第八回
3人が語るHIPHOPのイマとムカシとミライ
DJ yaksa(Y)
DJ BUSTA-ROW(B)
DJ MOUSS(M)
location:ELE TOKYO
photo by: Kazunori Wataya
レジデントDJ3人が語る ナイトシーンにおけるHIPHOPとは?
■3人のヒップホップとの出会いとDJを始めたきっかけは?
M 僕は元からヒップホップカルチャーのダークな面と、その正直な音楽性に興味を持っていて、その流れでナイトクラブに踊り行くようになって、DJという職業も身近に感じていったよ。それこそ服装もB-BOYを意識していたし、グラフィティ・アートも3年以上やっていたよ。今思えばヒップホップに憧れているジャンキーを気取っていたかもしれない。(笑)それから時が経って、1994年にDJを始めたんだ。1997年に開催された「The DMC World DJ Championships」というDJ大会では準優勝することが出来て、嬉しいことにフランス中のDJ達からの知名度が一気に上がったんだ!それを皮切りに止まることなく今まで世界中で活動を続けてきているよ! yaksaとBUSTA-ROWの二人と共演できたことも記憶に残っているよ!
B 覚えていてくれたんですね!僕は高校生の時にミクスチャーバンドでDJをやる流れになって機材を買ったのですが、なぁなぁになってしまい、ダンス部の友人がヒップホップを教えてくれて、そこからどっぷりはまってヒップホップ、R&BのDJになりましたね。
Y MOUSSとの出会いはVANITY LOUNGE TOKYOだったね。EKLIPSのビートボックスとの初めてのギグは鳥肌が立つほどの感動だったのを今でも憶えてるよ。僕は1998年に主要なジャンルの根源と言われているブラックミュージックにハマって、レコードを集めだしたのをきっかけにDJをスタートしました。最初は仲間うちでパーティーを始めて、いつしかDJに没頭していった感じかな。MOUSSと同じく、その時代はヒップホップが最先端で服装ももちろんB-BOYスタイルで頭はスパイラルパーマ、ラルフローレンのXLサイズを着ながらスケボー持ち歩いて、レコードを掘るのが趣味でした。(笑)そこからアルバイトをしながらレコードを集め、クラブでいろいろなDJプレイを聴いて勉強を重ね、ヒップホップのミックステープを研究するのがライフワークでしたね。
■現在のヒップホップシーンについて
M フランスでは国民的なヒップホッププロデューサーはもちろん、ヒップホップに特化した有名なDJもいて、根強い人気は当然あるんだけど、やっぱり100%ヒップホップ箱っていうクラブは無いに等しいのが現状だね。唯一パリにある「La Place」って箱はフランスではヒップホップのメッカとも呼ばれているからオススメだよ!
Y 確かに…。だけどここ最近、EDMシーンの需要が少し減って来ている中で、ヒップホップの需要が増えてきている事も事実だと感じますね。日本でも100%ヒップホップ箱は少ないけど、クラブに行く人も行かない人もヒップホップは近い存在になっている事は確かだと思います。
B 間違い無いですね。日本のファッション界でも最近では日本のアイドルがケンドリック・ラマーの最新アルバム『DAMN.』のTシャツを着てたりとか、ブランドとしても現在の日本では一種の主流になっていると、感じざるを得ないですね。
M へー、そうなんだ!ロックバンドのTシャツを着ている人は多く見るけど、ヒップホップもそうやって今後普及していきそうだね!
Y そういえば普及というワードを絡めると、MOUSSはヒップホップ専門のラジオをフランスでやっているよね?
M そうなんだ!僕はいちDJとして、「MOUV’ RADIO」という国の公式ラジオチャンネルを通してヒップホップの普及にも努めているんだよ。今回来日したのも「MOUV’ RADIO」のサイトに各国のヒップホップシーンを取り上げた「Mix And The City」という動画を配信するために来たんだよ!次はロンドン、プエルトリコ、ニューヨークと、様々な国にも素材を集めに行く予定だから、動画が完成したらみんな観てみてね!読者のみんなは後でサイトから視聴できるけど、ちょうどこの対談の前にyaksaとBUSTA-ROWに日本のヒップホップシーンを伺ったから、それもお見逃しなく!
Y その節はありがとう。みんなもぜひチェックして下さい!
B 各国のいろんなシーンも気になりますね!僕もチェックします!
■みなさんにとってヒップホップとは
M 僕にとっては、ポジティブな感情や好ましくないバイブスもすべて引っくるめて、何か新しいものへと昇華してくれる、欠かせない存在さ。何故ならみんなパッションを持って努力している人達から生み出されたものであって、それらを聴くと励まされ、鼓舞され、自分も頑張ろうと思わせてくれるんだ!
Y ヒップホップはアメリカのイメージが強いと思いますが、世界共通の音楽の一つじゃないかなと思います。ラップ、歌モノ、すべてをひっくるめてヒップホップというジャンルには不思議なクールさがあり、家でもカフェでも車でも、もちろんクラブでも、どこでもプレイできるジャンルってなかなか無いのではと思いますね。そこが最大の魅力じゃないかな。
B 自分らしさを作ってくれた存在です。いろんなものが混ざり合っているんだけど、中身が本質で、ヒップホップの深さはすごく魅力的で飽きないですね。なんか女性みたいな例えになってしまいましたけど。(笑)