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つばき~正夢になった夜vol.18~@新宿LOFTライブレポート 2017年1月19日(木)

「また、会いましょう!」
同世代バンドが繋げた一色徳保への想い!

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一色徳保(Vo&Gt)の脳腫瘍の治療のため、昨年3月から一時活動を休止していたつばき。そんな中、2017年1月19日(木)に自主企画ライブ「正夢になった夜 vol.18」が新宿LOFTにて開催された。一色は、このライブ後、治療に専念するため、つばきは再び活動休止をすることもあり、つばきの盟友とも言えるLUNKHEAD、LOST IN TIME、セカイイチという3組が対バンに名を連ねた。SOLD OUTとなった本公演は、開場後も長蛇の列。会場内には、久しぶりのつばきのライブを楽しみに待ちわびるオーディエンスで溢れかえっていた。

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1番手を飾ったのはセカイイチ。岩崎慧(Vo&Gt)が力強く想いを込めて歌いあげた“シルクハット”から「この曲をつばきに捧げます」と歌った“神通力”などソウルフルな歌声と共鳴するかのようなファンクなグルーブでオーディエンスを心地いい世界へと誘っていった。MCで岩崎が「今回のセットリストは本当に悩んだ・・・・・・。10年前につばきに出会って、みんなに出会った時の想いを持ってきました。」と言っていたようにセカイイチからつばきに対する想いが伝わってくるセットリストで、ラストは“バンドマン”を披露。鳴り止まない拍手と歓声の中、きっちり次へとバトンを繋いだ。

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続いて登場したのはレーベルメイトでもあるLOST IN TIME。ギターリフから研ぎ澄まされたサウンドが会場を包み込む中、海北大輔(Vo&Ba&Pf)の圧倒する歌声が鳴り響いた“誰かはいらない”でスタート。その後、続けて2曲を披露し、海北が「一色くんと一緒に作った歌を歌います」と伝え“雨が降る夜”。青く染まった会場とともにメロディラインと大切に言葉を歌い綴る様子にグッと込み上げてくるものがあったのは私だけではないだろう。MCで海北は、今日のライブに呼んでもらったことへの感謝を述べ、「つばきは僕ら世代のバンドにとっても、みんなにとっても希望です。」と伝え “希望”“手紙”と想いを馳せ、続くLUNKHEADへと大切なバトンを繋いだ。

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合田悟(Ba)の挨拶ととも“全身/僕/戦場へ”を披露した後、小高芳太朗(Vo&Gt)がオーディエンスに向けて「LUNKHEADです!」と言い放ち、会場が歓喜の渦で盛り上がる中、張り詰めた想いを解き放つかのように立て続けに3曲を披露したLUNKHEAD。余韻とともに一瞬、静まりかえった会場に「次はいよいよつばきだから、あっためて行きましょうか!行けるかLOFT!しみったれてる場合じゃねーぞ!」と煽り、“体温”。その勢いのままラストは“ユキシズク”では爆音全開とばかりに畳みかける攻撃的なサウンドと全身全霊で奏でる最高のグルーブで締めくくり、つばきへ最高のバトンを受け渡した。

お馴染みのSEが流れる中、メンバーがステージに登場すると、温かい拍手が響き渡る。ライブスタート前に、小川博永(Ba&Cho)から数日前にも発表された一色の体調があまりよくないことから1曲だけ歌うこと、残りの楽曲は、一色の変わりに共演してくれた3バンドのヴォーカルをゲストヴォーカルとして招いて披露することが改めて説明された。
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小川の紹介とともにトップバッターとしてゲストヴォーカルをつとめたのはLOST IN TIMEの海北。ベースの重厚な音とタイトなドラム、そしてメロディラインの美しさが印象的な“声の行方”から、ギターサウンドと野太いベースライン、ユニゾンのハモリがやさしく会場に降り注いだ“夜と夢の鼓動”を披露。続いてステージに登場したゲストヴォーカルはセカイイチの岩崎。“昨日の風”のイントロが流れると同時に手を翳さし、自然と口ずさむオーディエンスを他所に「新宿!!」と叫び捲し立てると“光~hikari~”ではライトが燦々とオーディエンスを照らし、心穏やかな気持ちの中、温かい拍手が鳴り響き、続くLUNKHEADの小高へバトンを委ねる。小高は、ステージに登場すると“月の夜にいつもの川” をしっとりと聴かせ、“来る朝燃える未来”では、刻むギターフレーズに静と動がひしめく感情を大切に歌い上げる姿に心地よさを感じさせてくれた。三者三様ラストに登場する、つばきのヴォーカル一色に対する精一杯の想いを歌に託し最高のステージを用意した。
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ここで、小川が「じゃーここで1曲だけ一色に歌ってもらいたいと思います。」とステージに呼び込むと車椅子でステージに登場した一色に対して歓声と鳴り止まない拍手。スタッフのサポートのもと車椅子から立ち上がりマイクスタンドを片手にフロアをまっすぐに見渡す一色は、とても嬉しそうな表情だった。おかもとなおこ(Dr)から「何かしゃべらないと!」と急かされると「どうもどうも明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」と挨拶し、噛み締めるように「嬉しいよ、本当に。」とSOLD OUTしたパンパンのフロアを見渡し嬉しそうに話す。その後はサポートギターで入ってもらっている曽根巧と大迫 章弘をいつもの一色節のトークでイジリたおし、笑いの絶えない、いつもと変わらない雰囲気をつくりだす。一色が「今日は集まってくれてありがとう。意外と元気にやっています。パッとやって行きましょう!」と会場の笑いを誘い、一色が選んだ曲は、つばきの代表曲のひとつ“花火”。イントロが鳴った瞬間からマイクスタンドを握った手でリズムをとり、全身全霊で歌う様は、本物のプロミュージシャンの姿を見た気がした。小川のベースとおかもとのドラムに支えられ、サポートギターの曽根と大迫のフレーズに乗り、一色自身が届けたい想いは大切に1人1人の心にしっかりと届けられた。この日一番の鳴り止まない拍手と歓声に包まれる中、一色はやさしく微笑み、手を振り「ありがとう。」と述べ本編は終演。
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小川から、今日はステージ袖にはけずにアンコールをやることが告げられ、今日の出演者全員をステージに呼び込み、まるで居酒屋で語るような、オフトーク炸裂に、笑いが止まらない。つきることのない、いつもと変わらないトークの中、小川から「良かったらみんなも一緒に歌ってください。」と伝え、ラストは “太陽”。会場全体が大合唱となり、気づくと会場いっぱいに手のひらが翳された。ライトを浴びた沢山の手のひらはタイトル通り、ひとつの大きな太陽となり燦々と輝きを放ち、愛に溢れた素敵な空間を作りあげ幕を閉じた。一色は、その様子をゆっくり見渡しながら微笑み、手を振りながら「みんなカッコイイね!すごいわ!ちょっとだけ感動しちゃった。ありがとう。」と伝えると「また、会いましょう!」ともう一度、微笑みながら手を振りステージを後にした。

今では、なかなか揃うことがない同世代4組のバンド。そんなメンバーが自然と集まってしまう存在、一色徳保。「また、会いましょう!」と最後に手向けた言葉には、前を向き、またライブハウスで集い、いつもと変わらぬライブがいつか実現することだろうと感じさせてくれるものであった。

http://tsubaki-net.com/

Photo: 小川舞

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