出会いで始まり、出会いで終わる。実体験の恋愛を描いたコンセプト作の後編が完成
ズバ抜けた歌唱力のみならず、作詞作曲からアレンジまで自ら手がけ、ときにはiPhoneを駆使してサウンドを奏でるなど、まさに才女という言葉がふさわしい韓国出身のYeo Hee(ヨヒ)によるソロプロジェクト「MACHINA」が、9月7日に最新作『Color Me』をリリースする。アンジェラ・アキと共作した“Waltz-steps”を含む6曲入りの今作は、恋愛のさまざまな段階で生じる感情が描かれており、幸せの絶頂を歌ったかと思えば、愛が崩壊して自暴自棄になる姿もあるなど、一本の映画を見るかのごとく起伏に富んだストーリーを楽しめる。すべて実体験から生まれたという楽曲について、そのきっかけとなった恋愛エピソードを交えつつ解説してもらった。
■もともと『Color Me』は2月にリリースされた『Hear Me』と合わせて1枚のアルバムで、出会いで始まり、出会いで終わる、恋愛をコンセプトにした作品ということでしたよね。
MACHINA はい。愛について、私のパーソナルな感情を入れたアルバムですね。前作の『Hear Me』は最初と最後の部分だったんですけど、今回の『Color Me』は真ん中の話になります。
■前回『Hear Me』のお話を聞いたときは、曲は全部実体験からできたと言ってましたけど。
MACHINA もちろん、今回も。(笑)
■今作は韓国語、英語、日本語の歌が2曲ずつ入ってますよね。それぞれの曲を解説してほしいんですけど、まず1曲目の“More”は英語詞で、もっとあなたを知りたいとか、もっと一緒にいたいとか、そういう曲なのかなと思いました。
MACHINA そうですね。「あなたが好きだよ」と自分の気持ちははっきりしているけど、まだ相手の気持ちがわからない状態なんです。私の気持ちはどんどん深くなってるのに。たとえば2番のAメロから音が少なくなって、ピッチ(音程)もゆるくなるんですけど、それは不安な気持ちをサウンドで表現したくて、アナログで調整しながらレコーディングしたんです。あとは「わぁぁぁあああ」っていうコーラスがあるんですけど、それも「あー、なんか言いたい!」みたいな気持ちを表しています。(笑)
■その彼とは、最終的には付き合うことができたんですか?
MACHINA この曲は20才くらいのときに作った曲なので、当時は自分の気持ちが先に行っちゃって、相手は「う〜ん」となっていることが多かったんです。そのなかのひとりだと思うので、うまくいったかは覚えてないですね。(笑)私が人を好きになるときは、だいたい自分から先に好きになるんですよ。好きになったら、すぐ「好きだよ!」と言っちゃうタイプで。最近は少しずつ年をとってきて、それがなくなってきたので悲しいですね。(笑)
■2曲目の“at Love”は韓国語の曲ですね。
MACHINA “at Love”って、正しい英語ではないと思うんですけど、その愛がついに成功して、「ここにいる」っていう感じなんですね。
■好きな人と付き合うことができた?
MACHINA はい。“More”では不安な気持ちを表現したけど、“at Love”は愛のなかにいる幸せな感じ。後ろで走るように鳴っているパーカッションの音は、愛のなかをぐるぐるまわったり、愛のなかで楽しんでいる姿をイメージしたんです。リズムも2番から変化しているんですけど、恋愛しているときは、小さなものもすごく大きく感じたり、エモーショナルになったりするじゃないですか。そういう気持ちをいろんなリズムで表現しました。
■幸せのなかにいるから、歌詞に英語で「stay here forever」と入っていたりするんですね。
MACHINA 「永遠」という言葉は、みんなウソだとわかるんだけど、“at Love”(愛のなか)にいる間は、永遠を信じたい。普段はこんなこと言わないですけど、その気持ちが強くなりすぎて、言っちゃったっていう感じです。
■3曲目は英語詞の“bpm 89”ですけど、これはPatrick Wheareさんという方が作詞にクレジットされてますよね。誰なんですか?
MACHINA 友達です。(笑)いつも英語の歌詞を確認してもらっているんですけど、今回は歌詞も書いてもらいました。一緒に話しながら作ったので、共作的な感じですね。歌詞の内容は詩的で少し難しいんですけど、愛を越えて、お互いを信じている気持ちを表現しています。これは不安な気持ちも全然なく、stable(安定した)なサウンドですね。“at Love”が地球のなかを走っているとするなら、“bpm 89”は新しい宇宙に行って、もう天国みたいな感じです。
■タイトルの“bpm 89”は、単純にBPMが89だからですか?
MACHINA それもあるし、これを想って作った相手が89年生まれだったから。(笑)たまたま好きなテンポだったので、ちょうどいいなと思って。今回の作品は、どの曲もBPMが似ているので、少し心配だったんですけど、この『Color Me』と『Hear Me』に関しては、自分がやりたいことを優先しようと決めていたので、自分がいちばん気持ちよく感じるBPMにしたかったんです。