自分をさらけだすことを、怖れなかった
デビュー10周年を迎えたラブソング・プリンセス、シェネル。TBS系の金曜ドラマ『リバース』主題歌“Destny”の収録アルバム『Destny』に引き続き、アニバーサリー・イヤー第2弾として、原点回帰の洋楽アルバム『メタモルフォーゼ(原題:METAMORPHOSIS)』をリリース。洋楽は、2010年発売『フィール・グッド』以来となる。驚くべきは、前作とはガラリと違う音楽性だ。彼女は何を目指したのか?アーティスト・シェネルの素顔に迫った。
■前作からまさに<メタモルフォーゼ(=変質、変容)>した印象のアルバムですが、これは最初から目指していたのですか?
シェネル 正直なところ、最初からゴールが見えていたわけじゃないわ。ロスのスタジオで、自分自身がどんな音楽をやりたいのか問いただしたの。これまでとは違う、本当の自分とは何か。自分から出てくるものを怖れずに表現してみたくて。
■創っているうちに見えてきたテーマなんですね?
シェネル そう。でも、すぐに見つかったわけじゃなく、一年半ぐらい試行錯誤したわ。30曲ぐらい作って、何度も歌って、聞き返して、手応えを感じるまで自分の音楽を追求したの。そんなときに、たまたまユニバーサルからライセンスしたいという話をもらって、タイアップもついたのが、前作のアルバム。それで、「洋楽も出したい!」って希望を出したら実現したの。だから、この『メタモルフォーゼ』は、できるべくしてできたアルバム。ロスで追求して見つけた、私の新しい道の始まりと言えるわね。
■そういった経緯を聞くと、1曲目に“HOME”があるのは象徴的ですね。
シェネル でしょう?私、頑張ったわよね。(笑)この曲は、「自分らしさを躊躇なくさらけ出し、表現できるホームにたどり着いた」って内容。描こうとしたことを、質問してくれて嬉しいわ。
■前作と比べると、すごく大人っぽいアルバムだという印象です。
シェネル 私が歌ってきたJ-popは、可愛くて、明るくて、ポジティブなのがよいところ。人生でもよい部分にフォーカスして、夢の国のような曲が多い気がするわ。だから、歌声も明るく出しているの。そんなJ-popもステキで大好きなんだけど、私が今回目指したかったのは、決して夢物語ではない作品。たとえば、失った恋人のことを、お酒を飲んで忘れる“Liquor Story”とか、思いを引きずっている元カレとばったり再会する“Shadow”とかね。どのアーティストもそうだと思うけど、作品は想像と自分の経験を織り交ぜてつくっているの。私だって人間だし、女性だし、生きていればいろいろなことを経験するわ。そういうリアルなことを、音楽で伝えるものが、今まで歌ってきたJ-popの曲にはなかった。だから、「私もあなたと同じで、ツライ経験もしている。でも、それを声に出すことは悪いことじゃない」って伝えたくて。それで共感してもらえたら嬉しいわ。
■日本語版のセルフカバーにくらべて、やっぱり母国語で歌うと違いますか?
シェネル 日本語のときも、当然言葉の意味を理解して、気持ちを込めて歌っているけど、母国語だともっと歌に感情を込められるわね。
■特に思い入れのある曲はありますか?
シェネル どの曲も思い入れがあるから、その中から一つ選ぶのは難しいわ。でも、人によって同じ作品でも感じるものは違うから、自分が「コレだ!」って思う作品を楽しんでもらえればいいと思う。そして、もしよかったらSNSで感想をちょうだい。本当に自分らしい作品をつくれたから、みんなの声を聞かせてもらえたら嬉しいわ。
■個人的には、“Remember My Name(English Version)”が胸に響きました。日本語のバージョンもよかったんですけど、英語のほうが迫力を感じます。
シェネル ありがとう!この曲はMVも撮ったんだけど、すごくライブ映えする曲だと思うわ。