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DJ yaksa VANITYMIX 2018 SPRING BACK to BACK TALK

第十回
ジャカルタBlowfishのレジデントDJ w.W対談

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DJ yaksa(Y)
DJ w.W(W)

location:V2 TOKYO
photo by:Kazunori Wataya

様々なシーンで楽しめるよって伝えたい
音楽で楽しくなれるし、泣く事も出来る

■レジデントDJとして、楽しみと難しさなどありますか?

W 2004年にBlowfishがオープンして、僕は2008年から加わったから、もう少しで10年だね。いろいろあったな…。(笑)簡単な方から答えると、楽しさはやっぱり自分のDJでお客さんが盛り上がって楽しんでくれた時は自分もすごく楽しいし、シンプルに嬉しい。あまりお客さんに引っ掛からなかった時でも、じゃ、あの時何がお客さんを引っ掛けられたのか、どんなトラック、マッシュアップ、ミックスの仕方、曲同士の繋げ方、いろいろあるけど、それを考えて次回に実践するまでの道のりにもやりがいを感じるし、実践してウケた時も「これか!こういうのか!」って、お客さんとシンクロした時とかが自分は楽しいと感じるよ。yaksaは?

Y 本当に同意見だね!レジデントならではの話だけど、いろいろと飛び回るDJの方々と違って、毎週同じ箱でプレイすると、来週のお客さんはどう盛り上げようとかを日々考えさせられるよね。その中でも特に選曲の並べ方、グルーヴ感、毎日考えさせられます。難しいけど、そこがDJの醍醐味だから楽しくて仕方ないよね。

W さすがレジデント同士!(笑) 難しい点はお客さんがわがままなところかな。悪い意味じゃなく、お客さんは流行りに敏感だし、鈍感でもあると思っていて、レジデントDJとしてはみんなを盛り上がらせることはもちろん、流行りの音楽を届けることも責務だと僕は考えているんだ。例えるなら、学校の先生みたいな。(笑) みんなが盛り上がれる曲でまとめつつ、いま流行っているカッコいい曲や最先端のクラブミュージックを教えたり、薦めるみたいな。つまり教育者たる姿勢でいるべきだと僕は思うし、それを実際にやろうと思うとすごく難しい。

Y そうだね!w.Wが言っている事も常に実践しようと思うけど、これが一番難しい。ゲストDJはその日の花形だから、その仕事はしなくて良い。だからこそレジデントDJがこの仕込みを日々継続し続ける事が一番の仕事でもあるし、ある意味、僕は使命感に近いものだと思うよ。あと盛り上がりを継続する事が全てではないとも思っていて、バランスが一番重要な要素なんじゃないかな。つまり、盛り上がりも作りつつ、新しい音楽やジャンルも提供し、かつフロアーにいるお客さんの最大値から最小値までをコントロールしなければならない。どう考えてもとても難しいよね。(笑) 永遠の課題です。

■各国から著名なゲストがプレイしにきていると思いますが、今までに印象に残っていることは?

Y いっぱいいるから絞りきれないなあ。(笑) 強いて言うならCHUCKIEかな。

W ダーティーダッチってジャンルの立役者か!僕はヒップホップのカリスマDJ兼プロデューサーのJazzy Jeffだね。さっきの話と少し被るけど、僕にとって彼は音楽の先生でもあるし、実際Blowfishでプレイした時、当時ジャカルタではヒップホップシーンはあまり盛り上がってはいなかったんだ。そんな中でお客さんをとても盛り上げていたんだ。まるでヒップホップという音楽を教え込んでいるような、まさに僕の考える理想のDJでとても印象に残ったよ。

Y それならCHUCKIEもEDMが全盛で他のジャンルがあまり浸透していない頃に、ビックルームなどのジャンルでお客さんを盛り上げつつ、ヒップホップの匂いがするミックスやグルーヴ感でも盛り上げていて、更に終盤の方にはヒップホップセットで普段僕らレジデントが多くはプレイしない曲にも関わらず、終始盛り上がりをキープしていたよ。まさに教育者だったとw.Wの話を聞いて思ったよ!世界をロックしてきているDJだからこそ成し得る技でもあり、それよりもクラブシーンにおいても様々なジャンルを押し広げようとする気持ちが強いんじゃないかとも思ったね。その点がさっきの話の「教育者たる姿勢」と「盛り上がり続ける事が全てではない」に共通しているんじゃないかな。

■ジャカルタと日本のナイトクラブの違いとは?

W アジア圏内は他の圏内と比べたら、音楽の面ではあまり遜色はなく似ていると僕は思うな。実際yaksaがBlowfish、BUSTA-ROWがうちのグループ店舗のDragonflyでプレイした時はすごく盛り上がっていたし!あ、でも街とか店内のクリーンネスは断然日本が綺麗!それが唯一の違いかな。(笑)

Y そうだね、ジャンル感での大きな違いは無いかな、Blowfishでプレイさせてもらった時に思ったけど、僕が思うに英語圏との違いで、お客さんが合唱するのは断然ジャカルタのお客さんだね。プレイしていてとても楽しかったよ!

W 言われて見ればそうかも知れない!

■ジャカルタのシーンで現在流行の音楽や今後流行りそうなジャンルは?

W 今はポップ寄りのベースハウスがキてるよ。どちらかと言うとベースハウスを流行らせたい感じだけど。実際最近よく流すんだけど反応は上々だよ!日本でウケるかは流してみないと分からないな。あとはDVBBSが数ヶ月前に新譜をたくさんリリースしたけど、ああいうEDMの進化系とでも言うジャンルを今いろんなアーティストがリリースしているから、そっちの動向も僕的には見逃せないかな。

Y 個人的にもベースハウスは好きで、以前から僕もプッシュしているよ。けど、まだまだ浸透までには届かないかな。もちろん日によって異なったりすることもあるけど、僕も流行らせたい一心から自分で作ったマッシュアップと、オリジナルとの混ぜ合わせでプレイしているよ。現状の日本はEDM、ヒップホップとTop40を混ぜ込んだオープンフォーマットスタイルが主流だね。

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