■あらためて振り返ってどんな5年半でした?
石崎 なりふりかまわず、自分の表現というものをあまりつき詰めることなくやってきたけど、だんだんいま話したことだったりを経て、俯瞰的になってきたかなって。いままでは、自分に必要なものは何なのかということもつき詰めずにきたけど、だんだんそういうことも考えるようになったし。でも、これは不思議なんですけど、自由になったり、歌がうまくなったり、曲のレベルが上がったりってなっていくと同時に怖さみたいなものもどんどん大きくなってるんですよ。
■怖さ、ですか。
石崎 いままでは自分の内側から出すというスタイル、特に最初のほうはそういうスタイルでやってきたんですけど、最近はそのわーってなってる自分を見てる俺が現れ始めて、で、そいつが俺に怒るんです。
■なるほど。
石崎 こういうふうに見せたいっていう欲が前よりも大きくなってるんだけど、それに自分が追いつけなかったり、うまくできなかったりっていうこともあるし、でもそこも自分でわかってきちゃったし。俯瞰的に見てる自分がいるから、ま、いいやで終わらせないようになってきてるんですよね。ってことは、俺、ストイックになってるんですかね。
■だと思います。
石崎 コントロールしてる自分がもうひとりいる気がするんですよね。この5年半いろんな素敵な人たち、それこそ音楽だけじゃなく俳優の方や素晴らしい人に出会わせてもらったのも大きいのかな。
■俳優の方との出会いやご自身が俳優をやられたことが、自分を俯瞰するようになった大きな要素かもしれないですね。
石崎 たしかに、そこからの影響は大きいかもしれないですね。
■じゃあいまは自分といつも会話しているような感じですか。
石崎 そんな感じです。いままでみたいに何も考えないでやってたいって思うこともあるし、やろうとしてる部分もあるから、それがけっこう苦痛でもあったりするんですけど、シンガーソングライターとしてこれからもずっとやっていくためには必要なことなんだろうなと思うんですよね。だからそういった意味でも次のフェーズに進みたいという感じですね。
■次のフェーズというのは何か見えてたりはするんですか。
石崎 いままでは自分の中にためてあるものを出す、削り取るというか、吐き出すっていうカタチで曲を書いてたんですけど、例えば、ここにあるコップから曲が書けるような、そういうソングライターとしての力がほしいんですよ。自分の内側からも出せるし、これ(コップ)からも書ける、そういう無双状態になりたいんです。
■そうなったらもう無限だし、ほんと無敵ですよね。
石崎 頭をやわらかく、どんどん広くしていきたいと思ってて。“ピリオド”はそういうことも考えながら作ったので、いままでの曲と歌詞の感じが少し違ったりするんですよ。
■たしかに、ちょっと雰囲気違いますね。
石崎 <春>をテーマに書き始めたんですけど、いままでの内省的な歌、自分が思った言葉をそのまま出して終わりっていうだけではなくて、今回はその出てきた言葉をどうしたらもっとわかってもらえるかとか、どうしたらもっと心に響くようになるかとか、そういうところを意識的に変えて書きましたね。
■自分だけではなく、その一歩先のことも考えるようになったと。
石崎 そういうことにこの曲はトライしてるんですよ。デビューしたときのことを思い出してたんですけど、せっかく作ったものだし、たくさんの人に聴いてほしいという気持ちはやっぱり根っこにあるから、より人の心に届くようにとか、どうやったら深く伝わるかとかそういうことを考えるようになって、やっとそれがカタチにできるようになったという感じなんですよね。自分の中から出して、それをそのまま言葉にするのもものすごく音楽的だと思うし、まっとうなことだと思うんですけど、いまのそうではないモードというか、この感じをこれからトライしたいというか、その手法で新しい自分を探していきたいなって、そう、そこですね。
■新しい自分を探したい。
石崎 そう。だからやっぱりここでいままでの自分にピリオドを打って、いままでの自分にさよならして、次のフェーズに進みたい、新しい自分を探したいんですね。5年半経って、だいぶ遅い気づきだったかもしれないけど、これから第二章がやっと始まる気がしますね。
Interview & Text:藤坂綾
PROFILE
2012年7月にミニアルバム『第三惑星交響曲』でデビュー。2013年4月“夜間飛行”がテレビ東京系ドラマ24「みんな!エスパーだよ!」のエンディングテーマとなり話題となる。2013年7月にメジャーファーストアルバム『独立前夜』をリリース。2016年5月に、セカンドアルバム『花瓶の花』がリリース。2017年、ギター1本での弾き語りツアーを全国17か所で開催。2018年には菅田将暉に“さよならエナジー”を書きおろし、3月には自身初となるベストアルバムをリリース。ソロアーティストとしてのスケールを無視する規格外なシンガーソングライター。
RELEASE
『Huwie Best』
ESCL-5043
¥2,900(tax in)
Epic Records Japan
3月28日ON SALE
LIVE
石崎ひゅーい『Huwie Best』フリーライブ
日時:2018年4月12日 18:00開場 19:00開演
場所:代々木公園 野外ステージ
入場完全無料
※雨天決行/荒天中止
「Huwie Best」発売記念インストアライブツアー(ミニライブ+サイン会)ライブ観覧フリー
3月27日(火)HMV 札幌ステラプレイス
3月29日(木)名古屋・鶴舞公園(『ZIP SPRING SQUARE from TSURUMA KOEN OHANAMI STATION』)
3月30日(金)タワーレコード難波店
4月1日(日)タワーレコード渋谷店
4月1日(日)タワーレコードアミュプラザ博多店
4月14日(土)阪急西宮ガーデンズ 4階スカイガーデン・木の葉のステージ
弾き語りワンマンTOUR 2018「ピリオド」
5月3日(木・祝)横浜O-SITE
5月4日(金・祝)浜松FORCE
5月6日(日)水戸lighthouse
5月18日(金)広島Live Juke
5月19日(土)岡山城下公会堂
5月25日(金)京都UrBANGUILD
5月26日(土)神戸James Blues Land
6月8日(金)福島Player’s Café
6月9日(土)山形蔵オビハチ
6月10日(日)SENDAI KOFFEE CO.
6月12日(火)カフェ・ブルージュ
6月13日(水)the five morioka
6月14日(木)青森1/3
6月17日(日)札幌くう
6月22日(金)長野ジャンクボックス
6月23日(土)金沢もっきりや
6月24日(日)新潟ジョイアミーア
6月29日(金)柳ケ瀬ants
7月1日(日)松阪M’AXA
7月5日(木)Live HEAVEN
7月7日(土)ぺいあのPLUS’
7月8日(日)福岡ROOMS
7月16日(月・祝)西川口Hearts
7月20日(金)阿倍野ROCKTOWN
7月22日(日)名古屋SPADEBOX
7月25日(水)渋谷TSUTAYA O-WEST