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NakamuraEmi WEB LIMITED INTERVIEW

「自分らしくありたい
そのためには自分と戦っていかなくちゃいけないし
自分と向き合っていかなくちゃいけない」

メジャー2ndアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』をリリースするNakamuraEmi。自分らしくあることで出会うことのできたさまざまな光、その光を受けさらなる輝きを放つ全8曲、嘘のない日々と想いだけがただただ歌われる。なぜ彼女はこんなにもリアルに人生を歌うのか――その理由についてたっぷりと話してもらった。

■メジャー2枚目のアルバム、何かテーマはありました?

N 日々のいろんな経験を日記のように書いて、それが曲になっていくというのは昔から変わらないんですけど、今回出来上がった曲を見ていくといままで自分のことばかりだったのに、周りの人がいたからできた曲というのが増えてたんです。なので今回はそういうものをテーマにまとめたアルバムになりました。

■周りの人への気持ちは歌詞からすごく感じ取れます。

N   メジャーデビューが決まったとき、それがいったいどういうものなのかもわかってなかったんですけど、マネージャーとの出会いから始まり、「おまえはうまく話せないヤツだから、みんなでいっぱいごはんを食べたりいっぱい飲んだりしよう」ってレコード会社の方も言ってくれて。打ち合わせが終わればすぐごはん行って、休みの日はバーベキューしたりして、わたしが何でも言える環境を作ってくれたんですよね。そうやってNakamuraEmiらしさっていうものをとても大事にしながら仕事をさせていただいているということをすごく感じたので、こればっかりはもうこのチームがなければできなかったと思うんです。

■それが自然と曲に表れたんですね。

N   そうですね。

■去年の夏に初めてライブを拝見して、どうしてこの人はこんなにも自分の人生をリアルに歌うんだろうって思ったんです。Nakamuraさんが歌う理由にすごく興味があって、ちょっと遡ってしまうんですがそこから訊かせてもらってもいいですか?

N   もちろんです!

■歌い始めたきっかけは?

N   短大の頃、保育士の学校で女の子ばっかりだったんですけど、その仲間でバンド組もうぜ!ってほんとただの学生ノリで。そこでたまたまわたしともうひとりの子がボーカルになって、ツインボーカルでジュディマリさんとかやってて、それが最初ですね。

■そこからバンドは続けるんですか?

N   そこで終わりです。ほんとに短大の何ヵ月間だけで、楽しかったんですけど仕事もしたかったので。

■音楽はもともと好きだったんですか。

N   ヒットしてる曲を聴くくらいでしたね。ピアノを習ってたんですけど練習嫌いだから全然うまくなんないし、ほんとに普通というか……普通でした。

■いわゆる普通の女の子。

N   そうです。幼稚園の先生になるのが夢だったくらいのほんとに普通の子。ただバンドの後に興味本位でボイストレーニングに行ってみたらそれがすごく楽しくて、幼稚園の先生をやりながら通ってたんですけど、当時つきあってた方と結婚するかも、みたいなことになって、これはいまのうちに好きなことをやらなくちゃと勢いで仕事を辞めて音楽をやり始めたんです。

■それは本気で音楽をやっていこうということだったんですか?

N   メジャーデビューしたい!とは言ってましたけど、それはボイストレーニングで「どうなりたいの?」って聞かれて、もうよくわかんないからとりあえずメジャーデビューしたい!って言うみたいな。(笑)すっごくふわふわしてたんですよ、気持ちが。それまで普通に生きてきて自分に何にもなかったから、歌えるじゃん!ってちょっといい気になってたんですよね、きっと。「どうして音楽やってるんですか?」って聞かれたら「人を感動させたいから」とか言ってたし。

■なるほど。

N   音楽やってお金がなくなったら仕事してみたいな状況が25~6歳まで続いて、そこから音楽スタジオでバイトを始めるんですけど、そこにレゲエのミュージシャンがいっぱい来てて、ライブに誘われて観に行ったんです。そしたらみんなお酒飲みながらいろんな会話をしていて、「おまえ叩けんの?じゃあやろうよ」とかいきなりセッションが始まるっていう光景を初めて観て、この人たちかっこいいい!って。その頃から少しずつ変わっていったんですけど、そのときおつきあいしてた方がヒップホップのDJをやってて、わたしのiTunesが壊れちゃって彼のiTunesにiPodを差したら全部ヒップホップになっちゃって。(笑)

■あはははは!

N   そうなったらもうヒップホップを聴かざるを得ない状況なので、うわーなんて思いながらも聴いてたんですけど、ライムスターさんが流れたときすごい衝撃を受けたんです。ヒップホップってチャラいイメージしかなかったんですよ。でも政治のことや自分のことを包み隠さず歌ってる曲を聴いたらそれがもう衝撃で、自分はなんてダサ過ぎてカッコ悪いんだろうって。ちょうどその頃、彼にも「おまえの音楽は気持ち悪い」って言われてたし。

■気持ち悪い?

N   人に好かれようとか感動させたいとかでやってるから感動的な言葉ばっかりで、まぁ、気持ち悪いですよね。(笑)

■なるほど。(笑)

N   その意味がそこでやっとわかって、そこから音楽は趣味でやって、まずヒップホップやレゲエの人みたいにカッコいい人になることが目標になったんです。だから仕事をちゃんとしようって。(笑)それから仕事に一生懸命になったり、彼のことや家族のこと、自分のことにちゃんと向き合うようになって歌詞がガラッと変わったんです。そこから人生観もガラッと変わりましたね。

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