金井政人（Vo＆Gt）、柿沼広也（Gt＆Vo）
BIGMAMAが改めて魅せた「ヴァイオリンのいるロックバンド」の真骨頂
結成から10余年、インディーズにて活動をしてきたBIGMAMA。メロディックパンクにヴァイオリンを融合させた独自の音楽性を出自に、作品毎や繰り返すライブ毎に様々な音楽的発展を遂げ、人気を上げ、昨年行った日本武道館でのライブも大成功に収めた。そんな彼らの今回のシングル『Strawberry Feels』はメジャーレーベルからのリリース。とは言え、それは単に発売元が変わるレベルのこと。彼らの本質やスタンスは未だ全く変っていない。今作は、まさに「これぞBIGMAMA!!」とも言える彼らの真骨頂が楽しめる1枚。あえて自身の特徴や特異性を伝わりやすく楽曲化させた面目躍如な全3曲だ。そう、彼らはまたここから新たなフィールドに飛躍していく!
■今回のシングルは、BIGMAMAの「ヴァイオリンのいるロックバンド」である由縁や勢い、激しさや美しさの同居等、これぞBIGMAMA的な音楽要素を今一度、確認できる作品ですね。
金井 自分の意図したところをおっしゃって下さったので、そのまんま書いていただいて大丈夫です。もう、ホントその通りで。自分たちとしてはいろいろなことを知った上で、もう一度、学生時代をやり直してみるような感覚のシングルでもあったんです。こういったタイミングのシングルって2回は出せないじゃないですか。
■その「いろいろなことを知った上で～」って、すごく言い得ています。
金井 もし今の自分の知識で、もういちど高校一年生をやり直したり、社会人として「はじめまして」が言えたなら、いろいろなことが分かってる分、社会人であれば、なるべくスマートに挨拶が出来るじゃないですか。より相手に分かりやすく、伝わりやすい挨拶ができる。それと同様で。名刺も分かりづらい肩書きを省き、シンプルに「ロックバンド。ヴァイオリンが居ます」がいいだろうと。それを音楽で表してみたんです。
柿沼 このタイミングなので、今まで僕らを知らなかった人たちも知ってくれる可能性もありますからね。そんな中、いろいろとやってきた僕らが、この時期に作品として表すならどのようなものがいいだろうと考えた時に、やはり自分たちの本質や強み、それらを出すことだろうと。そこに行き着いてのシングルでもあるんです。
■まさに新たにみなさんを知る方々には、とても本質が伝わりやすい作品ですね。
柿沼 自分たちの中でも、作品としてもBIGMAMAがどのようなバンドかがまとめられたし、10年前では絶対に出来なかったバランス感覚だし。それが自然と出せたと自負しています。
金井 メジャーからのリリースに関わらず、当初から「次にBIGMAMAというバンドが出す曲はこういった曲がいいだろうな」と想定していました。その辺りは日本武道館で、この10年間やってきたことが完結した後という意味合いも大きくて。あれを経て出す一発目は、やはりこういったタイプの曲が相応しいだろうと。
■その「こういったタイプ」というのをもう少し具体的に言うと？
金井 「この10年間で、自分たちの中で最も外せなかった曲って何だろう？」と、改めて振り返ってみたんです。そこで出た答えが「荒狂曲“シンセカイ”」で。これまでいろいろな振れ幅があれど、常に真ん中にあったのはこの曲だったなって。
■ライブであの曲が現われると景色や状況がパッと変わりますもんね。会場も驚喜するし。この曲のプレイ以降、バンドにも更なる勢いがつき、ライブの流れが変わって行く様をこれまで何度も目撃しました。
金井 常にあの曲が自分たちの中心にありましたからね。出番も多かったし。どこでやるにも、「自分たちはこんなバンドです」と伝える際には最も効果的な曲で。じっと見られても自由に楽しんでも、どこでもカッコ良く演奏するだけで伝わった楽曲でもあったし。それをキチンと更新する曲が再出発の際には、あるべきだなと。
■しかも今回は単なる焼き直しに留まらず、これまで培い確立した現在のみなさんならではにアップデートされている面もポイントかなと。
柿沼 それはあります。特に間奏の部分なんて、変拍子を取り入れたり、テンポチェンジがあったり等、10年前じゃ出来なかったし、思いつきもしなかったですから。これまでいろいろと挑んできたことが実を結んだ感はあります。そう考えるとアップデートしつつ、これからも魅せれたのかなって。
金井 今なら更新できるとの自負もありました。「荒狂曲“シンセカイ”」や、その付近の曲のアップデートがキチンと1曲の中に投影されることに意味がありましたから。あの曲はクラシックをモチーフに、自分たちなりの掛け算がいい具合に起きた曲でしたが、「それを今度は誰と掛け算をするんだ？」って時に、矢印が合うドラマ（「賭グルイ」）とのタイアップや、移籍という「改めてちょっと見てみてよ」と誘いもしやすいタイミングと重なったことも大きかったですね。
