■他のキャストとの共演はいかがでしたか?
ELLE 同世代での共演はとても刺激的だったわ!私たちは現場でいつも若い方だから、あまりこういう機会がないの。皆とは仕事に対するエネルギーも、話題も、人生観も共有できた。仕事が終わったら一緒に遊んだりもしたの!いつも現場では最年少で、周りは大人たちばかりのことが多かったから、同世代ばかりの現場は素敵でユニークだったわ。年齢は、演じるキャラクターたちの実年齢にも近くて、それはとても重要だと思ったわ。言葉で説明するのは難しいけど、それぞれの内にあるエネルギーが作品にとって素晴らしい働きをすると思うわ。
■メアリーと父親との関係についてどう思われますか?
ELLE 父親とのシーンはとても強烈なものがあったわ。メアリーは母親を亡くし、親族は父親だけという中で、継母はいたけれどあまり…好きではなくて。だから彼女は父親に認められ、愛されたかったの。でも、父親はメアリーが(文章を)書いていたノートブックを取り上げ、すべて読んで、「つまらない、ばかげてる」と言って捨ててしまったの。それは彼女にとって致命傷だったわ。人から尊敬され、優れた著作を残している、ヒーローのようなお父さんだと思っていたのに、そうではなかったことになるから。父親からある種の承認を欲していた彼女にはつらかったでしょうね。彼女は父親を愛していたし、彼女もまた、父親を尊敬し心酔している一人だったから。
■時代物の衣装はいかがでしたか?
ELLE 面白かったわ。時代ものは今までやったことがないの。コルセットも着たことがなかったし。最初の衣装合わせで着せてもらって…ちゃんと測って私のために作ってくれたのよ!まさに今着ているコルセットなの。普段とまったく違うやり方で体を固定するのよ。とてもクレイジーだと思ったのは、今回メアリーが妊娠しているシーンもあるけれど、当時は妊娠中もお腹の上からコルセットをしていたんですって。ショッキングだったわ!こんなに窮屈なのになぜ?とも思ったわ。だからきちんと慣れなければいけなかったの。衣装デザイナーが説明してくれたんだけど、衣装の中にはこの時代独特の、ウエストのラインがそんなに出ないドレスもあったの。だから私やベルは「コルセットを着けなくてもわからないんじゃない?」なんて言っていたんだけど、彼女は「ダメ。絶対にわかるわ!着けると姿勢が全然違うのよ」と言っていたわ。でもいくつかのシーン、例えばジュネーヴで皆がお酒を飲んで楽しく解放的になるシーンでは、「ここはコルセットを外してみよう」と言われたりもして、外してみると確かに全然違ったの。場当たりでもそうだったわ。朝、スウェットで椅子に座ってリハーサルをしていても、いざ衣装を着て戻ってみると、コルセットをつけてこの動きは無理だとわかるの。「あんな風にかがめない!」って。
PROFILE
1998年、アメリカ・ジョージア州生まれ。幼少の頃から、トッド・ウィリアムズ監督の『ドア・イン・ザ・フロア』(04)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』(06)、デヴィッド・フィンチャー監督の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08)、ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』(10)、J・J・エイブラムス監督の『SUPER8/スーパーエイト』(11)、フランシス・フォード・コッポラ監督の『Virginia/ヴァージニア』(11)など、著名監督の作品に数多く出演。2014年、大ヒット作『マレフィセント』のオーロラ姫役では、美しく成長した姿で世界を魅了する。近年ではダークな面を持つ役や、小悪魔的な役など、演技の幅を広げている。
公開情報
『メアリーの総て』
12月15日(土)シネスイッチ銀座、シネマカリテほか 全国順次公開
監督:ハイファ・アル=マンスール
出演:エル・ファニング、ダグラス・ブース ほか
配給:GAGA
© Parallel Films (Storm) Limited / Juliette Films SA / Parallel (Storm) Limited / The British Film Institute 2017
https://gaga.ne.jp/maryshelley/
STORY
19世紀、イギリス。作家を夢見るメアリーは、“異端の天才詩人”と噂されるパーシー・シェリーと出会う。互いの才能に強く惹かれ合う二人だったが、パーシーには妻子がいた。情熱に身を任せた二人は駆け落ちし、やがてメアリーは女の子を産むが、借金の取り立てから逃げる途中で娘は呆気なく命を落とす。失意のメアリーはある日、夫と共に滞在していた、悪名高い詩人・バイロン卿の別荘で「皆で一つずつ怪奇談を書いて披露しよう」と持ちかけられる。深い哀しみと喪失に打ちひしがれる彼女の中で、何かが生まれようとしていた──。
フランケンシュタインとはーー?
1818年1月1日にメアリー・シェリーが匿名で出版したゴシック小説。科学技術を背景とする着想から、SF小説の元祖とする評価もある。出版から200年経って(2018年現在)なお、映画・演劇・小説などで、本書を原案とする創作が続けられている、孤独な怪物の愛と憎しみを描いた、不屈の名作。