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絢香 WEB LIMITED INTERVIEW

手紙でこそ伝わる想いを歌う、絢香の新曲。

タイトルは『コトノハ』。ドラマ「ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜」(NHK総合)の主題歌として書き下ろされた。そしてこの作品は、デビュ−して11年目の活動へと向かう彼女の、新たな活動の可能性を伝える“進化論”でもある。ある晴れた午後、絢香にインタビュ−。一言一言、とても丁寧に自分の想いを伝えてくれた。

main1■新曲“コトノハ”は、「ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜」のドラマ内容にも重なる部分がありそうですね。

絢香 そうですね。このドラマの主人公の仕事は、様々な人達の依頼で、その人に代わって手紙を書くことなんです。そのことによって人と人との心を繋いでいくという、そんなスト−リ−なんです。この歌の大きなテ−マも手紙だったりするので、通じるところがあります。でも、そもそも私自身共感できる部分が大きかったんですね。なので、この曲は自然な気持ちで書くこと出来たんです。

■いま仰った共感できる部分についてさらに詳しく教えてもらえますか?

絢香 それは手紙を通じて人と人の気持ちが繋がっていく、ということなんです。実は私自身17歳で上京してから、実家のお祖父ちゃんが送ってくれた何通もの手紙にとても励まされました。三年前に亡くなったんですけど、手紙は今も手元にあって…読み返すたびに、今も時を超えてお祖父ちゃんと繋がることが出来るし、改めて思うのが、手紙の“そこに書かれた文字の力”なんですよね。

■SNSも大いに活用すべきだけど、自筆の手紙にはそこにしかない説得力がありますからね。でもタイトルの“コトノハ”は、文語的な表現でもありますよね。

絢香 歌詞を書く時に、ふと“コトノハ”という表現が浮かんだんです。前から知っている言葉ではありましたけど、改めて意味を調べてみたら、〈心を種にして出た葉〉という解釈があることを知って、まさに私が描きたいテ−マにもピッタリだなって。

■確かにその解釈だと言葉の葉が育ち、枝が伸びて繋がっていくイメ−ジがしますね。ところで歌が完成してみて改めて気づいたことがあったそうですが、それはどんなことだったのでしょうか。

絢香 曲を書く段階で特別意識したことではないんですけど、これまで以上に上も下も使っている、音域の広い曲になりました。特に低音ですね。今回は低音で優しく歌うパ−トがより活かされていると思います。これはライブを重ねるにつれて、私のなかで育ってきたことでもあるんですよ。デビュ−の頃は低い声を頑張って鳴らすイメージだったけど、今は低いところも自然と響かせて歌える。そこを活かせる曲になったのは嬉しいことです。

■無理矢理ではなく自然とそうなっていたというのは、ご本人も一番の手応えじゃないかと思います。あと、ミュ−ジックビデオも素晴らしいものが完成したそうで…。

絢香 映像クリエ−タ−の牧野惇さんにお願いしまして、歌のテ−マが手紙ということもあって、すべて紙のア−トで制作してくださっています。牧野さんの想う“コトノハ”という歌のスト−リ−を感じ取って頂いて、歌詞をそのまま説明するわけではない、もうひとつの物語が展開されていきます。とても見応えあるミュージックビデオになりました。

■カップリングのもう一曲“センチメント”はどんな曲なのでしょうか。

絢香 この曲で描きたかったのは、まさにタイトルにもある“センチメント”(=哀感)なんです。日常のなかではけして他人には見せないけど、心の内にある切ない感情。この曲が歌う「あなた」は、もう会えない大切な人かもしれないし、探し求めている夢とか希望かもしれない。そんな存在を想って歌っている曲です。さっき“コトノハ”で「高い方も低い方も広がった」って言いましたけど、こちらはあえていつもよりキ−を低くして、押えて押えて歌ってみたので、今までの私にはない新しい表現になったと思います。

■9月からの「Acoustic Live Tour 2017-2018 〜3-STAR RAW〜」の日程も発表になっていますが、最後に2017年というのは、どんなスタンスで活動しようとしているのかを教えてください。

絢香 ともかく今年は「作品を作りたい」というのがあって、たくさん曲を書きたいんですよ。今、“コトノハ”と“センチメント”以外にも、様々に構想を練っているところです。去年は10周年ということで、これまでの歩みを振り返った部分もありましたけど、ここからは「これからの10年」、ですね。一個一個の作品をちゃんと形にしていく、その積み重ねが一番大事だろうし、まさに今それを実践している感じなんですけど。

■それって「ソングライタ−としての絢香さん」と「シンガ−としての絢香さん」の、このお二人で相談しつつでもあるような…。

絢香 そうですね。(笑)いろいろな曲を書くのもそうなんですけど、シンガ−としてはいろいろな表現がしたいんですよ。今はすごくその両方に対する意欲がありますね。

Interview&Text: 小貫信昭

PROFILE
2006年「I believe」でデビュー。2009年の紅白歌合戦出演後、2年間の活動休止を経て2012年に復帰。 2014年にはNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」の主題歌“にじいろ”をリリースし、現在では総DL数100万を突破しロングヒットを記録中。昨年デビュー10周年を迎え、ベスト盤『THIS IS ME ~絢香 10th anniversary BEST~』をリリース。
10周年イヤーを終え、新たなスタートをきる。

http://room-ayaka.jp/

RELEASE
『コトノハ』
sub
CD+DVD
AKCO-90053/B
¥1,944(tax in)
CD
AKCO-90054
¥1,080(tax in)
A station
5月10日ON SALE