main

Jazztronik WEB LIMITED INTERVIEW

あえてこの時代、リアルや人力ならではのダンスミュージックを!
Jazztronik 初のビッグバンドスタイルの作品を発表

2014年より毎年末にビッグバンドと共にライブを行ってきたJazztronik。これまでの彼の音楽性とはまた違ったサウンドスタイルを用いた、重厚なホーン隊を中心とした、ゴージャスで音圧溢れるそのサウンドは、これまでに多くの者を躍らせてきた。そんな彼からビッグバンドスタイルでアレンジされた作品集が発表された。これまで多数の作品をリリースしてきた彼だったが、意外にも同形態で丸丸1枚作品を作ったのは初。これまでライブで行い、人気の高かった楽曲に新曲を加えた今回の全6曲は、まるで、毎年末の彼のビッグバンドジャズのライブを観ているが如く。聴いている者に高揚感や躍動力を与え、気づけば一緒に踊っていること間違いなしな1枚だ。そんなJazztronikこと野崎良太氏が登場。今作を中心にいろいろと話を訊いた。

■3年ほど前からビッグバンドを率いてのライブは行ってこられてましたが、意外にも作品化は初なんですね?

野崎 そうなんです。ここまで管楽器が多人数いる編成でのレコーディングは無かったですね。今まで特に、狙って出さなかったわけでもなくて。やりたい気持ちはずっとあったんですが、時期的にまだやらなくてもいいかなというのもあって。

■それは?

野崎 聴くのは好きなんですけど、管楽器のアレンジって、考慮しなければならないことがたくさんあって、大変なんですよね。(笑)

■それで、どうして今回は作品リリースに?

野崎 ビッグバンドのライブがとても好評で、「これは音源化されないんですか?」との問い合わせはたくさんいただいていたんです。そういったこともあって、どこかのタイミングでビッグバンドの作品を作ろうとは考えていました。なので、過去にこういったライブをやって来なくて、いきなりこのアルバムの為にだけビッグバンド用に管楽器のアレンジをするんだったら、このタイミングではやってなかったかな。

■いわゆる、作品からライブといった通常の流れとは逆の企画だったんですね。

野崎 そうですね。いままでは、基本的には先に音源ありきで、それを基にライブをやってきましたからね。

■でも、ビッグバンドのすごさって体感的なところもあるじゃないですか。生命力や音圧、パワフルさや迫力といった。その辺り、作品化するとなると損なう懸念もありましたよね?

野崎 その辺りは、かなり意識しました。世の中の「ビッグバンドの名盤」と呼ばれるものって、いつも同じバンドのメンバーで、何回も何回も一緒にライブをやった末に録音したものが多いんです。繰り返され、練られることで曲も物すごい熱量と共に育っていく。その結果を収めた盤が多いんです。今作が、いつものアルバムと最も違ったのは、僕もそれに近いスタイルを取れたことで。ライブで演ってきた曲もあったこともあり、参加ミュージシャンもかなり演奏し慣れている面もあったんです。それ故に各ミュージシャン、自分の立ち位置や役割も自身で把握していて。それは過去の自分の作品では無かったことでしたね。

■参加ミュージシャンの方々、各位のびのびとアドリブやソロを聴かせたり、リレーションをしたりと自己主張もしてますもんね。

野崎 今の時代、ビッグバンドの音源をレコーディングで残すこと自体、なかなか難しい時代ですからね。参加メンバーにもここぞとばかりに思う存分やってもらいました。(笑)

■確かにコスパ重視の現在、このゴージャスさはかなり贅沢です。(笑)

野崎 今回、僕もかなりコントロールしましたからね。それが自分のリーダーバンドである理由であるし、プロデューサーとしても重要な仕事でもあるので。ある意味、そういった手腕も発揮できたアルバムでもありました。

■では、今回は割とプレーヤーよりは、コンポーザーやコンダクター的な立ち位置だったり?

野崎 そうですね。本当だったら、僕じゃない人がピアノを弾いてくれたら助かったんですよね。バンマス以上に権限も強いんで、僕がいろいろ言うと、プレーヤー同士なのに回りが萎縮しちゃう懸念もあったし。(笑)キチンと決められた範囲の中で、自由にのびのびとやってもらう、そこが今回すごく難しかったですね。

■野崎さんご自身の鍵盤はいかがでした?

野崎 他の作品と違い僕の手数も少ないんです。いろいろと音を詰め込んでいるんで、自分の入るスペースは、あえてあまり作らず。でも、手数が少ない分、他のメンバーの演奏に耳がいっちゃうんですよね。誰か間違えやしないか気になっちゃったり。(笑)

1 / 212