ラブソング・プリンセス・シェネルが一望させてくれる、自身の過去、現在、未来
「ラブソング・プリンセス」とも称され、ここまで、この日本でも数々のヒットを放ってきたシェネル。今年デビュー10周年を迎えた彼女が、これまでの活動の総括と現在、そして今後を一望させてくれるオールタイムベスト盤『10th Anniversary ALL TIME BEST』を発表した。出自とも言えるダンスホール・ミュージックやクラブミュージック、日本語によるJ-POPバラードや大ヒットシングル曲、はたまた人気のカバー曲等々、彼女のこれまでの代表曲に加え、最新曲“奇跡”の収録も嬉しい今作。大変ボリューミー且つ彼女のこの10年が一望できるのも特徴的だ。そんな今作についての話をいろいろと訊くべく、来日直後の彼女をキャッチ。パワフル且つバイタリティたっぷり、それでいてユーモアを忘れない、誠に彼女らしい回答で、今作への楽しみ方の数々を伝授してくれた。
■先月無事終了した久しぶりのジャパンツアーを振り返ってみて、いかがですか?
シェネル 最高に楽しかったわ。特に今回は自分のバンドと一緒にこの日本で出来たことが嬉しくて。ただ、ギタリストが最後の最後でビザの関係で一緒に来られなくなってしまった。それだけが唯一のストレスだったかな。
■気ごころ知れたメンバーとでは、ライブにも何か特別感が加わりそうですね?
シェネル 単に演奏するだけでなく、自分と同じぐらいの楽曲に対する理解力で臨んでくれるメンバーばかりですからね。各会場シナジー効果もあったし。より気楽な気持ちで挑めたわ。でも、それってすごく大事だなって改めて感じたの。
■ちなみに先程の急遽来られなくなったギタリストさんの代わりは?
シェネル 大阪以降は、これまでも日本でのライブの際に参加してくれた方だったので気ごころも知れていて全く問題無かったわ。ただ初日に関しては、その方も都合が合わず…。とは言え、初日の方も1日で全ての曲をマスターしてくれたので完璧だったわ!ホント、双方文句無いギタリストだったの。
■ちなみにデビューした頃は、ここまで長く日本で受け入れられると想像していましたか?
シェネル 全く想像出来なかったわ。正直、最初の頃は日本のことをほとんど知らなかったし。ところが今では第二の故郷とさえ思えて。行きつけの場所や、初めて来た人にも案内や紹介が出来るまでになりましたから。(笑)
■最初の来日の時のことを覚えていらっしゃいますか?
シェネル ええ。完全に観光客と一緒のノリだったわ。(笑)初めての日本であり、最後の日本になるのかな?と思っていたぐらい。(笑)まさかその後、こんなに何度も来られる機会が訪れるなんて…。
■元々シェネルさんの日本登場時は、ダンスホールレゲエのシンガーとしてのカテゴリーでしたが、以後ラブソングのプリンセス的なポジションに移っていきました。その辺りは本人的にはいかがですか?
シェネル 全然そんな想定(ラブソングやラブバラード)をしたことがなかったわ。実験的に挑戦してみて、気づけばそちらの方がみなさんに受け入れられていった印象かな。自分は元々様々な要素や側面を持っているシンガーだったので、その辺りは全く問題無かったわ。逆にまた今は、バラード~J-POPの流れから新たな局面に移行しつつあるので、今後も私は私の歌いたい歌をその時々でうたっていくだけよ。
■個人的には再度ダンスホールやクラブミュージック的なものも聴きたいですね。
シェネル だからこそ、『メタモルフォーゼ』を出したところもあったの。あれはいわゆる自分にとっての原点回帰を狙った作品でもあって。もちろん初期の頃よりレゲエ重視ではなくなってしまってはいるけど、その要素を多分に取り入れた作品になっていると自負しているわ。
■今回の『10th Anniversary ALL TIME BEST』を聴いて、改めてシェネルさんがいろいろなことをやってきてことに気づかされました。
シェネル 自分でも今回、聴き返して改めてそう感じたの。元々多様性もあるし、自分が影響を受けてきた音楽もいちジャンルだけじゃなかったし。いろいろなジャンルから影響を受け、成り立っているのが私の音楽ですからね。その辺りは各楽曲からいろいろなカラーとして滲み出ていたんだなとは、自分でも感じました。
■実際に今作を自身で聴き返してみていかがでした?
シェネル 私はこれまでにこれだけのことをしてきたんだってことを実感できたし、いろいろなことをやってきたし、挑戦してきた10年だったんだなって。忘れていたけど、「こんな曲も歌っていたわ」って曲や「うわっ、挑戦したなこの曲は」って曲もあったり。この10年間で達成してきたものを改めて聴くことが出来たわ。久しぶりに聴いた曲も多いけど、今でも都度ハッとさせられるのね。
■例えばそれはどの辺りを聴いてハッ!?とさせられたんですか?
シェネル 具体的にこの曲というのではなくて、逆に全部かな。自分が大好きなことをやり続けた結果や自分の愛する世界に居続けた結果がこの1枚とも言えるので。自分の中で既に昇華している曲があるないに関わらず、ここまでシンガーとして活動できて、コンスタントに作品が出せて、ホントに私は恵まれているなって。