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クアイフ WEB LIMITED INTERVIEW

森彩乃(Vo/Key)、内田旭彦(Ba/Cho/Prog)、三輪幸宏(Dr)

クアイフ、メジャー1stアルバムは「世の中に放った瞬間、あなたのもの」

TVアニメ「いぬやしき」のエンディングテーマ曲『愛を教えてくれた君へ』で鮮烈なデビューを飾ったクアイフが、記念すべきメジャー1stアルバム『POP is YOURS』を2018年6月6日にリリースする。<世に放たれた瞬間その曲は聴く人のものになる>をコンセプトとした本作は、王道ポップスともいえるアップチューンから切ないバラードまで、クアイフのすべてを詰め込んだ<あなたのためのアルバム>だ。そこで今回は、本作に込めた想いやメジャーデビュー後の心境の変化をメンバー全員に語ってもらった。

■メジャーデビューシングルを2017年11月にリリースして以降、バンドの状況はいかがでしたか?

 メジャーデビューシングルが、アニメのエンディングテーマだったということもあり、今まで以上に自分たちの曲が街で流れていたり、SNS上での反響を目にする機会が増えましたね。単純に嬉しかったです。クアイフを知らなかった人にも楽曲を届けることができたという実感があり、ここから第一歩を踏み出したのかなって思っています。

三輪 普段ライブハウスに来ない人にもクアイフの曲を届けたいという気持ちが強くなりましたね。2年ほど前からJリーグ・名古屋グランパスのオフィシャルサポートソングをクアイフが担当していて、普段ライブハウスには来ないようなお客さんも、ちょっとずつ僕らのライブに来てくれているんですけど、メジャーデビューしたことによって、より増えてきたという実感がありますね。今後はそれをもっと拡大していきたいです。

内田 僕は自分たちの音楽をもっと広めるには、どうしたらいいのかなっていうのを常に考えていましたね。メジャーであっても、インディーズであっても、音楽を作ってそれを届けて感動してもらって、CDや配信を買ってもらって、ライブに来てもらったりする構図は一緒なわけで。そこに感動できる音楽は必要不可欠なので、メジャーに進出してからは、そこをより意識して曲を制作するようになりました。

■前回(1stシングル『愛を教えてくれた君へ』)のインタビューで、メジャーデビューをするにあたり、多くの人たちに向けて曲作りをできていたのか、今までやってこられたのか、を考えたとおっしゃっていました。デビューして7ヶ月経ちますが、内田さんが言う「より意識して制作するようになった」という部分を詳しくお聞かせいただけますか?

内田 インディーズの頃は音楽的なこと、つまり自分たちのやりたい音楽をメインでやっていたんですが、メジャーデビューにあたって、それ以外の引っかかりでライト層のリスナーにも届けたいと思ったんです。アンプに例えると、<専門的なつまみ>と<大衆的なつまみ>、両方とも必要で、かつ良いバランスを探している。これからもこの2つのバランスを追及していくんだろうなと思っています。メジャーデビューシングル『愛を教えてくれた君へ』は、大衆に届けるつまみを深くかけて作った曲で、今後もそこは意識していきますが、専門的なつまみも大事なので、両方のバランスを大事にしていきたいですね。

■『愛を教えてくれた君へ』は壮大なバラードだったんですが、その後にリリースされた2ndシングル『ワタシフルデイズ』から続く、本作『POP is YOURS』はポップミュージックでどこまでいけるかがすごく意識されて作られたという印象を受けました。

内田 僕たちは「絶対的、鍵盤系ドラマチックポップバンド」を掲げてきて、アルバム制作時に改めてポップスとはどういったものなのかを考えていたんですね。自分たちのなかの解釈としては「世の中に放った瞬間リスナーのものになる曲=ポップス」だと思って。なぜそう思ったかというと、僕たちが2000年代に聴いてきた音楽シーンと現代の音楽シーンってまったく違っていて、現代ではJ-POPとかがマイノリティになってきている感じがあるんです。そのなかで自分たちがよりポップスを突き詰めたいと思ったときに、手元に入った瞬間から自分のものになる音楽をリスナーに届けたい。僕らはそういった感覚でポップスを聴いて育ってきたし、その感覚を信じたいと思って。

■自分のために歌ってくれている音楽って、自然と惹き込まれるし、繰り返し聴きたくなりますよね。

内田 僕らも「自分のために歌ってくれている曲」と出会って音楽を始めたので。だけど、そういった感覚が現代では薄れてきていると思っているんです。昔は歌詞カードを見ながら歌詞の意味を自分で噛み砕く作業をしていたけど、今はそういったものも少なくなっていて……。曲とか詞とかの区別がない、所謂”音楽”を聴いている人が多くなっていることが背景にあるのかなって。要はリスナーが自発的に歌詞の意味を噛み砕く作業をしない。なので、聴いた瞬間「私の音楽だ!」と感じて受け取ってほしいという気持ちを込めて作った曲が、『POP is YOURS』に収録されています。

 ポップスという言葉だけ聞くと、明るい印象があるじゃないですか。だけど、ポップソングは明るい曲だけではなくて、切ないラブソングのバラードとかもあるし。今回のアルバムに収録されている切ないバラードが「ああ、私のいまの心境に合っている」とか、そういう細かい歌詞にこだわったところがリスナーの心に刺さればいいなと思います。

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