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古内東子 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

あなたを魅了し恋への想いを募らせる、恋愛の神様・古内東子のニューアルバム

90年代より「恋愛の神様」と称され、多くの女性の気持ちを代弁し、想いを重ねさせるラブソングを数多く歌ってきた古内東子。今年デビュー25周年を迎えた彼女からニューアルバム『After The Rain』が届けられた。デュエットアルバムであった前作が一人のアレンジャーと組み、統一感のあるサウンドだったのに対し、今作は新規も含め、様々なアレンジャー陣を起用。ゴージャスでバラエティに富んだサウンドとなった。加えて楽曲制作に於いても従来のプロセスとは違い、完成したサウンドの上に歌詞を書く新しいメソッドを実施。結果、ブランドを保持しつつ、「現行の古内東子」をしっかりと打ち出した1枚となった。きっと今作もあなたを魅了し、恋への想いを募らせることだろう。

■デビュー25周年おめでとうございます!ちなみにデビュー時は25年後をどのように想い描いていましたか?

古内 うーん……。先のことは全く何も考えていなかったというのが正直なところです。いつまで歌いたいとか、一生歌い続けていくとの気概もないまま、とりあえず歌っていましたね。当時はまだ大学生で。そこがとにかく授業や課題が多くて、出席にも厳しい学科だったんです。それらとの両立もすごく大変で。それこそ最初の数年は無我夢中でした。気がついたら25年が経っていました。

■逆にどのあたりから「歌い続けていこう!」との決心を?

古内 大学を辞めてからですね。解放された感じがすごくして。そこから「本格的に歌一本でやろう!」と決意し始めて。以後、歌う楽しさも増したんです。

■古内さんにはデビューの頃から、わりと実年齢より大人びた歌をうたう方との印象がありました。

古内 自分の書いている世界観は当時から特に背伸びをしていたわけでもないんですけどね。20歳そこそこでのデビューだったんですが、当時は聴いて下さる方も自分より年上の女性の方が圧倒的に多くて。よく年上の女性から相談も受けました。「こうこうこうなんだけど、どうしたら良いですか?」って。「恋愛の神様」なんて称されていた時もあったりして。それにすごく戸惑っていたのも懐かしいですね。

■「大人びていた」のは何か要因でもあったんでしょうか?

古内 いきなり大人の世界に入り、大人と仕事をしていたからかもしれません。自分も勝手に大人のつもりで周りと接していましたから。当時はほぼ同世代の人たちとのふれあいも無かったし。

■これを機にざっと古内さんのこれまでの作品を聴き返したんですが、基本歌っているテーマはいい意味でずっと一貫していますね。

古内 当初から「大人っぽい」「大人っぽい」と言われ続けてきましたからね。まぁ、本当に大人になったら言われなくはなりましたが。(笑)歌詞の内容なんてまさにそこですから。

■そんな中でもやはり遍歴はあって、ある時期から恋愛が良い想い出として豊潤されていく歌に変っていったんです。なんか「色々なことがあったけど、いい恋をした」みたいな描写や歌表現に移ってきたというか。今回のニューアルバムも全体的にわりとそのような印象がありました。

古内 今回は6年ぶりのアルバムですが、曲を描いたのもそれくらいぶりだったんです。必要がないと書かないタイプなので。(笑)それもあり、歌詞は全て最近の想いから成っていて。自分の流儀を忘れてしまっていたこともあり、すごくニュートラルに書けたんです。今までも等身大の歌詞や、いくつになっても恋をしていたい、そんなことをテーマにしてはきましたが、結婚もして出産もして…という今の私にとっては、自分が恋愛真っただ中で恋を探している的な内容を歌うのはやっぱり嘘っぽかったんです。

■確かにそうかもしれません。

古内 まぁ、そのような気持ちが全く無いわけではありませんが、あまり私が今うたうべき歌ではないなって。かと言って、わざとそれを演じる必要も無いし。とは言え、歌詞に出てくる言葉自体は嘘かというとそうでもなくて。なので、今回は自分と歌詞との関係性がわりと新しくて。すごく俯瞰して書いたところはありましたね。

■なるほど。今作が全体的にいい意味での軽さが伺えた理由がなんとなく分かりました。

古内 軽さは私も感じました。

■歌詞を書く時には何か特別な想いでも?

古内 どの曲もノンフィクションではありませんが、フィクションでもないというか。リアリティはあるし。なので、例えば私くらいの女性が今作に手を伸ばそうとしている時に、「もう今の私は違うかな…」とか、「恋とか愛とか私はもうイタい年齢だから必要ないわ」なんて思わないで欲しくて。「もう私はラブソングは卒業したわ」とか「もう年齢的にそうじゃないから」と敬遠するのではなく、そういった方でも聴いてワクワクするようなものにしたかったんです。でも、それはけっして昔の恋愛を想い返して、それに浸ってもらいたいというのともまた違っていて。

■ではどんな?

古内 ほんと今ですよね、現在。その気持ちを味わいたい、味わっている、味わってもいいんだとか、そんな風に感じながら聴いてもらえると嬉しいです。でも、それは私くらいの年齢の方に関してで、逆に若い世代の方には、ああ、分かるな…的なところが少しでもあればいいですね。

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