tommy(Vo)、K-zoo(Ba)
いままで超えられなかったもの
どうしても超えたかったのもの
――次の扉を開けるにはもうその方法しか残ってなかった
前作『bonfire』から8カ月というスパンでニューシングルをリリースするNUBO。タイトルは『ありふれた今日を』。少し前の彼らにも、少し先の彼らにも歌えなかったであろうこの歌をいまうたう理由とは――目の前にある“いま”だけを見つめ、ただそれだけを込めた愛おしい今作について、tommy(Vo)とK-zoo(Ba)が話してくれた。
■前作『bonfire』から8カ月とハイペースのリリースになりますね。
tommy 『bonfire』までの期間がけっこう開いてしまったので、ここから先は間髪いれずに制作して、リリースしてっていうことをしたいなっていうのは考えてはいて、ネタもないのに。(笑)でも3曲目の“ハレロヤ”は『bonfire』を作ってた時期にできてた曲なんで、あとの2曲をツアーを回りながら作っていった感じですね。
■“bonfire”はとにかく自分たちを超えたい、突き抜けたいという想いで作ったと言ってましたけど、今回もまた違う意味でそういう想いがあったのかなって。
K-zoo “bonfire”の手応えは今回も持ち続けていくべきだという気持ちはあったので、そこは無理に切り替えたりせず持っていこうって。それは今後の制作の中でもきっと出てくる気持ちだと思うし、Wakai(Gt)もそれをずっと持ち続けながら曲を作ってると思うし。その中で“bonfire”との対比もちゃんと考えてはいて、同じ流れがいいのか、まったく別のものでインパクトを与えるのがいいのか、それは常につきまとってたことだから、両方の可能性を持たせて作っていく中で、結局最終的には曲の中心をどこにするかってところだったと思うんですよね。
tommy “bonfire”のときの、これまで積み重ねてきたものから大きくはみ出してでも飛び越えたいものがあるっていう気持ちは、どの曲を作るうえでも同じだから、今回も同じ気持ちで臨んではいましたね。いままでの延長線上ではない曲っていうのは今回もマストだったし、意識してたし。その中で今回は言葉の持つ力が強いこの曲を表題曲にしようって。歌と言葉をここまでど真ん中に置いてできた曲ってたぶんこれが初めてで、きっとそれがいままで超えられなかったもので、でもどうしても超えたかったものはそこで。やっと今回超えられたのかなって、超えたんだなって思ってるんで、この曲を持ってきました。
■出来上がってた歌詞を書き直したとか。
tommy そう、もうレコーディングも中盤のときに。全然違うテーマで1回書き上げてて、それはそれですごく自分では気に入ってたし、メンバーもダメとかは言わないんだけど。基本いいものには「いい」って言うけど、何か引っかかってたりするときは何にも言わないっていうヤツばっかりで、今回そうだったから、あ、そのパターンかって。
■特に何も言われなかったと。
tommy リアクションないなーって。(笑)
■わかりやすいというかなんというか。(笑)
tommy でもそれをズバッと言ってくれたのがサブ(Dr)なんですよ。レコーディング中、ドラムもベースも録り終わってる段階で、言葉と歌を前に出す曲っていうのは固まってたんだけど、「もうちょっと違うものを乗っけてほしい」って言われて。それを言われたとき、いまの歌詞で大丈夫ってすぐに言えなかった。だから自分でもきっと何か引っかかってたんだろうなって。それが何かって考えたとき、いままでも、これからも、自分にしか書けない歌詞を書いていくことがやっぱり俺のいちばんやりたいことだと思ったんだけど、いまの自分でしか書けない歌詞って、けっこう書けたことないなってそのとき思って。
■なるほど。
tommy 自分の中のずっと大事にしてるものとか、曲がらないであろう気持ちとか、想いとか、願いとか。そういうものをいろんな手法、いろんな角度から書いてきたつもりだったけど、いまの自分だから書ける曲っていうのはなかったなって。じゃあ何書く? って考えたら、もう目の前にあることしか書けないなって。で、真っ先に思い浮かんだのが家族のことだったから、そこから書き始めようって。
■こういう個人的な歌詞を書くのは初めてのことだから、そこに抵抗や不安はなかったです?
tommy 書いたときにやっとなくなったかな。いままでは聴いてくれる人が、あ、俺もこうだなって、そういう何かしら、どこかしら当てはまるものがあればうれしいなと思って書いてて、それはそれでいいことだと思ってるからこれからも大事にしたいところではあるんだけど、今回はそうじゃない歌詞を書くにあたって、それがはたして人に伝わるのかって、正直ちょっと怖かったかもしれない。だってここまでプライベートなことを書いて、「全然わかんねぇよ」って言われたらやっぱりちょっと心が痛むしね。(笑)そんなことが怖かったのかなとは思うけど、それはすごくちっちゃなことで、俺自身が次の扉を開けるには、もうその方法しか残ってなかったのかなって。それを開けるために、開けようとしてこうしてやってきたんじゃないのかと思ったら、これはもう絶対に書こうって。