ベリーグッドマン、アルバム制作への想いを語る
7つのタイアップソングを収録した『SING SING SING 5』から約半年後――。ベリーグッドマンから6枚目のアルバム『SING SING SING 6』が届いた。今作はホワイトデーに先行配信され、LINEMUSICのリアルタイムランキングで1位を獲得した“in what rain”や、TBS系恋愛バラエティ「恋んトス」主題歌“世界中のどんなラブソングよりも feat.erica”など計10個新曲が収録されている。半年ペースでアルバムリリースを続けている彼ら。そこにはどんな制作秘話があったのか。
■前作から半年以内に6枚目のアルバムをリリースするという、驚異的なスピードですが、『SING SING SING 6』の楽曲制作はいつ頃から始まったのでしょうか?
Rover 前回のアルバム『SING SING SING 5』は2017年10月4日に出したじゃないですか。その一週間後には『SING SING SING 6』の楽曲制作が始まっていたんですよ。元々、前作は7〜8月頃にはできていたので、半年くらいの空白はあったかな。でも途中からあんまり曲を作る気が起きなくなってしまって。「応援ソングを作ろう!」となったあたりから、作曲が行き詰まったんです。
■というと?
Rover 自分たちのスタンダードというのが分からなくなって。
MOCA 僕ら曲のストックがないなかで、でも求めてもらえるので作らなあかん、というのがありまして。「もう1曲いい曲が書けたらいい」という自分と、「生み出し続けな応援ソングを語れへん」という強気な自分が相まって、アルバム制作中に一度だけみんな曲が作れなくなりましたね。
Rover 単純に曲を出しすぎているんですよ。その割にストックが欲しい状態なので。(笑)これだけ曲を出してたらストックいらんやろって。
■スランプに近い状態があったんですね。
Rover そんなときにMOCAが“Hello”を出してきたんです。実は以前からMOCAが“Never ending”っていう、のちの“Hello”の原曲なんですけど、ずっとそれを「収録しよう」「この曲は良い」と言っていて、可能性を感じていたみたいで。それを今回、納期ギリギリくらいに収録することに決めて、見事に『SING SING SING 6』にハマった感じですね。
MOCA “Hello”の歌詞が、そのときの自分たちの心理状態に近かったんです。そこですかね。僕ら自身も励まされたというか。
■その“Hello”は今回のアルバムのリードソングとして収録されていますよね。一度は曲を作れなくなった、とのことですが、半年に1枚アルバムをリリースするペースはなかなかだと思います。
Rover 僕たちの良さは3人とも曲が作れることなので、そのくらいのペースが丁度いいのかなという気持ちもあるんですけど。
MOCA いろんなしがらみがありますけど、半年ペースで曲を出していこうというのはチームで掲げているので。
Rover だから見といてください。今年10月あたりにまたアルバム出しますから。(笑)
MOCA んで、来年4月にまた同じような話するんよな。げっそり痩せているかもな!(笑)
■他のアーティストさんもやられていない快挙なんじゃないかと思います。
Rover 僕らHiDEXのスタジオでやっているので、最低5日くらいあれば作れるんですよ。配信だったらそれくらいのスピードでいけますね。もうグループ名も変えた方がいいんとちゃうかな?ハイスピードボーイズって。
MOCA それはあかん。GReeeeNのプロデューサーのJINさんがHigh Speed Boyzでやっとるから。(笑)でも制作期間が詰められる分、新しい要素も入れることができたんですよ。例えば、今回収録している“Musicplication”や“Sixth Sense”はツアーで感じた空気感から作った曲だし。
■そうだったんですね。これまで確実に積み重ねてきたものがあるなかで、今回新たに意識したことってありますか?
Rover 僕はアルバムをリリースするタイミングで、過去のアルバムを聴き返すんですよ。“ライオン”と“ハイライト”を聴き比べたりして。そうすると、歌い方の表現とかについて考えるんです。「もっとこういう風に表現できるんちゃうかな?」とか。なので、今回のアルバムは声色を1曲ずつ変えたつもりですね。例えば、“友達の歌”はハキハキした、パワフルな歌い方をしていて、これまで僕があんまり出してこなかったような声色。“in what rain”や“Remember”は、暗すぎず、かつ前向きな感じで歌っていたり。それぞれの曲のカラーが引き立つように歌い方を変えましたね。
MOCA 僕はこれまで「自分の作ったサビはあんまりベリーグットマンにはハマらないんじゃないか」と思っていたんですけど、それを『SING SING SING 6』の制作で払拭できたかなと思っています。今までは、例えば「この曲をこういう風にしたい」というプレゼンを、RoverとHiDEXにしてこなかったんですが、今回に関しては数多くプレゼンができたというのと、曲に対して前向きになれたというのがありますね。
■前述の”Hello”もMOCAさんのプレゼンがあったと言っていましたよね。ほかにも印象強く残っている曲ってありますか?
MOCA “in what rain”ですかね。アルバムのテーマである、第六感、直感を信じて入れた曲なんです。この曲は2008年くらいに、前身のグループでRoverとHiDEXが歌っていたものをリメイクした形になります。これまでも候補として出してはいたんですけど、あまり気に入ってもらえなかったのかな。でもベリーグットマンを知っている人は確実に好きな曲だろうと信じていて。初めて聴く人も「こっち系のバラード歌うんや」という入口にもなれる曲だし、今のところ一番結果が出ている曲なんじゃないかな。直感を信じて出してよかったなと思いますね。
■曲展開もすごくドラマチックで、うっとりしてしまうリリックも印象強く残る楽曲ですよね。恋愛ソングといえば、シンガーソングライターのericaさんと初の共作であり、「恋んトス season7」の主題歌でもある“世界中のどんなラブソングよりも feat.erica”も収録されています。こちらはどういった経緯があったのでしょうか。
Rover ericaさんがシーズン1〜3、僕らがシーズン4〜6の主題歌を務めて、7回目で「スペシャルコラボをしたいんだけど」と、番組プロデューサーさんから打診があって実現した曲です。ericaさんと初めてお会いした時は思っていた方と違う、いいギャップがありました。底抜けに明るくて、ちょっと天然で。「どんな曲作りますか?」と話した時に、「純愛ソングを作りましょう!」と言われて。僕、純愛ソングなんて冬のソナタしか知らんくて。どんな曲になるんやろ?と思ったんですけど、この曲が生まれてよかったです。