谷中敦(B.Sax)、川上つよし(Ba)
まさに「Paradise Has NO BORDER」を各曲で体現した、スカパラのニューアルバム
各種アーティスト主催のフェスやイベントへの出演に、世界各地での幅広いミュージシャンとの共演。ジャンル横断なコラボ楽曲の発表や異業種の方々との意表をつくCM共演等々……。ここ近年の東京スカパラダイスオーケストラのハイブリッドさは加速する一方だ。そして、その縦横無尽さが作品となって表れたのが、今作『Paradise Has NO BORDER』と言えよう。ここ数年、彼らが標榜してきた「NO BORDER」が具現化されたかのような今作は、聴き手をパラダイスへと誘ってくれる曲ばかり。20作目にしてもなお型にハマらないインディビジュアルさが満載だ。そんな今作についてバリトンサックスの谷中敦、ベースの川上つよしが熱く語ってくれた。
■20枚目のオリジナルアルバム『Paradise Has NO BORDER』の完成おめでとうございます!
川上 まさに昨晩全ての曲のミックスが終わって、今日この後にマスタリングなんです。ホントぎりぎりの進行で。(笑)
谷中 それこそアルバム用の曲を作り出したのが、今年に入ってですからね。2016年も12月のツアー含め、大みそかまでみっちりライブでしたから。その状況でよく出せたなと。
■自身で今作を聴き返していかがですか?
川上 濃いなって。今回はとにかくそこを目指して作っていったところもあったんで、してやったりですね。けっして流して聴かれることのない、各曲しっかり心に残る、そんなアルバムにしたくて。なのでけっこうこれまでの自分たちっぽさや、らしさ、通例のパターンから逸脱している曲も多いですよ。自分たちの得意なパターンに持っていきがちなところも、あえて意識的に崩していったところも多々あったし。とにかく今までになかった肌合いの曲が多い。きっと聴いて、「えっ!?」とか「おっ!!」とか思ってもらえるんじゃないかな。
谷中 更に自由で何でもありな内容ですよ、今作は。アルバム曲に関しては合宿レコーディングで作り上げた曲が多いんですけど、その分、集中力も増して1曲の濃度も濃くなったし。曲との距離も近いものが多い。
■合宿レコーディングも行ったんですね。
川上 4日間で5曲録りましたから。
■すごい瞬発力!
川上 これまでで最も濃厚な作品になったと自負してます。アルバムのテーマに「NO BORDER」があったんで。
■収録曲やツアータイトル、今回のアルバムタイトルにも、そのキーワードが入ってますね。
川上 どこかの大統領は、「壁を作ろう!!」なんて話をしているご時世ですが、我々は逆に国境やジャンル、世代や活動世界の壁や隔たりを壊して進んでいきますから。
谷中 「NO BORDERにもほどがある!!」と、お咎めがあるまでやってやりますよ!!
川上 ホント今回は形容しがたい曲ばかりですからね。説明しづらくカテゴライズ不明な曲揃い。「なんか聴いたことのない変な曲」そんな例えしか出てこない曲ばかりかもしれません。(笑)
谷中 基本、自分たちが面白がって楽しみながら膨らませていった楽曲ばかりなんで。「何々で行こう!!」なんて最初から決めず、出たとこ勝負。「こっちにいった方が面白そうだぞ!」という方向性を選んでは進んで行った結果がこれなんです。なので、自分たちでも意外なゴールに辿り着いた楽曲ばかりですね。
川上 スカなんだけどピアノがメインで、すごいロックンロールで突き進んでいく曲とか。エレキシタールが入ったちょっとモンドでトリップしそうな変態な感じだったり。普通の楽曲構成のセオリーに捉われずに曲がどんどん変化していく曲とか……。
■その形容だけじゃ、たぶん読者のみなさんは想像つかないと思います。(笑)
川上 要は聴かなくちゃ分からないってことです。
谷中 まさにどの曲も「Paradise Has NO BORDER」な楽曲ばかりですから。国内や国外で多くのフェスに出た時に、他のアーティストを観て肌で感じたり、楽しんだり、踊っているオーディエンスから感じた「やりたいことをやれるだけやろう!!」って、そんな気風がバンドの中に高まっていた中で作られた作品だったので、それに素直に従ったが故に、こういう作風になりましたね。
■聴き手の反応や反響も楽しみですね。
谷中 やはり自分たちが楽しんだり面白がれないと面白いものって提供できないじゃないですか。新しいことは自分たちにも負担はかかるけど、それが自分たちにも刺激になったり、新しい扉を開けることに繋がったりもしますからね。