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FABLED NUMBER WEB LIMITED INTERVIEW

N’Eita(Vo&Gt)、N’Taichi(Ba&Cho)

サウンドもリリックもこだわりぬいたニューアルバム

近年、日本のロックシーンでもムーブメントを巻き起こしているEDM。トレンドとして楽曲にEDMサウンドを取り入れるバンドも多いなか、唯一無二のEDM&ROCKをかき鳴らす6人編成バンドがいる。FABLED NUMBERだ。大阪を拠点とするロックバンドで、EDMに日本語詞を乗せるだけでなく、関西弁も織り交ぜている。そんな関西弁詞を全面に表現したというニューアルバム『THUNDER』はどんな1枚に仕上がったのか。作詞を担当するN’Eita、作曲とアレンジを手がけるN’Taichiの兄弟に話を訊いた。

バンドとして“大きな収穫”があった
『SUMMER SONIC 2017』

■夏フェスのピークが過ぎましたが、FABLED NUMBERの今年の夏を振り返ってみていかがですか?

N’Taichi 一番印象に残っているのは『SUMMER SONIC 2017』に出演したことですね。1日目はFoo Fightersがヘッドライナーで、バンド系がそっちに固まっていたんですよ。でも僕らが出たのはCALVIN HARRISがヘッドライナーやった2日目。音楽の色合い的なのが分かれていたんです。そんななかで、僕らがやっているEDM&ROCKというものが、より普段のライブではやらないようなアプローチができたというか。例えば、DJから始まってみたり、いつもの客層とは全然違う人達が来ていたから、いかにそこに挑戦しておもしろいことやれるか、を意識しましたね。

N’Eita ステージ始まるやいなや、長髪のたいちゃん(N’Taichi)が出てきて。(笑)

N’Taichi 第一声に僕が「Hello, Japan」と言うて、な。(笑)そのときは既に『THUNDER』の制作も始まっていたんですが、サマソニに出演してより強く想ったんです。「僕らのスタイルを貫いていかなあかん」と。バンドサウンドを大事にしつつ、土台をもっとダンスミュージックに寄せようと思って完成したのが、『THUNDER』なんですよね。

■さっそく『THUNDER』についてお聞きしていきたいんですが、今回はリード曲“Like a Thunder”が軸として作られたアルバムなんですよね?

N’Taichi そうですね。何曲もあるなかから(リード曲を)選ぶわけではなくて、今回は“Like a Thunder”を中心として収録した形です。MVになるのがこの曲だけだから、視覚的にも見て、僕らの印象が強く残ればいい。それだけこの曲でEDM&ROCKというジャンルを感じてほしいんです。“Like a Thunder”を一度聞いてもらってから、気になった人はアルバムを通して聴いてもらえたら最高だなと思っています。

音の作り方っていうのを
ほんまにこだわってやりこみました。(N’Taich)

■“Like a Thunder”に関していうと、サビの音の数と配置、音色にはかなりのこだわりがあるとお聞きしました。

N’Taichi 低音の作り方にはこだわりましたね。EDMの要となるのが何と言ってもビートであり、その中でも低音を担当するキックによって楽曲のクオリティが変わってきます。ミックスをしてくれたエンジニアの方が僕らの曲への理解を深く持ってくれていて、その方も(キックが)得意やったといういろんな運もよくて、思っていた通りの低音が出来たと思いますね。

■なるほど。

N’Taichi “Like a Thunder”は特にですけど、ベースじゃ出せない低音も僕らは出しているので、サビに入ったときにその低音が響いてくるように、効果的な音を足していたりとか。バンドではできないシーケンスやシンセの音の作り方っていうのも、ほんまにこだわってやりこんだ、という感じですね。

■今回のアルバムは、EDM以外にもロック、エモなど多ジャンルを融合したサウンドが特徴的ですよね。

N’Taichi 『THUNDER』についていうと、バンドミュージックではなく、DJやトラックメイキングをしている人らの音の作り方とか、曲を参考にはしていますね。それをバンドで鳴らしているのは他にいないので。EDMを基調としたところにロックのテイストをいい感じに盛り込んだ、というか。僕らはバンドで演奏してなんぼなんで、DTMの要素の方が多いです。

N’Eita 難しいんですよね。ミックスするにしても、バンドのキックじゃ、まったく伝わらない。例えば、有名なDJが作っている低音はどんなにバンドで出そうとしても、どうしても物足りなさを感じてしまうんです。低音にアタック(音の出始め部分の鋭さ)やバブルを入れたりすると、マスタリングでバブルを上げたりしてもアタック感は出るんですけど、低音が残らなくなるという問題が起きるんです。なので今回はCDの音量が多少小さくても、低音を残すようにしています。

■だからサウンドに奥行き的なものを感じるのでしょうか。

N’Eita そうだと嬉しいです。海外のアーティストって最近CDにしないじゃないですか。あの人らは元々ミックスのdB(デシベル)を下げているんですよね。そうすると低音が残るんで、iTunesで聞いたときに全体的の平均ボリュームを抑えられる。だから僕らも今回はアタック感を攻めずに、低音を残すということにこだわりました。一番大変でしたけど、生のサウンドとこれを合わせて、ビート感を残せたというか。なのでDJだけを聞く人でも、何か気づいてもらえるエッセンスが入ったアルバムになっているんじゃないかなと思います。

■リリック面でいうと、2番の“Good-Bye”の「しばいたる/どついたる」のような関西弁が入っているEDM楽曲って斬新じゃないですか。頭に強烈に残るけど、いい意味で違和感がないです。

N’Eita 『THUNDER』に関しては、「これでもかっていうくらい関西弁を入れようや」ということで日本語詞でも関西弁をメインで入れています。

N’Taichi それは僕らを知らない人に対して引っかかりを残す、ちょっとでも気になるワードを持ってきたいと思っていたので、関西弁がいいと。

N’Eita 関西弁は僕らの標準語なんでリリックとしても書きやすいというのはありましたね。

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