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グッドモーニングアメリカ WEB LIMITED INTERVIEW

たなしん(Ba&Cho)、渡邊幸一(Gt&Cho)、金廣真悟(Vo&Gt)、ペギ(Dr&Cho)

風景画よりも心象画。活動休止を経て、より内面が深く出た5thアルバム

フロントマンの金廣真悟が声帯ポリープを手術し、今年5月から約3カ月に渡りライブ活動を休止したグッドモーニングアメリカ(通称:グドモ)だが、前作からわずか10カ月という短期間でニューアルバム『502号室のシリウス』が到着した。11月には地元・八王子での主催フェス、12月からはリリースツアーも控え、むしろ休止前よりも活発になったとすら感じさせる彼ら。その前向きな姿勢が現れた“ハルカカナタ”や、「晴れ渡れ」と高らかに叫ぶ“風と鳴いて融けてゆけ”といった力強い楽曲が光る一方で、ラブソングや社会現象についても歌うなど、幅広いテーマを扱った新作について、メンバー4人に語ってもらった。

■活動休止はバンドにとって影響ありました?

金廣 あったとは思います。体のことはもちろんですけど、気持ちもリフレッシュできたというか。メンバーにも1カ月くらい会わなかったですし。

■こんなに長い休みは、いままでにないですよね?

渡邊 そうですね。バンドが動き始めてからは、ほぼ毎週末ライブで、空いても2〜3週間とかだったので。それが3カ月も空きましたからね。

■金廣さんが療養していた間、他の3人はどんな時間を過ごしていたんですか?

渡邊 僕もリフレッシュさせてもらいました。友達とキャンプに行ったりとか。バンドをやっていると、やっぱり週末はライブが多くて、普通にサラリーマンをやってる友達とは休みが合わないので。

■ペギさんは?

ペギ 休み中、野球がすごい好きになって、ヤクルトを応援しだしたんですよ。ほぼほぼ野球を見てましたね。いまは藤井亮太選手に注目しているんですけど、すごい全力プレーで……(しばらく熱弁)……その一生懸命やっている姿に惹かれました。短期間ですけど、本当に感動することが多くて。やっぱり音楽も最終的に感動だと思うので、絶対に通じるものがあると思うんです。その感覚が、より明確になりましたね。

■熱弁しますね。

ペギ もっといけますよ!

■すみません、たなしんさんの話を聞かせてください。(笑)

たなしん 僕はペルーとキューバに行ってました。ひとりで3週間くらい。言葉もわからないし、行き当たりばったりの旅だったんですけど、進んでいくとヒントがあって、それを手がかりに次に行く街を決めて。RPGみたいな感覚でしたね。

■音楽的な影響を受けるようなものはありました?

たなしん キューバの端にサンティアーゴ・デ・クーバという街があって、そこでは朝から晩まで、みんな音楽をやっていたんです。最初は普通に演奏を見に行ってたんですけど、そのうち楽器を触らせてもらえるようになって、一緒に音を合わせたりして、単純に「楽しいな」と思ったんですよね。そういう経験もしたので、帰国してバンドで音を出すことが、より楽しみになりました。

■それぞれリフレッシュできたみたいですね。休止明けにバンドで音を出したときは、何か違う感覚はありました?

金廣 うーん……。

■あんまりそこに意味を求めないほうがいいですか?(笑)

金廣 どうなんですかね。最初はアルバムの曲作りで集まったんですけど、みんなで合わせたときの感覚というよりも、各々が持って来る楽曲の種を聴いて成長を感じたというか。たとえば幸ちゃん(渡邊)がめちゃめちゃかっこいいギターリフを持ってきたり、ペギも「こんなのどうですか?」ってメロディーを作ってきてくれたり。ただ、それは休止したからなのか、単純に前作からの積み重ねなのかはわからないです。

■今回のアルバムには、休止前に作った曲も入っているんですか?

金廣 そうですね。休止前から何曲か録ってました。だから、休止前後で心持ちは違うっちゃ違いますけど、それがいい具合に混ざって、聴いてて飽きないアルバムにはなったなとは思ってます。

■アルバムの『502号室のシリウス』というタイトルは、どういう意味なんですか?

金廣 「502号室」は単純に自分が住んでいる家の部屋番号です。いつも通りだと、リード曲をそのままアルバムタイトルにするんですけど、“風と鳴いて融けてゆけ”は活動休止前に録った楽曲なので、それをタイトルにしちゃうと、アルバムを網羅している感じがしなくて。それでパッと思い浮かんだのが『502号室のシリウス』なんです。ちょっと詩的だし、以前に(同じ冬の大三角形のひとつをテーマにした)“ベテルギウスが消えてしまう様に”という曲も書いているので、自分のなかでもしっくり来るタイトルになったなと思っています。

■自分の部屋から生み出されたアルバム?

金廣 メロディーはスタジオとかでも浮かんでいたので、一概に502号室で全部作ったとは言い切れないですけど、そこで生活するなかで思ったこと、積み重ねてきたことが乗っかっていると思います。

■ちなみに前作も502号室ですか?

金廣 そうですね。前作も、前々作も。(笑)

■前作を作られたときは「いまの社会で生きる気持ちが出た」とおっしゃられてましたけど、今作ではいかがですか?

金廣 前作はスタジオで考えたり、電車のなかで悩んだりしてましたけど、それもあって外を向いていた部分があったと思うんです。でも、今回は自分の部屋で全部書いたので、そういう意味では内を向いたというか、自分について出した楽曲の割合が多いかなと思います。外を見て風景画を描いたというよりは、自分の内面のほうを向いて心象画を描いたようなイメージですかね。

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