自由、成長、そして喜び、この連鎖が見事に表れた3rdアルバム『PIANO CRAZE』
H ZETTRIOがサードアルバム『PIANO CRAZE』をリリースする。ジャズという形式の中にポップの輝きを盛り込んだ楽曲には、バンドのいまを象徴するかのような勢いと楽しさが満ちており、自由に、そして貪欲に、楽しさを追求するあまり溢れ出た喜びはもう半端ない。バンドの中心人物となるH ZETT Mにこのアルバムについて、そして自身とピアノについて訊いた。
■3枚目のアルバム、どんな仕上がりになりました?
M 2013年に『★★★(三ツ星)』というアルバム(ファースト)と、昨年『Beautiful Flight』というアルバム(セカンド)を出しまして、その間にライブハウスやホール、ジャズクラブなどいろんな場所でライブをやりまして、こういうことをやると喜ばれるのかとかいろんな発見があった中、H ZETTRIOというのはこういうグループなんだな、というのが自分たちでもやっとわかってきたというところもあるんですね。それがわかったうえで、そこからよりもっとアグレッシブにやっていこうというような、その勢いとテンションによってできたアルバムだと感じてます。
■1曲目から攻めてますしね。勢いという点では、昨年から立て続けにシングルを配信されてたということもありますけど、そもそも何か意図があってのことだったんですか?
M それはですね、私H ZETT Mがですね、曲がどんどんできちゃうという状態にありまして、だったらもうできた順にどんどん発表していっちゃおうということで、どんどん配信し続けたわけですね。
■そんなにできちゃうんですか?
M どんどんできちゃうんですよ。
■メンバーのお二人ともつきあいが長いこともあって、カタチにしやすいということもあるんでしょうか。
M それは非常にあると思います。性格もよくわかってるということもありまして、例えばテンションの上げ方とか、曲の入り方みたいなものは、「はじめまして」の人よりもわかりやすいし、やりやすいですね。曲の完成に至るまでのスピード感も早かったりしますし。
■とにかくポップで聴きやすくて、ジャズに興味がない人でもすんなり入り込める親しみやすさ、自由さがありますよね。その辺は意識されてのことでしょうか?
M ポップな輝きと言いますか、そういうところがやっぱり喜ばれたりもするし、やってるほうとしてもうれしいので、そういう部分は取り入れていこうという意識はありましたね。バンドが勢いづいてアグレッシブになっていく中で、もっと笑顔で楽しくなれるようなものが作りたいという気持ちもどんどん強くなっていってますし、ポップの中にあるそういう輝きみたいなものはすごく大事にしています。
■いまさらかとは思いますが……やっぱりH ZETT Mさんの原点となるピアノについてもおうかがいしたいのですが、始めたきっかけというのは?
M たしか4歳くらいだったと思うんですけど、家に足踏みオルガンがありまして、それをよく弾いてたらしいんですよね。じゃあ音楽教室に行ってみようかと、そこからです、ピアノを始めたのは。
■最初はクラシックから?
M クラシックから。
■バイエルとか。
M バイエルは……飛ばしました。
■そうですか。(笑)そこからピアノに魅了されていくと。
M うーん、楽しいというよりは習慣で弾いてたところはありますね。なんというか、練習しなきゃっていう感じ、そういう気持ちの中、毎日練習してましたからね。
■イヤになったりしませんでしたか?
M もうしょっちゅうイヤになってたような気もします。
■でも辞めるという選択にはならず。
M そうなんです。辞めるというのはなかったんですよね。楽しいという気持ちもそんなになかったんですけど、辞めたいっていうのもそんなになく。だからほんとやってたっていう感じなんですね。
■あー、ほんとにもう習慣という。
M そうです。
■たしか高校から音楽の専門の学校に行かれたんですよね?
M 高校で音大の付属に行きまして。
■じゃあもうそのときから音楽で、ピアノで生きていくという覚悟みたいなものはあったと。
M これだ!というよりも、それ以外はないというような感じですかね。音楽がいいっていうより、音楽意外に何もないからとりあえずここにいようと、いわば消去法ですね。迷いとまではいかないですけど、常にどうしようかなっていうのはありましたし。