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ELLE FANNING VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

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なぜ彼女は孤独な〈怪物〉を産み落としたのか――

英文学史上、最も若くして最もセンセーショナルな人生を送った「フランケンシュタイン」の著者、メアリー・シェリー。18歳という若さで、孤独な〈怪物〉の愛と哀しみの物語を生み出した、英文学史に名を残す女流作家でありながら、これまでヴェールに包まれてきた彼女の波乱に満ちた人生が、映画『メアリーの総て』で初めて映画化された。哀しみと涙から傑作を紡いだ、時代を超えるヒロインを演じたエル・ファニングに今作品への思いを語ってもらった。

■この映画はどういう物語ですか?

ELLE この映画は少女の成長物語でもあるし、様々な経験の中から「自分の声」を見つけて、家族の影から外の世界へと踏み出していく女の子の物語でもあると思うわ。彼女の父ウィリアム・ゴドウィンは偉大な作家で、彼女の母親メアリ・ウルストンクラフトはフェミニズムの先駆者。メアリー・シェリーはそんな偉大な父と母の陰に隠れて生きていて、怪奇小説が好きな村の鼻つまみ者で、父にさえ「怪奇小説なんて馬鹿らしい」と言われていて。そんな女の子が、いまや誰もが知っているフランケンシュタインを生みだすまでの物語なのよ、最高でしょう!

■メアリー・シェリーはどんなキャラクターですか?

ELLE メアリーは自由な精神を持っているの。彼女はパワフルで、感受性が豊か。常にアンテナを張り巡らせていて、あらゆることを必死でキャッチしようとする、作家になるために生まれたような人だと思うわ。細部にわたるまで物事をこと細かに見ようとする、好奇心旺盛で観察力が鋭い、特別な女の子なの。

■メアリー・シェリーのどんなところに惹かれましたか?

ELLE 『メアリーの総て』の脚本を渡されて、次の主演作でメアリー・シェリーを演じない?と言われた時に、確か学校の英語の授業で彼女の名前を聞いたことはあるなと思って、「ああ、フランケンシュタインを書いた人ね!」って。でも私はメアリーがどんな人生を送ったのか詳しい事までは知らなかったの。その後、彼女の名前をネットで検索して、脚本を読んで、とにかく若い作家だったという事を知ったわ。彼女は「フランケンシュタイン」を弱冠18歳で書いたのよ!天と地がひっくり返るくらい、ものすごく衝撃的だった。「フランケンシュタイン」は歴史の中でとてもアイコニックな作品で、そんな作品を手掛けた、いろんな意味で時代のずっと先を行っていた女性メアリー・シェリーを演じられるということで、とても心惹かれたの。けれど、とてつもないプレッシャーを感じたし不安だし、恐ろしかった。だってこれまで誰ひとりとして、メアリーの物語を語ってこなかったのよ。でもメアリーの人生は今の世の中だからこそ描かれるべきだと思ったし、彼女の存在を人々に知ってもらわなければいけないと思ったの。これは私がやるべき、やりたい!と心の底から思ったわ。

■役を演じるうえでどんなリサーチを行いましたか?

ELLE 本当にたくさんの本を読んだわ。まず最初に読んだのはもちろん「フランケンシュタイン」。役を頂いて真っ先に手に取ったの。メアリーの内側、彼女の思考の世界に入り込むのに、「フランケンシュタイン」を読むことが最もいい方法だと思ったから。撮影を終えた今も本は大事に手元にあって、時々読み返しているわ。夜寝る前にベッドに本を持っていって、メアリーの声を聞くために読んだりするのよ。

■好きなシーンはどこですか?

ELLE 実は今まだ撮影中だけど、好きなシーンがあるの!私にとっては100 %「フランケンシュタイン」を書くシーンね。私は何も言わないし、ただ一人で部屋にいるだけなのだけど、小道具さんが紙と羽ペン、インクをくれて、私が手書きで「フランケンシュタイン」の抜粋を書いていて…全部私が書いているのよ!とても特別で大きなシーンだから緊張したけれど、素晴らしいシーンになるはずだわ。彼女はこの時、自分の中に閉じこもっていたの。ジュネーヴから帰って、少しずつヒントをつかみながら、自分の中に住む感情やストーリーを組み立てていったのよ。彼女はそういうすべての感情を引き出す必要があったの。父親が彼女を軽視し、遠くへ追いやったこと、赤ちゃんを失ったこと…彼女の経験した悲劇、彼女の中にあることの全てを外に注ぎだす必要があったから。その結果、あのシーンではすべてが溢れ出すの。すごいシーンになると思うわ!彼女は食べることもせず、文字通りただそこにいて書いているだけ。彼女が書き終える時、それを見て言うの。「できた」って。ワクワクするわ!

■パーシーとの恋愛模様については?

ELLE ロマンチックで幸福な恋の始まりから、やがてそれが崩れゆくところまで丁寧に描いているわ。パーシーは誰が誰を愛しても構わないし、誰と誰が寝てもいいという自由恋愛主義。メアリーも最初は彼の思想を受け入れていたけど、彼女が本当はパーシー以外だれも必要ないって悟り始めるの。そしてパーシー自身も心の底ではメアリーしかいらないって思っていると信じているんだと思う。メアリーはパーシーによって哀しい思いもたくさんするけれど、彼と一緒にいれば、この世とこの世が投げつけてくるあらゆるものに立ち向かうことができるの。彼らの愛、このイカれたラブストーリーがどんな運命にも立ち向かえる強さを持っていることをメアリーは分かっているのよ。

■女性監督と仕事をしていかがでしたか?

ELLE どのシーンでそんな話になったのかは忘れてしまったんだけど、ハイファ監督に「あなたが女性で本当に良かった!」って言ったことがあるの。監督は、若い女性でいることの気持ちだったり、年を重ねた女性が経験する様々な困難を、とてもよく分かっているから。今回は編集もプロデューサーも女性だし製作陣は女性ばかり。この映画にはたくさんの強い女性キャラクターが登場するけど、その力強さは撮影中にも、女性の製作陣から感じられたのよ。メアリーの物語を描くにあたって、女性チームが製作を支えたということは、素晴らしく大切な要素だったと思うわ。

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