれた今日を”ももっとその人に寄り添えるかもしれないし。そこまで意図はしてなかったけど、なるほど、そうなったら素敵ですね。
■うん、素敵ですね。アコースティックをやったことで幅も広がって、これからどういう曲ができていくかも楽しみですね。
tommy 可能性がすごく広がりましたね。
■ここへきて、またこうやって可能性が広がるってすごいことだと思います。
tommy そうしてないと、止まっちゃう理由や可能性もどこかにあるわけで、そういうものと隣り合わせてると感じる部分もあるし、それは人生でもそうだしね。だからこうやってやれてることに対して、可能性みたいなものを少しでも広げていけたらっていうのは5人とも感じてるし、同じことはもう繰り返していけないんだなって思うから。だからこそ、いろんなものを探しにいこうぜ、もう1回、っていう感じはあるし、すごく進めてるんだと思います。
K-zoo いままでどおりもちろん遊び心もあるし、響かせるところは響かせたいし、そういう意味での可能性や振り幅も広がってきてるのかなって思いますね。だからそれはこれからも見せていきたいし、“ありふれた今日を”っていう曲の手応えや、“WORD PLAY”“ハレロヤ”っていうこのベクトルの違う3曲は、どれもいまの自分らの等身大の音で、そういうCDを作れた手応えも大きいし、アコースティックの手応えもあるし。それはこれから広げていきたいところでもあるし、自分たちでも楽しみなところではありますね。
■『bonfire』『ありふれた今日を』ときて、次どうくるかがほんと楽しみです。
tommy 次に何がくるかなとか、こうなりたいなっていうのも自分の中でちょっと見えてきた気がするし、自分たちにまだドキドキできそうだなって思うと俺自身も楽しみです。でもまずは今回、僕はこのバンドの歌詞を書く人間として、いままで書いたどの曲よりも自信のある歌詞が書けたので、ぜひ聴いてほしい。バンドも自分も成長できたし、めちゃくちゃいいものができたし、人にこれいいぜってちゃんと胸張っていえるものがしっかり作れたと思ってるので、とにかく聴いてほしいです。聴いてください。
Interview & Text：藤坂綾
NUBO“ありふれた今日を”MV
NUBO“WORD PLAY”MV
