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PIERROT×DIR EN GREY ANDROGYNOS@YOKOHAMA ARENA レポート 7月8日(土)

奇跡の対バン「ANDROGYNOS」ついに開戦!因縁の“丘戦争”に終止符

PIERROTとDIR EN GREYのジョイントライブ・プロジェクトである「ANDROGYNOS」が7月7日・8日、横浜アリーナにて開催された。

両者が90年代後半から2000年代前半にかけてV系ロックシーンを牽引していた当時、今回のような対バンが実現することを予測できた人は、ほとんど皆無ではないだろうか。というのも、この2バンドはシーンを代表する圧倒的カリスマを持ちながらも互いに接点を持つことはなく、その敵対意識は両者のファンに及ぶまで発展し、界隈では注目を浴びていた時期もあった。それから月日は過ぎて2006年にPIERROTは解散し、2014年に一度ライブを敢行するもその後沈黙。一方DIR EN GREYは今年で結成20周年を迎えている。そんな中で本プロジェクトが突如発表され、ピエラー(PIERROTファン呼称)と虜(DIR EN GREYファン呼称)にどれほどの衝撃が走ったかは言うまでもない。案の定、会場は空き一つなく人で埋め尽くされ、立ち見でさえひしめき合っていた。ちなみにファンの間では、DIR EN GREY“アクロの丘”とPIERROT“メギドの丘”の両曲から取って“丘戦争”と称し、主催側もステージを“危険地帯”、客席を“緩衝地帯”“非武装地帯”などと区分けする徹底した臨戦態勢だ。
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なお、ここでは2日目の模様をお届けする。初日と代わって先攻を務めたのはPIERROT。キリト(Vo)が当初お馴染みであった左目に十字のメイクを施してステージに登場すると、悲鳴とも取れる歓声が沸き起こった。“MAD SKY -鋼鉄の救世主-”を皮切りに3年のブランクを微塵も感じさせることなく、ファンにはたまらない名曲を惜しみなく披露していく。「君たちは一般社会からするとちょっとキ○ガイなんで。キ○チガイとキ○チガイがにらみ合ってどうするの?一つになっちゃえばいいじゃない!」とキリトが煽ると、もはやファン同士の境も客席の垣根も取り払われ、全体のボルテージは最高潮に。終盤では“クリア・スカイ”“HUMAN GATE”“蜘蛛の意図”と畳みかけ、メンバー同士の微笑ましい絡みや屈託ない笑顔を見せる一面も。ラストでキリトが「昨日、今日とPIERROTとしてやれて最高でした。この後、すっげーの来るから」と無邪気な笑みを浮かべ、メンバーも名残惜しそうに会場を見渡した後、大歓声の中ステージを後にした。

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後攻のDIR EN GREYは、「ANDROGYNOS」の辛辣な映像をバックに登場。早くも場内は彼らの空気一色に染まり、異様な緊張感が立ち込め始める。“Un deux”で幕開けするとすぐに大きなシンガロングが起こり、京(Vo)が「クソッタレ!おまえらかかってこい!」と吠えるような凄みで喰ってかかる。そして“OBSCURE”“詩踏み”など新旧問わず次々と攻め立て戦闘モード全開の中、雰囲気が一変したのが“アクロの丘”。3枚同日リリースのメジャーデビュー・シングルの一つであり、ファンにとっては特別な思い入れもある名曲だ。Die(Gt)の奏でる印象的なイントロが一たび響くと、会場からは一斉に悲鳴が。早くも泣き出す姿もそこここで見られた。京がしっとりとそして力強く歌い上げ、その姿を誰もが食い入るように見つめている。その後も大曲“VINUSHKA”や“朔-saku-”“激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇”といった人気曲でファンを魅了しステージを去った5人。続くアンコールの“THE FINAL”で会場を圧倒した後、京が「ピエ……ラーさん。今日も元気ですか?DIR EN GREYです」とはにかみながらも、「(虜を指して)愛すべきクソッタレども!一つ聞きたいんやけど、“丘戦争”って何?(笑) おまえら一つになれるだろ!」と煽り立てる。轟くような歓声が応えると、フィナーレに“残”を投下。ラストまで一瞬の隙も見せない彼らのステージはまさに息を呑むようだった。

“戦争”と称されて敢行された今回の奇跡的な対バンは、終わってみれば邂逅であり融合の儀式であったように思う。両者が同じ日に同じ場所で刻みつけた深い爪痕は、その場にいた13 ,500人の観客の心に、忘れられないものとして確かに残されたことだろう。

Text:矢作綾加

http://androgynos.jp/

PIERROT×DIR EN GREY ANDROGYNOS@YOKOHAMA ARENA
7月8日(土)セットリスト

PIERROT
1.MAD SKY-鋼鉄の救世主-
2.Adolf
3.ENEMY
4.*自主規制
5.脳内モルヒネ
6.MAGNET HOLIC
7.パウダースノウ
8.鬼と桜
9.PIECES
10.PSYCHEDELIC LOVER
11.CREATURE
12.クリア・スカイ
13.HUMAN GATE
14.蜘蛛の意図

DIR EN GREY
1.Un deux
2.OBSCURE
3.詩踏み
4.濤声
5.audience KILLER LOOP
6.Behind a vacant image
7.アクロの丘
8.VINUSHKA
9.GRIEF
10.朔-saku-
11.Revelation of mankind
12.Sustain the untruth
13.激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇

ENCORE
EN1.THE FINAL
EN2.残